本土近海防衛戦
「次は、日本軍が大戦末期に戦争に投入した新兵器をいくつか紹介していきます。」
「また?」
「以前説明したのは航空機の話だったかと・・・今回はまた別です。」
「んなのどうでもいいって。」
「ねぇねぇ、新兵器って言うくらいなんだからとーぜんスゴイんでしょ♪」
「連邦はなんというMSを造ったのだ!」
「ワケわかんないってば。」
「まぁ、凄いと言うか一線を越えてしまったと言うべきか・・・評価に苦しむ兵器です。」
「訳の解らん言い回しだな。良いのか悪いのかどっちなのだ?」
「・・・純粋に兵器として見るなら優秀ですが、人道的な見地からの評価は最悪であるという事です。」
「よく解らないんだけど・・・」
「硫黄島陥落後、アメリカ軍機動部隊は日本本土の近海に出没し大規模な空襲を行っていました。
今回の攻撃は艦載機によるもの・・・アメリカ軍は今後の作戦展開を有利に行う為、
出来るだけ日本本土からの脅威を取り除いておこうとしたのしょう。」
「ふ〜ん・・・。」
「また、一方の日本軍も手を拱いていた訳ではなく、
アメリカ軍機動部隊が出撃する以前・・・ウルシー環礁に停泊中の機動部隊に対し特攻を行っています。」
「そんな事もしてたの?」
「九州の鹿屋基地から発進した陸上爆撃機、銀河24機からなる梓特別攻撃隊です。」
陸上爆撃機 銀河
「昭和20年3月11日、08:55。鹿屋基地から出撃した銀河24機は二式大艇に先導されてウルシー環礁へ向かいました。
しかし、進撃途中エンジントラブルにより次々と脱落。最終的に14機まで減少してしまったのです。」
「なにやってんのよ。」
「銀河のエンジンは以前説明した誉です。カタログスペックとしては銀河も高性能だったのですが・・・
整備性などを考慮すると、量産するには問題は山積みだったみたいですね。
さて、ウルシー環礁に到達した梓特別攻撃隊ですが・・・記録によると空母ランドルフへの体当たりに成功し損傷を与えています。」
「それだけ?」
「突入は夜間になりましたが、敵機動部隊の根拠地ですから迎撃は苛烈です。
突撃した攻撃機のうちの3機は攻撃目標視認困難の為にヤップ島へ引き返していますが・・・。
後に、梓特別攻撃隊の搭乗員は二階級特進の栄誉を受けています。」
「ふ〜ん・・・。」
「・・・しかし、空母一隻損傷ではアメリカ軍の侵攻を遅らせる事は出来ません。
先程話した機動部隊は正規空母10隻からなる大部隊、3月17日には鹿屋の南東165浬にまで来襲しています。
機動部隊発見の報により、鹿屋の第五航空艦隊は直ちに攻撃隊を出撃させました。」
「どーせ、特攻隊でしょ?」
「全部が全部特攻を目的としている訳ではありません。
彗星隊は昼間強襲である。どんな事があっても爆弾を当てて帰って来い。
爆弾は一日で補充できる。しかし、搭乗員は20年はかかる。
無理な飛行はするな。再挙をはかれ。
との訓示が事前に行われていたそうです。どうやら体当たりをして来いとは言われていないようですね。
もっとも、結果的に特攻の様な結末にはなってしまいましたが・・・
3月17日から21日まで行われた一連の攻撃による戦果は次の通りです。」
正規空母・エンタープライズ(小破)
正規空母・イントレピット(中破)
正規空母・フランクリン(大破)
正規空母・ヨークタウン(損傷)
他、戦艦を含む10隻に損傷。
「他にもあるかもしれませんが、代表的なものではこんなところかと・・・」
「体当たりとは言え・・・空母への攻撃を成功させているのだな。」
「逆から言えば、相当の覚悟がなければ攻撃が成功しなくなってきているとも言えます。
3月1日の時点で520機を保有していた第五航空艦隊も、3日間の戦闘でおよそ160機が未帰還・・・
つまり、全戦力の約3分の1を喪失してしまったという事になります。
アメリカ軍に打撃を与えることには成功したものの、その損害は無視できるものではありません。」
「で、人道的に最悪な兵器ってのはいつ出てくるんだ?」
「全力を尽くした18〜20日の攻撃を終えた直後の3月21日、
第五航空艦隊司令長官・宇垣纏中将の元に敵機動部隊発見の報が届けられました。
そこで、神雷部隊攻撃隊の出撃を命じたのです。こちらが神雷部隊攻撃隊の主兵装です。」
特殊攻撃機 桜花
「何だ、コレは?」
「ロケット推進を利用した攻撃機です。」
「凄いのか凄くないのか解らんが・・・」
「これって・・・どうやって攻撃すんの?」
「・・・体当たりです。機首に搭載された1.2トン程の爆薬が桜花にとっての唯一の武器です。」
「体当たりって・・・人が乗っているんでしょ?」
「・・・そうです。」
「それじゃ、中の人は・・・」
「・・・死にます。」
「ちょっと!始めから死ぬ事を前提としてるなんてどういう事よ!」
「・・・評価が難しいと言ったはずです。
訓練を受けた優秀な兵士が乗っているのですから命中精度としては申し分ありません。
故に単純に兵器として考えるなら優秀であると言えます。」
「だが、人間が乗っているのだろう?」
「ですから、人道的には最悪であると・・・。
特攻そのものが下策なのですから、特攻目的に作られた兵器が外道である事もまた事実なのです。
特殊攻撃機である桜花の推進剤は10秒程度で無くなってしまいます。
したがって、敵艦へ攻撃するには桜花を途中まで運ばなければなりません。そこで登場するのが一式陸攻です。」
一式陸攻
「一式陸攻・・・」
「すぐ萌えちゃうヤツでしょ?」
「字が違うわよ、字が。」
「一式陸攻タン(;´Д`)ハァハァ」
「チハたん(;´Д`)ハァハァ」
「おいおい・・・」
「桜花の初陣は先程説明したとおり、昭和20年3月21日。
陸攻18機に搭載された桜花は55機の零戦に護衛されてアメリカ軍機動部隊への攻撃に出撃しました。」
「日本にしては結構護衛が多いような気がすんな。」
「しかし、エンジントラブルにより護衛の零戦は次々と脱落し30機程度まで減少してしまいました。
そして、神雷攻撃隊の行く手に立ちふさがったのがアメリカ軍のF6F戦闘機(約150機強)です。
必死の応戦虚しく、桜花を抱えた一式陸攻は全機撃墜。護衛の零戦も10機が未帰還となっています。」
「ちょっと!何やってんのよ!」
「何をと言われても困りますが・・・」
「一式陸攻なんかでノコノコ出撃するなんて撃墜されますって言ってるようなモンじゃない!
なんでもうちょっとしっかり作戦立てないのよ!」
「第五航空艦隊司令部では、一連の攻撃で敵機動部隊にかなりの損害を与えているという認識だったのです。
桜花が投入されたのは戦果拡充を期待されてのもの・・・
読みが甘かったのかもしれませんが、それだけアメリカ軍の戦力が強大だったという事でしょう。」
「読みが甘いで済ませるんじゃないわよ。大体、何人の命が犠牲になったと思ってんのよ。」
「これ以降、桜花を大規模投入する事は無くなりました。
早朝や夕暮れを狙った少数による攻撃に転換されていく事になります。」
「気付くのが遅いっての!なんでそんなに状況が見れないのよ!」
「アスカとやら・・・あまり無理を言うな。
搭載しているのは非人道的な兵器とは言え、攻撃の基本は通常攻撃とそうは変わらんぞ。」
「どゆこと?」
「だからな。桜花とやらは特攻兵器だが、
一式陸攻そのものは通常攻撃と同様の行動しか行っていないという事だ。
マレー沖海戦の頃など護衛無しで戦艦を撃沈していたのだからな。」
「あの頃とは状況が違いすぎるでしょうが。」
「・・・確かに、通常の魚雷に比べて桜花はかなり重いです。
非力な一式陸攻ではかなり無茶かと思われますが、逆に桜花なら通常の魚雷に比べてかなりの航続距離があります。
任務、そのものの危険性としては通常出撃とどちらが高いか・・・一概に論ずる事は出来ません。」
「じゃあ、元から駄目だったって事じゃん。」
「解りきった事を言われても困りますが・・・手元にある戦力でどうにかしなければならないのです。
事実、この時出撃した神雷攻撃隊は事前に訓練を重ねてきた部隊です。
射出出来ないまま散っていった彼らの無念は、想像することは出来ても解る事は出来ません。」
「そういえばさ、桜花のアニメってあったよね♪」
「音速雷撃隊でつね。」
「ヤツは音速を超えてきた!音の方が後から来た!」
「たった今、広島に原爆が投下されました!」
「狂ってる、敵も味方もみんなクレージーだ・・・!」
「・・・何の話してんのよ。」
「良いじゃん、面白いんだから♪」
「ね〜♪」
「何の話なのかよく解らないけど・・・」
「まったくだ。どこでそんな情報を得たのやら・・・」
「でも、凄いよね〜。なんだかんだ言って空母沈めちゃってるんだし♪」
「しかも音速を超えてましたですからねぇ。」
「・・・あれはあくまでフィクションです。
実際に桜花が航空母艦を沈めたという事実はありませんし、桜花の最高速度はおおよそ650km
降下速度を考慮しても850km程が限界でしょう。桜花で音速を超えるのは無理と思われます。」
「な〜んだ、つまんないの〜。」
「そんな事を言われましても困りますが・・・」
「で、結局桜花なんて作ったって意味無いじゃん。攻撃以前に撃ち落されてちゃどうしようもないでしょうが。」
「桜花は航空機から射出する以外に、本土防衛用としても設置が進められていました。」
「本土防衛用?」
「沿岸部に簡易的な射出台を設置。上陸するアメリカ軍に対し体当たりを敢行するのです。
実際、史実では使われること無く終戦を迎えることが出来たのですが・・・。
他の有名な特攻専用兵器と言えば・・・次の兵器も挙げられますね。」
人間魚雷 回天
「なんだこりゃ?」
「以前紹介した酸素魚雷に改造を施し、人が乗り込めるようになっています。
回天は通常の潜水艦によって前線まで運ばれ、攻撃目標を発見次第切り離されます。
後は母艦である潜水艦からの指示を受けながら目標に突進・・・体当たりを敢行するのです。」
「それじゃ中の人は・・・」
「中の人などいない!」
「・・・いえ、ちゃんと居ますから。
回天搭乗員は当然の事ながら死にます。回天開発段階では脱出機構の設置も考慮されていたそうですが
最終的には脱出時にも様々な困難が予想されるので脱出機構は付けられませんでした。」
「・・・・・。」
「何か不満か?」
「人の命を何だと思ってんのよ。」
「・・・回天の構想は前線の将兵から出されたものだと言われています。
当初はその人道的に反する人間魚雷である回天の認可が下りることはありませんでした。
開戦劈頭に行われた特殊潜航艇での作戦ですら、山本五十六大将に認可されにくかったという前例があります。
何度も言いますが、当時の帝国海軍は決して人命軽視の軍隊では無かったのです。」
「もしかして、アレが原因なんじゃないの?」
「アレって?」
「神風なんたら攻撃隊に決まってるでしょうが。
ちょっとばかり攻撃がうまくいったからって・・・努力が足りないのよ、努力が。」
「・・・いえ、回天と神風特別攻撃隊に直接的な関連はありません。
回天の初陣は昭和19年の11月ですが、開発は昭和19年の2月に開始され基地の設置が昭和19年9月。
したがって、回天の計画そのものの認可はそれ以前になされたのでしょうね。
また、神風特別攻撃隊が無ければ、その後の体当たり戦術が無かったなどと考える方が幻想です。
何度も言いますが、個人レベルでは体当たり攻撃がたびたび行われていたのですから。
同様の思想が別の場所からも上がっていた以上、遅かれ早かれ体当たり的な思想が出て来たものと推測されます。」
「う〜ん、話が難しくてよく解んないなぁ。」
「同じく〜♪」
「・・・非人道的な兵器と言っても過言ではない回天ですが、志願者は多く幾度も選抜試験が行われていたそうです。
回天搭乗員というのは文字通りの選りすぐり、精鋭の集まりだったのです。
もちろん特攻は美化できる戦術ではありませんが・・・」
「特攻兵器って色々あんだな。」
「他には、この様な兵器もあります。」
特攻艇 震洋
「これも、特攻用なの?」
「そうです。爆薬を搭載した小型ボートの震洋は夜間の敵船団へ突撃する事を目的としています。
ほとんどが本土決戦用として温存されましたが、一部フィリピン等で戦線に投入されていた様です。」
「こんなのが役に立つ訳ないでしょうに。」
「・・・個々の性能では大した程度ではありませんが、この震洋はおよそ6200隻が建造されています。
10%以下の命中率と考えてもそれなりの戦果は期待出来るでしょうね。」
「あんた・・・自分で話してる事に疑問を感じない?」
「何がですか?」
「だ〜か〜ら!解らない女ね〜!あんた、感覚がマヒしちゃってんじゃないの?
なんでそこまで淡々と話せるのよ!」
「・・・震洋の出撃はほとんどありませんでしたが、特攻そのものは現実に起きた出来事だからです。
安易な人道主義では戦争を止める事など出来ません。当時の日本の様に国際的に孤立した状況なら尚更です。」
「何の事かよく解らないんだけど。」
「当時の日本の政治家の認識で次のようなものがあったと言われています。」
戦争を終結させるには、
連合国に戦争を続けることが無意味なモノだと解らせる以外に方法は無い。
ならば、日本との戦争を継続するには大きなリスクがあると解らせなければならない。
一億総玉砕、日本国民が死ぬまで戦うと言う意思を連合国側に示す必要がある。
それもただのブラフ(脅し)では意味が無い。
本当に徹底的に抗戦するという意思を示さなければ駄目なのだ。
「誰が言ったのか・・・情報の出所が解りませんし文章そのものも記憶のみなので
こういう意見が本当にあったかどうかは確認が取れていません。しかし、上記の意見は正に正鵠を射ていると考えられます。」
「あんたの妄想じゃないの、コレ。」
「妄想かもしれませんが、私の妄想ではありません。それに、戦争を終わらせるには・・・
日本という国家を存続させ被害を最小限に抑えるには他に良い方法など見当たりません。
何度も言いますが・・・当時の日本には、他に夢の様な選択がある訳では無いのです。」
「ふむ・・・、抗戦意思を示すと言うのにも一理ある。
交渉を成立させるには双方にとっての落し所を探す必要があるからな。
日本軍があっさり壊走していたのでは、アメリカ軍の攻勢が強まるばかりか交渉にすら応じない可能性がさらに増すだろう。」
「なんで?」
「・・・あっさり勝てる相手とわざわざ講和を結ぶはずがあるまい。
自らの勝利が約束されているのに引き分けに応じると思うか?」
「んなワケないじゃん。」
「・・・そうだ。それならば、勝てるかどうか解らない相手だったらどうする?
勝つには勝てるだろうが、勝利する事で得る戦果以上に多大な損害や時間、手間がかかると予想できたらどうだ?」
「ア・バオア・クーでキシリアさんが出てきたときに停戦協定を受け入れるかどうか選ぶみたいなモン?」
「・・・そう思っておけ。概ね間違いでは無い。」
「そりゃ、熟練度が上がるもん。停戦するに決まってんじゃん。」
「おまけに戦うのも面倒ですもんねぇ。」
「何の話してんのよ・・・。」
「・・・そういう事だ。」
「どういう事なの?」
「何度も話しに出していますが・・・
連合国に戦争継続(゚听)イラネと認識させる事が日本にとって重要であり唯一の生き延びる道なのです。
本土上陸戦が行われてしまえば、その後の日本がどうなってしまうのか正直見当が付きません。
本土決戦を回避するために、本土決戦を唱え一億総玉砕を唱えるというのは
決して間違いでは無いのです。」
「う〜ん・・・」
「なんつーか、ムジュンしてる気がしなくもないがな。」
「なんでカタカナ?」
「私の中ではごく自然な流れなのですが・・・」
「どこがよ。本土決戦したくないのに本土決戦を唱えるなんてワケ分かんないっての。」
「・・・まぁ、以前にも話しましたが民意が重要だという事です。
民意についての話は以前したのでここでは省略しますが・・・
とにかく、日本国民全員が決死の覚悟を持っていなければ講和の可能性すら芽生えないという事は覚えておいて下さい。
そういった意味では某漫画の反戦一家は国家の安全を乱していると言えなくもありません。」
「某漫画って?」
「いろいろネタに使われてる漫画でつ。
父親がフォルテ姐さんに萌えてる事になってたりとかして、中々愉快ですよん♪」
「だから、何の話なのか解らないって・・・」
「物語の中での主人公一家に対する陰湿的な虐めは感心しませんが、非国民である事に代わりはありませんね。
劇中でもありましたが、実際に竹やりで抗戦出来るかどうかは問題では無いのです。
竹やりを使ってでも徹底抗戦するという意思を連合国に示す事、
日本本土を攻めればただでは済まないと理解させる事・・・重要なのはそこなのです。
もちろん、国の意向に従っていたとはいえ、変わり身の早い町内会長親子を弁護出来る材料はどこにもありませんが・・・
あのずる賢さは某新聞社を彷彿とさせますね。」
「あんた・・・そうとう偏ってるわね。」
「そうでしょうか?私の中ではごく自然な思考なのですが・・・」
「どこがよ!そこらの右翼でもそんな事言わないっての!」
「オッス!オラ、極右!」
「あまりの衝撃に私は言葉を・・・」
「そのネタ、前にやったよな。」
「(´・ω・`)ショボーン」
「さて、特攻兵器は上記のものだけではなく他にもまだあります。
特殊潜航艇を改造した特攻用の潜水艦やアクアラングで行う特攻も考えられていました。」
「アクア・・・何?」
「潜水服を着た人間が、予め敵の上陸地点付近の海底に待機。
上陸艇が通過する時に爆薬を先につけた棒で攻撃・・・上陸艇を破壊するというものです。」
伏龍
「それじゃ、その人はどうなるの?」
「・・・言うまでも無いでしょう。これまでの特攻と同様の結果です。
実際に、この方法が行われる事はありませんでしたが・・・本当に形振り構っていられる状況ではなかったのです。」
「そこまでしたって・・・結局アメリカ軍が攻めてきてるじゃない。」
「アメリカ軍の当初の予定は遅らせる事が出来ていますが何か?
昭和19年10月3日の時点で、二ミッツ提督は統合幕僚長会議から3月10日までに沖縄の拠点を攻略せよと命じられています。
3月10日と言えば、史実では硫黄島の占領すら宣言出来ていない状態・・・いかに日本軍が奮戦したかが分かるかと思いますが。」
「硫黄島は特攻とは関係無いでしょうが。」
「・・・特攻隊である第二御盾隊を忘れていませんか?
彼らの特攻は決して無駄では無かった・・・その時の戦果は説明しているはずです。
これに反論するのであれば、通常攻撃で同様の戦果を得られたという根拠を示してください。」
「んな事、できるわけが無いでしょ。」
「では、この議論はここまでです。
特攻作戦を含めた日本軍の奮戦でアメリカのスケジュールを遅らせているのです。
これは特攻が無意味な事では無かった事の証に他なりません。」
「そんなモンかね。」
「・・・当たらずとも遠からずだろう。
特攻作戦を開始してからというもの、日本軍はアメリカ軍に着実に打撃を与えているのだ。
マリアナ沖や台湾での戦果から考えれば・・・心情的には肯定出来ずとも、その結果は認めなければなるまい。」
「だからって、ファーストみたいに特攻万歳ってのは無理があるでしょ?」
「誰が特攻万歳なんて言っているのか、小一時間・・・」
「ところで、フィリピンの次はアメリカ軍はどこを狙ってんだ?」
「・・・それは次の講義での説明になります。」