ルンガ沖夜戦

 

 

 

 

 

aikon1-64-53.PNG「・・・ルンガ沖夜戦が行われたのは、前回の第三次ソロモン海戦から約半月後の11月30日。
今回の作戦は、飢えに苦しんでいるガ島の将兵を救うために補給物資を送り届ける事・・・平たく言うなら輸送作戦ですね。」

「補給ねぇ。話で聞いてると、これまで散々失敗してるからな。方法なんてあるのか?」

aikon1-64-53.PNG「・・・大規模な輸送作戦はもはや不可能です。
そこで考え出されたのが、高速航行可能な駆逐艦による輸送作戦です。
ガ島に出来るだけ接近し物資が詰まったドラム缶をガ島に向けて放流。
・・・艦隊への危険を出来るだけ最小限に抑えるには、それくらいしか方法が残されていなかったのだと思います。」

aikon2-64-7.PNG「ドラム缶って・・・いくらなんでも強引な気がするけど。」

aikon1-64-53.PNG「・・・仕方の無い事です。他に良い方法があるなら、教えてもらいたいくらいですよ。」

aikon2-64-3.PNG「む・・・。」

aikon1-64-53.PNG「さて、今回の任務を命じられたのは田中頼三少将率いる第二水雷戦隊でした。
田中少将は今回の任務には反対だった様ですが結局は任務を引き受けたのです。」

aikon3-64-1.PNG「・・・なぜ、反対するのだ?ガ島の将兵達を救うにはそれくらいしか方法が無いのだろう?」

aikon1-64-53.PNG「水雷戦隊の本来の目的は敵艦隊への斬り込み役なのです。高威力の酸素魚雷を持って敵艦を屠る事・・・
前回の第三次ソロモン海戦での夕立や綾波の様な戦い方が水雷戦隊の本領を発揮する方法と言えます。
物資の運送業は水雷戦隊の本意では無い・・・と彼は考えていたのだと思います。」

aikon2-64-4.PNG「そんな事言ってる場合じゃないでしょ!」

aikon1-64-53.PNG「ですから、ちゃんと引き受けてるでしょう?
ガ島で飢えている友軍を救うため、11月30日の深夜、第二水雷戦隊はショートランド泊地を出発しました。」

 

第二水雷戦隊

高波、親潮、黒潮、陽炎
巻波、長波、江風、涼風

 

 

aikon6-64-10.PNG「これって全部駆逐艦なの?」

aikon1-64-53.PNG「そうですよ。速度第一で考えるなら、戦艦などの大型艦は足手まといになってしまいますからね。
第二水雷戦隊は一度北東への欺瞞航路を取り・・・その後ガ島へ向け一気に南下を始めたのです。」

「そういえば・・・アメリカ軍はなにやってるんです?いつも通りなら迎撃体勢を整えててもおかしくないですけど。」

aikon1-64-53.PNG「・・・そうですね。今回も日本の動きは察知されていました。
一方のアメリカ軍は日本軍迎撃の為、第67任務部隊を迎撃に向かわせています。」

 

第67任務部隊

重巡×4 軽巡×1 駆逐艦×6

 

 

aikon1-64-53.PNG「・・・戦力差から考えてもアメリカ軍の方が優勢、おまけに最新型のレーダーも装備していました。
指揮官のライト少将は万全の体制で日本軍を待ち受けていたのです。」

aikon8-64-2.PNG「万全の体制って?」

aikon1-64-53.PNG「アメリカ側はレーダーのおかげで長距離から攻撃する事が出来ます。
そこでまず視界外から魚雷を発射。魚雷到達後に砲撃を加え日本軍を撃滅するつもりでいたそうです。
・・・月並みな言い方をするなら待ち伏せですね。」

「大ピンチってヤツかな・・・。」

aikon1-64-53.PNG「・・・22:40、第二水雷戦隊は目標地点付近に到着。
先頭の高波を警戒に当たらせつつ、速力を12ノットまで減速させドラム缶の投入準備に入りました。
その時点ですでにアメリカ軍のレーダーに捕えられていたのです。」

aikon2-64-48.PNG「・・・駄目じゃん。」

aikon1-64-53.PNG「日本軍はドラム缶投入の為に艦を止めようとしていました。
23:12、先頭の高波より敵らしき艦影見ユとの一報が入ったのです。
その後、敵艦を7隻発見との報が続けて届けられました。ここで指揮官の田中少将は決断を迫られます。」

aikon6-64-10.PNG「決断?」

aikon3-64-1.PNG「作戦通りに行動するか、敵と戦うか・・・どちらを選ぶかという事だ。」

「どっちもは駄目なんですか?」

aikon1-64-53.PNG「・・・無理です。戦闘を行う為には艦上のドラム缶を撤去しなければならないのです。
つまり物資を棄てなければ満足に戦う事は出来ません。ですから決断を迫られたのです。」

 

揚陸作業を続けるか
現れた敵に対処するか

 

 

aikon1-64-53.PNG「・・・あなた方ならどちらを選びますか?」

aikon2-64-13.PNG「また?」

aikon1-64-53.PNG「・・・指揮官は絶えず問われ決断に迫られるのです。そして、その問いには必ずしも明確な答えがあるものでもありません。」

「ん〜、やっぱ敵の殲滅だろ。敵が迫ってきてるのに悠長に作業なんてやってられんだろ。」

aikon3-64-3.PNG「・・・同感だな。戦いとは先手必勝、迅速さが要求されるものだ。」

aikon6-64-13.PNG「じゃあ、あたしは作業を続ける方にするかな〜。」

「そうしましょうそうしましょう。」

aikon3-64-7.PNG「じゃあとは何だ、じゃあとは。ちゃんと考えてるのか?」

aikon6-64-16.PNG「ひっど〜い!ちゃんと考えてるよ!」

aikon1-64-53.PNG「・・・・・。」

aikon6-64-8.PNG「だって、ちゃんと荷物届けなきゃならないんでしょ?人の命がかかってるんだからさ。」

「そうでつよ。人道的見地から考えても、補給を優先させるべきです。
そんな事も分からずに敵を倒そうなど・・・もう少しちゃんと考えて下さい!」

「だが、作業するって事は無防備になるんだぜ?
人の命って言ったって駆逐艦にだって人は乗ってるんだから、その辺りもちゃんと考えなきゃな。」

aikon2-64-48.PNG「・・・・・。」

「そういえば、お前の意見はどうなのだ?」

aikon2-64-31.PNG「どーせ、ファーストの言う事だもの。どっちも間違って無いって言うに決まってるわよ。
そんなのをいちいち議論するのは無駄の極致なの。」

「まぁ、どっちが間違いとかじゃなく、どっちを選ぶかって事だからな。嬢ちゃんだったらどっちを選ぶかってだけの話さ。」

aikon2-64-3.PNG「・・・・・。」

「言っておきますけど、どっちもは駄目でつからね?」

aikon2-64-20.PNG「分かってるわよ!」

aikon6-64-10.PNG「アスカはどっちにするの?」

「さぁさぁさぁ!」

aikon2-64-48.PNG「そこから逃げちゃうってのは駄目なの?」

「敵前逃亡は士道不覚悟です。」

aikon2-64-5.PNG「逃亡じゃなく転進よ、転進!
なにも戦うだけが能じゃないでしょ!一回、離脱してもう一回作業しに戻ってくればいいのよ。」

aikon1-64-53.PNG「・・・確かに一理ありますが、ガ島周辺はもはや敵地です。
転進したとしても飛行場周辺に待機していたのでは夜明けと共に敵航空部隊の脅威にさらされてしまいます。
逆に、必要以上に離れてしまえば敵も迎撃体制を整えてしまい、再突入はさらに困難になってしまいます。
おまけに燃料の問題もありますし・・・その選択は除外するしかありません。」

aikon2-64-3.PNG「む・・・。」

aikon1-64-53.PNG「アスカも言っていたように、この質問に正解はありません。
その状況下で田中少将が下した決断は揚陸止め、戦闘というものでした。
第二水雷戦隊は揚陸作業を中止するとともにドラム缶を海中に投棄、戦闘準備を整えたのです。」

aikon6-64-1.PNG「あ〜、ハズれちゃった〜。」

「外れではありませんよ、我が同志エルピー・プル。
ただの意見の相違であって我らの意見が間違っていた訳ではありませぬ。」

aikon6-64-10.PNG「そうかな・・・。」

「まぁ、そうだわな。戦闘を選んだからって揚陸作業を軽視してたって事にはならんし。単なる優先順位の違いってだけさ。」

aikon3-64-1.PNG「うむ。」

aikon1-64-53.PNG「・・・待ち受けていたアメリカ艦隊はすでに攻撃態勢を取っていました。
後は命令一つだったのですが・・・アメリカ側の指揮官ライト少将は攻撃命令を下しませんでした。」

aikon2-64-7.PNG「なんで?チャンスだったんでしょ。」

「チャ〜ンス♪」

aikon2-64-26.PNG「るさいっ!」

aikon1-64-53.PNG「・・・これはアメリカ側の捕えた艦影が別々の物だったために起きた混乱でした。
ミネアポリスからの報告とフレッチャーからの報告が違っていた為、ライト少将は再度の確認を求めていたのです。
しかし、この判断の遅れが日本にとって幸いでした。
戦闘開始は23:20、アメリカ軍艦艇からの魚雷攻撃から始まりました。日本軍に向けて放たれた魚雷数はおよそ20です。
しかし、魚雷は全て外れ。また、アメリカ軍は星弾を撃ち出すと共に一斉に砲撃を開始しました。」

aikon3-64-1.PNG「・・・待ち伏せしていただけの事はあるな。」

aikon1-64-53.PNG「・・・対する田中少将は各艦に突撃を命じました。
敵情はまだ掴みきれていませんが逡巡は命取りにもなります。日本軍の艦艇は各個に突撃して行きました。
敵陣に真っ先に突入したのは先頭で警戒に当たっていた高波です。」

aikon8-64-1.PNG「なんか・・・、駆逐艦が突撃してるのって最近よくあるわよね。」

「ま、斬り込み役だからな。まさに本領発揮ってトコだろ。」

aikon1-64-53.PNG「高波は敵陣に入り込むと同時に駆逐艦2隻に対し砲撃、また魚雷も全弾発射しています。」

「突撃が好きだなんて・・・誰かさんそっくりですねぇ。」

aikon2-64-48.PNG「・・・なんで私を見ながら言うのよ。」

「ほら、いつも突撃して返り討ちにあってるから。」

aikon2-64-20.PNG「誰がよ!」

aikon1-64-53.PNG「・・・敵陣に斬り込んだ高波にはアメリカ軍からの攻撃が集中します。
しかし、その間に親潮・黒潮の2隻が悟られる事無く敵の背後に展開、絶好の射撃点を得るとすぐさま魚雷を発射しました。
また、旗艦長波以下の駆逐艦も高波の奮戦に応えるべく主砲、魚雷で応戦しています。
この時、射撃の目安となったのが高波が攻撃した事により生じた敵駆逐艦の火災です。
この灯かりのおかげで日本側は探照灯に頼らなくても正確な射撃が行えたのです。」

aikon6-64-10.PNG「探照なんとかって・・・灯かりでしょ?使わなかったの?」

aikon1-64-53.PNG「探照灯を使うと敵艦を照らす事が出来ますが、
それと同時に自艦の位置を敵にさらす事にもなります。いわば・・・諸刃の剣ですね。」

aikon6-64-1.PNG「ふ〜ん・・・。」

aikon1-64-53.PNG「日本艦隊が放った九三式酸素魚雷はライト艦隊に向かっていき・・・旗艦ミネアポリスの艦首を吹き飛ばしました。
後続のニューオリンズは被弾したミネアポリスを避けるため右に回頭したところを左舷艦首に魚雷が命中。
さらに弾薬庫に引火し急激に速力が低下しました。」

「もうボコボコだな。」

aikon1-64-53.PNG「・・・まだ続きます。後続のペンサコラは前の二艦を避ける為に回頭したところ、
炎上する艦艇が照明となり、日本軍が魚雷攻撃するための格好の照準となったのです。
ペンサコラは魚雷攻撃を受け機関室に浸水、戦闘不能となりました。
もう一隻の重巡ノーザンプトンにも魚雷が命中し左に大きく傾斜しました。
この攻撃が致命傷となりノーザンプトンは翌日に沈没しています。」

aikon6-64-11.PNG「・・・アメリカ軍ダメダメじゃん。最初にレーダーで分かってたのに何してんの?」

aikon1-64-53.PNG「・・・アメリカ軍を擁護するつもりはありませんが、これが戦争なのです。
確実に勝てる戦力を用意、自軍が臨む体制で待ち伏せ確実に勝てるであろう戦術を執ったとしても・・・
その勝率が100%になる事はないのです。だからといって、100%にする努力を怠ってはいけませんけどね。」

「しゃーねーわな。アメリカ軍の装備が優れてても使うのは所詮人間だしな。間違いや失敗はあるもんさ。」

aikon1-64-53.PNG「・・・23:00頃になるとルンガ沖は静かになってきました。
戦いの趨勢は決してきたのですが、第二水雷戦隊は補給物資を搭載するため、
ごく一部の駆逐艦を除いて予備弾薬や魚雷を積んでいなかったのです。
各艦は戦場から離脱していきますが、一隻だけ戦場に取り残された艦がありました。」

aikon2-64-7.PNG「それ、敵陣に突っ込んだヤツでしょ。もしかしなくてもほったらかしなの?」

aikon1-64-53.PNG「・・・いえ、ちゃんと親潮と黒潮の2隻を高波乗組員の救助に向かわせています。
しかし、運の悪い事にアメリカ軍の駆逐艦も戦場に戻りつつあったのです。
前述の通り、魚雷を撃ち尽くしていた2隻はやむなく・・・救助作業を断念し退避しました。」

aikon6-64-10.PNG「見捨てちゃったの・・・?」

aikon1-64-53.PNG「・・・そうなります。
重巡4隻を撃破してショートランド泊地に帰還した第二水雷戦隊ですが、海軍首脳からの評価は高くなかったそうです。」

aikon3-64-3.PNG「何故だ?敵艦を4隻破壊しているのだろう?おまけに1隻を除いて敵地から無事帰還出来ているのだ。
確かに、物資の揚陸は失敗しただろうが・・・あれは不可抗力だろう?」

aikon1-64-53.PNG「・・・私もそう思いますが、田中少将の行動には批判が多かったそうです。
一つは揚陸作業の失敗。現場の状況を考えれば、あの時点で揚陸作業を続行していれば全滅の危険もあったでしょう。
何故なら、揚陸の為に一度艦を停止させてしまえば相手からすれば良い的になってしまうからです。
戦闘を遂行する為の速度までスピードを上げるには、ある程度の時間が必要なのですから。」

「ふ〜ん、言われてみればそうかもな。」

aikon1-64-53.PNG「もう一つは彼の戦い方ですね。当時の海軍では旗艦が先頭に立ち戦うという伝統があったそうです。
ですが、ルンガ沖での戦いでは戦闘に移る前、日本艦隊は単縦陣を執り旗艦長波は後方にありました。
日本側からすればアメリカ軍の奇襲・・・そしてレーダーによってその姿を捉えられており絶体絶命だったのです。
そんな状況で陣形を組みなおして敵に挑んでいたのでは、無意味に時間がかかりすぎます。

aikon6-64-1.PNG「ふーん・・・。」

aikon1-64-53.PNG「・・・私見ですが、そんな事をしていれば第二水雷戦隊は全滅していたでしょう。
そして、そうなれば柔軟さが足りないなどと批判された事でしょう。
補給失敗は悲しい事ですが・・・田中少将は批判される人ではありません。」

aikon2-64-8.PNG「でも、その時の海軍じゃ批判されてんでしょ?」

aikon1-64-53.PNG「・・・はい。
この後、田中少将率いる第二水雷戦隊は補給任務に従事しますが・・・
昭和17年12月31日に第二水雷戦隊司令官の任を解かれています。
この日はガ島からの撤退が御前会議で決定された日でもあり・・・おそらく、今回の補給任務失敗の結果かと思われます。」

aikon2-64-9.PNG「有能な人材切っちゃってどーすんのよ。なに考えてんのよ、上の人等は?」

aikon1-64-53.PNG「・・・私に聞かれても困ります。そういった体質であるとしか言い様がありませんし、こればかりは擁護のしようもありません。」

aikon3-64-1.PNG「体質か・・・。前線の状況など後方の人間には分からぬものだ。
お前達にも経験はあろう?連邦風情にコキ使われているお前達ならばな。」

aikon2-64-8.PNG「ま、確かにそうだけど・・・」

aikon1-64-53.PNG「手短ですが、ルンガ沖夜戦については以上です。
前回の第三次ソロモン海戦同様、戦術レベルでは日本が勝利しましたが
アメリカは身を挺して日本軍の作戦を阻止したという事になります。
・・・本来ならアメリカの圧勝だった戦いでもあるのですが、高波の奮戦とライト少将の逡巡のおかげですね。」

aikon2-64-48.PNG「敵指揮官の決断のおかげで勝利なんて・・・ミッドウェーみたいな話ね。」

aikon1-64-55.PNG「・・・悲しくなるような事を言わないで下さい。今後の事を考えると、あの時の勢いは夢の様なのですから。」

aikon2-64-6.PNG「しょーがないでしょ。アメリカと戦争しちゃってんだから。泣き言なんか通用しないのよ。」

「ふむ、アスカさんはSですね。むぁちがいない!

aikon2-64-20.PNG「だ!誰がよ!あんたはいつも━━━」

 

ウイィィン(ドアの開閉音)

 

syakutei-1.PNG「あ、皆さん。ここに居たんですか?」

「あれ?リューシーさん、こんな所でなにをしてるんですか?」

syakutei-4.PNG「え、え?私シャクティですけど・・・みんなでケーキを焼いたんで、食べてもらおうと思って。」

aikon6-64-13.PNG「あ〜、ホントだ〜!食べよ食べよ〜!」

「確かに良い匂いがすんな。材料は何なんだ?」

syakutei-1.PNG「ニンジンですよ。」

「そうですか。てっきりキムチでも内蔵されているものかと・・・」

aikon2-64-13.PNG「・・・どんなケーキなのよ。」

「だって、リューシーさんならやりかねないかな〜と。」

syakutei-5.PNG「・・・私、シャクティです。そういえば、コウさんが凄い勢いで逃げ回ってましたけど・・・何かあったんですか?」

aikon2-64-48.PNG「そりゃそうよ。あの人ニンジン嫌いだったはずだし・・・。」

aikon3-64-1.PNG「・・・何の事かさっぱり分からんが。この部隊はいつもこうなのか?」

aikon6-64-10.PNG「何が?」

aikon3-64-8.PNG「いや、年齢的に若い連中がパイロットをしているかと思えば、艦内にはこんな子供までいる・・・
こんな子達が前線に出向く状況を見ているのは心苦しくてな。」

aikon6-64-9.PNG「気持ち悪い・・・」

aikon3-64-9.PNG「な、何がだ!私は常にハマーン様の治世を確固たるものにするため全力で取り組んでいるのだぞ!」

「まぁ、そういう話は止め止め。今はゆっくり休もうや。」

syakutei-5.PNG「あ、紅茶もあります。今、入れますね。」

aikon2-64-13.PNG「ねぇ、このお茶ってやっぱり・・・」

syakutei-1.PNG「はい、いつも通りです。」

「ん、お茶がどうした?」

aikon2-64-19.PNG「知らないほうが良いわよ。別に身体に毒だとかそういう話じゃないから。」

aikon6-64-7.PNG「ん〜、おいし〜♪いつも思うけどシャクティって料理上手なんだね。」

syakutei-4.PNG「え、私だけじゃなく、みんなで作ったから・・・。あ、綾波さん。お茶どう・・・あ!」

aikon1-64-53.PNG「!」

 

パシャ(お茶のかかる音)

 

syakutei-2.PNG「ごめんなさい!大丈夫ですか?」

aikon2-64-8.PNG「そんなに慌てなくても平気よ。その人形女なら問題無いから。」

aikon1-64-53.PNG「・・・大丈夫です。でも、服を交換する必要はありますね。ちょっと失礼します。」

syakutei-6.PNG「本当にごめんなさい!」

aikon1-64-53.PNG「・・・気にする事は無いわ。大した事ないから。」

 

ウイィィン(ドアの開閉音)

 

syakutei-3.PNG「・・・・・。」

aikon2-64-48.PNG「シャクティ、気にする事ないわよ。あの人形女はそういう繊細な感情持ってないから。」

「人の振り見て我が振り直せ・・・」

aikon2-64-5.PNG「何がよ!」

syakutei-3.PNG「・・・私、ちょっと様子見てきます。」

 

ウイィィン(ドアの開閉音)

 

aikon8-64-2.PNG「行っちゃったね・・・。」

aikon3-64-1.PNG「それにしても、いつまで続くのだろうな。この講義は。」

aikon6-64-8.PNG「それもそうなんだけど・・・後でちゃんと遊んでよね?」

aikon3-64-1.PNG「・・・何の話だ?」

aikon6-64-17.PNG「あ〜、もう忘れてる〜!模擬戦の約束したじゃん!もう忘れたの?」

aikon3-64-1.PNG「む、そういえばそうだったな・・・。心配するな、ちゃんと相手してやる。」

aikon6-64-12.PNG「そ、良かった〜。私、ハマーン様のキュベレイで出るからマシュマー様、何でも良いよ。」

aikon3-64-6.PNG「ちょ、ちょっとまて!ハマーン様のキュベレイを使うなど・・・それでは私が戦えんではないか!」

aikon6-64-6.PNG「え、別に大丈夫だよ。傷つけてもアストナージさんに直してもらえば。」

aikon3-64-4.PNG「そういう問題では無い!」

「それにしても平和だねぇ。最前線だってのにこんなのほほんとしてられんだから。」

「そうですねぇ。」

aikon2-64-9.PNG「あんたら、爺臭い会話してんじゃないわよ。」

「大丈夫ですよ。アスカさんなら釣り合い取れますから。」

aikon2-64-26.PNG「何がよ!」

aikon3-64-8.PNG「・・・しかし、この部隊の雰囲気がこの様なものだったとは。理想に殉ずる我らが何故負けたのか・・・。」

「・・・こんなだから勝てたのかもな。
つまり、それだけ心に余裕があるって事だろ?全滅なんて滅多にねぇし、相当なポカやらなきゃ負けることもねぇし。」

aikon3-64-1.PNG「確かにな・・・。」

aikon6-64-2.PNG「ま、難しい事は後で良いじゃん。今はゆっくりしよ〜よ。」

 

 

 

 

 

 

aikon6-64-12.PNG「あ〜、おいしかった〜。」

「中々のお手前でした。芳醇でまったりとしたこの喉越し、口の中に広がるさわやかな・・・」

aikon2-64-35.PNG「・・・たまに料理番組に呼ばれる様な、売れないタレントみたいな事を言うんじゃないわよ。」

「何をいうんでつか。私は心に思い描いた事をそのまま口にだしているんですよ。あなたにそれを阻止する権限は無い。」

aikon2-64-19.PNG「訳が分からないから・・・。」

「それにしても遅いなぁ。あれから結構時間経ってるよな。」

aikon3-64-2.PNG「まぁな。だが休息を得られた事もまた事実。丁度良い息抜きになっただろう?」

 

ウイィィン(ドアの開閉音)

 

aikon2-64-4.PNG「やっと着たわね。遅━━━」

aikon1-64-54.PNG「・・・遅くなって申し訳ありませんでした。それでは早速━━━」

aikon2-64-20.PNG待った待った待った!あんた、何してんのよ!」

aikon1-64-54.PNG「まだ何も・・・。これからいつも通り講義を始めようとしているだけですが?」

aikon2-64-5.PNG「そういう事を言ってるんじゃないわよ!私が言いたいのはあんたのカッコ!なんでプラグスーツなんかで来てんのよ!」

aikon6-64-10.PNG「あ、ほんとだ〜。」

aikon1-64-54.PNG「制服、クリーニングに出したから・・・」

aikon2-64-15.PNG「だからってプラグスーツはないでしょ!」

aikon1-64-54.PNG「私には他に何も無いもの・・・」

aikon3-64-5.PNG「・・・・・。」

aikon6-64-11.PNG「マシュマー様、なんで赤くなってんの?」

aikon3-64-1.PNG「べ、別に何でも無い!」

aikon2-64-5.PNGと・に・か・く!そんなカッコでうろつかれちゃエヴァパイロット=変人だと思われちゃうじゃない!
あんた1人ならまだしも、こっちまで迷惑するんだから!」

「ふぅ、筆頭が何をおっしゃるやら。」

「んだな。」

aikon2-64-15.PNG「うるさいっ!」

aikon1-64-54.PNG「・・・よく判りませんが、これでは駄目ですか。もう一度着替えてきます。」

 

ウイィィン(ドアの開閉音)

 

aikon2-64-48.PNG「まったく・・・ファーストには常識ってもんがないのかしら。」

「説得力ないですよ(はあと)」

aikon2-64-5.PNG「るさいっつってるでしょ!」

aikon3-64-1.PNG「・・・それにしても妙なものだな。あの服はお前達のパイロットスーツなのだろう?」

aikon2-64-7.PNG「まぁ・・・そうだけど。それがどうしたの?」

aikon3-64-1.PNG「見慣れた服も場所が変わっただけであれだけ不自然な光景に変わるというのは・・・
少し不思議に思えたのでな。別に深い意味は無いが・・・」

aikon6-64-13.PNG「ん〜、それはあるかもね。マシュマー様のカッコだって戦艦の中とかなら分かるけど
そのままコンビニとか行ってたら流石に引くもん。」

aikon8-64-1.PNG「コンビニって・・・。」

aikon3-64-7.PNG「・・・それは馬鹿にしているのか?仮にもこれは我々の正装なのだぞ。」

aikon6-64-9.PNG「あたしが言ってるのは、その薔薇の事なんだけど・・・」

aikon3-64-11.PNG「何を言う。これはハマーン様より授かった大事なものだ。私はこの香りに報いるために・・・」

「どうでもいいがよく保つな、その薔薇。」

aikon3-64-10.PNG「フッ、問題無い。ちゃんとコーティングしてある。」

aikon6-64-13.PNG「私は救いを求める哀れな哀れな子羊ちゃんで〜す!」

「この子羊に知恵と勇気をお与えくださ〜い!」

aikon6-64-12.PNG「ああ、ハマーン様ハマーン様ハマーン様!

aikon3-64-9.PNG黙れ!

 

ウイィィン(ドアの開閉音)

 

aikon1-64-30.PNG「・・・お待たせしました。」

aikon2-64-13.PNG「それ・・・ネルフの制服?」

aikon1-64-30.PNG「・・・他に心当たりが無かったもので。それではそろそろ始めましょうか。」

aikon3-64-1.PNG「そういえば、さっきのシャクティとやらがお前の様子を見に行ったようだが・・・」

aikon1-64-29.PNG「・・・彼女とはさっき廊下で会いました。問題はありません。」

aikon3-64-1.PNG「そうか、なら良いのだが・・・。」

「リューシーさんも純朴な方ですからねぇ。良い子でつ、ホント。」

aikon2-64-19.PNG「・・・だからシャクティだってば。」

aikon8-64-2.PNG「それって・・・何の話なの?」

「さぁ、俺に聞かれても困るが・・・。」

aikon1-64-30.PNG「・・・それでは、次の講義に移りましょう。次は昭和18年の話になります。」

 

 

次へ   戻る