漢たちの大和型戦艦
「ファースト!今日こそはギャフンと言わせてあげるわ!」
「・・・・・。」
「いつになく強気だな。」
「まぁ、勝算があっての発言なのだろうが・・・」
「ファースト、アンタ前に言ってたわよね?え〜と・・・」
「シブヤン海での武蔵さんの話ですよ。」
「そう!その武蔵!」
「なんでひし形がサポート役なんだ・・・?」
「あの、武蔵がどうかしましたか?」
「前にアンタ言ってたでしょ。武蔵に魚雷命中したのが20本くらいだったって。」
「え〜と・・・、そんな様な気もしますけどそれが何か?」
「アンタが適当な事言ってるからそれを正すだけよ。ひし形。」
「はい。武蔵さんへの魚雷命中数を数えてみました。こちらです。」
シブヤン海での武蔵魚雷命中の推移
(昭和19年10月24日)
10:27 右舷130番ビームに魚雷一本命中
11:37 左舷に魚雷三本命中
12:17 右舷60番ビームに魚雷一本命中
12:57 右舷70番ビーム、左舷70番ビーム、右舷110番ビーム、左舷130番ビーム、計四本魚雷命中
15:21 魚雷十一本命中(なんか色々なトコに)
「全部で20本か。」
「これの何がおかしいのか分からんが。」
「これで全部のワケがないでしょ。アメリカの主張だと30本当たったって事になってるんだもの。
なんでそのあたりの話を隠すのよ。」
「???」
「何が言いたいのかよく分からないんだが。」
「だから、アメリカ軍が魚雷当てまくってるのにそれを隠してたって事よ。
命中魚雷がたくさんあるって事はそれだけ当てるのが上手だったって事じゃない。」
「そう・・・ですか?でも・・・」
「なによ?」
「損害報告に関しては日本の発表をアテにした方が良いのではないかと思いますが。
実際、艦底を通過しただけの魚雷も何本かありますから、アメリカ側ではそれも命中とカウントしてるのでは?」
「え・・・う・・・」
「もう詰まったか。」
「うるさいわね!ひし形!」
「はいはい。15:21の時の攻撃で水柱が激しくて状況がよく分からないって記述がありますよ。
もしかしたら、その時に10本余計に当たってたかもしれないじゃないですか。」
「・・・当たってなかったかもしれませんよね?」
「あ、それもそうですね。」
「ちょっと!なに納得してんのよ!」
「では、それで終わりという事で良いですか?武蔵の魚雷命中数は大体20本くらいという事で。」
「もう終わりかよ。」
「フ、フフフ・・・」
「どしたの?アスカ。」
「気がふれたか?」
「今までのはただの前フリ。次の議題でファーストはグウの音も出なくなるんだから。」
「・・・そうか?」
「まだ何か?」
「勝算が無い戦いはしません。綾波さんがどんな反論をしてこようと想定の範囲内ですから。」
「そなの?」
「ほら、玉砕続きのアスカさんに華を持たせてあげたくて。勝利の栄光を君に!ってアレですよ。」
「それだとアスカに死亡フラグを成立させてる気がするが・・・」
「で、ファーストが沖縄の話の時に言ってた大和への片側集中攻撃。その説に根拠が無いってのは知ってる?」
「なんだそれは?」
「だから、そういう話はアメリカの中では無かったって事よ。
アメリカは大和の防御力を過大評価なんかしてなくて、ただ普通に攻撃して大和を沈めたってだけの話。」
「その話ですか?」
「嘘だって言うなら証拠を出してみなさいよ。アメリカが大和の片側を集中攻撃しろって命令を出したって証拠。」
「生き生きしてるな。」
「・・・証拠はありません。そういう事がよく言われていたのでその話を採用しただけです。」
「ほらみなさい。これでファーストがテキトーな事ばっか言ってたって証明されたわよね。」
「勝った!あたしは今、ジオンの栄光とやらに!
あたしも三年間待ってたんだ、この時を・・・。身体が熱くなる、この高揚感は・・・アハハハハ!」
「あ、シーマ様だ〜♪」
「良いですよね、宇宙の蜻蛉シーマ様♪」
「そういう事を言ってる場合か?」
「別に良いじゃない。勝ったんだし。ファーストも負けを認めたし。」
「珍しく脱線を肯定するのか。」
「・・・でも、良いんですか?」
「は、何がよ?」
「シブヤン海で魚雷を30本当てて・・・ようやく武蔵を沈めたという認識なのに、大和に相対する時まで何の対策も立てず
普通に攻撃したらたまたま片側に魚雷が集中して大和は沈んだという話になりますよ?」
「だから何が言いたいのよ。」
「つまり、アメリカ軍は大和型戦艦に対し
何の対策も立てなかったもののたまたま少ない魚雷で沈める事が出来た・・・と。
ある意味、無能の集団とも受け取られかねませんよ?もっとも、私としては別にどちらでも良いのですが・・・。」
「なんでそーやって言葉にトゲのある表現でまとめるのよ。」
「だって、そうとしか言い様がありませんから。
魚雷30本でようやく沈む戦艦なんて化け物以外の何物でもありません。
そんな相手に何の対策も無しで再び戦闘を挑むというのはアメリカ軍なにやってるんですか?としか言い様が・・・」
「ほら、大和型戦艦は帝国海軍の超兵器ですから♪」
「まぁ・・・、そうかもしれませんけど。」
「なんで肯定するんだよ。つか、超兵器ってなんだ?」
「なんかグダグダになって話が終わったな。」
「だって、綾波さんが必死に反論してくれないんですもん。
私のプランでは顔を真っ赤にしてありとあらゆる反論をしてくる綾波さんを想定していたんですよ?」
「そんな事を想定されても困りますが・・・」
「しかし、これ・・・アメリカのフォローになってんのか?」
「むしろアメリカの評価を貶めてる気がしなくもないが。」
「う・・・」
「私、眠いので・・・失礼します。」
「あ、帰っちゃった・・・。」
「あ・・・」
「結局、言い負かされて終わりか。」
「ひし形〜!どこが勝てるよ!惨敗じゃない!なんとか言いなさいよ!」
「戦いにおける勝者は(中略)私は・・・敗者になりたい。」
「るさい!」