萌えよ!空母学校 五時限目
「それでは、次は戦争末期から戦後の空母の説明に入ります。」
「どーせまた、日本の空母でも出すんでしょ。」
「・・・いえ。日本の空母については十分話しましたし、話が進まないのでここからは他国の空母について説明していきます。」
「他国というと・・・さしずめアメリカか?」
「そうですね。まずはこちらをご覧下さい。」
アメリカ海軍 空母・ミッドウェイ
「あ、色付いてる♪」
「これまでモノクロ写真メインでしたからねぇ。」
「で、これがどしたの?」
「こちらのミッドウェイは戦争末期に造られた空母ですが、長い間現役で使われていました。
その間、当然ながら幾度か改装が行われたわけですが・・・写真で見たほうが早いですね。」
アメリカ海軍 空母・コーラル・シー
(ミッドウェイ級)
「さっきのとなんか違うの?」
「あからさまに違うだろ。」
「見た目で確認可能な変更点と言えば、アングルドデッキの存在が挙げられます。」
「なにそれ?」
「・・・お前、本当に講師役を務める気があったのか?」
「アングルドデッキとは斜めに張り出した飛行甲板の事です。これは着艦に対する安全性という点が大きく関係しています。」
「よく分からんけど。」
「例えばの話ですが、こちらをご覧下さい。」
甲板上障害物無し 甲板上障害物有り
「なによ、このワケ分からん絵は。」
「左の図は甲板上に艦載機の無い状態、右は艦載機が駐機している状態を示しています。
単純にどちらが着艦しやすいと思いますか?」
「どちらって・・・どっち?」
「少しは考えてから喋れ。普通に考えれば何もない方が良いに決まってるだろう。」
「なんでなんです?」
「・・・着艦機が前にあるって事はそれより手前で止まらなきゃならないって話になるだろ。
それだけ難しいって事だ。」
「でも、制止索ってのがあったはずですよね?」
「そうそう♪」
制止索の図
「・・・制止索はあくまで前方の着艦機を守る為の装置です。
昔の艦載機は、プロペラが機体の前部に装備されていますから、機体を制止させるにしてもあまり芳しくはありません。
プロペラが制止索のワイヤーを切断しそれが操縦席を直撃、搭乗員が死亡している事例もあるくらいです。
残念ながら、制止索があるから絶対に大丈夫という事にはなりません。」
「な〜んだ。」
「(´・ω・`)ショボーン」
「ふむ、障害物が無い方が着艦しやすいのは事実だろうな。」
「でもさ、なんで前の方に飛行機がとまってんの?」
「以前にも説明したと思うのですが、空母を戦闘に使う事を考えると着艦の作業効率も高めなければなりません。
本当は着艦→格納庫に収納の繰り返しが安全なのですが、それでは収容に時間が掛かりすぎてしまいます。
そこで、日本やアメリカは連続着艦を行い効率を少しでも高めようとしていました。」
「連続着艦って?」
「以前に説明したはずですが・・・」
「んなの、いちいち覚えてるわけないでしょうが。説明しなさいよ、説明。」
「・・・人にものを頼む態度ではないな。」
「図で表すと、このような感じですが・・・」
連続着艦の図
(赤い部分はエレベーター)
「連続着艦とはその名の通り艦載機の収容を連続で行うものです。
着艦した艦載機は艦首に移動させ、前部エレベーターで格納庫に収容。
もっとも、日本と違いアメリカの場合は露天繋留が基本ですので、必ずしも格納庫に収納するわけではありませんが・・・
当然の事ながら、次に着艦する機は前部エレベーターより手前で停止する様に着艦しなければなりません。」
「もし止まれなかったらどーなんの?」
「制止索で強制的に停止させられます。
高度次第では着艦のやり直しも可能ですが、機体や乗員が無事で済むかどうかは運次第と言ったところでしょうか。」
「運って、をい。」
「ですから、空母を運用するにあたり艦載機搭乗員の練度が重要となってくるのです。
しかし、練度に頼る方法はあまり良いとは言えませんし、安全性といった点から考えても不安が残ります。
そういった経緯から、別の方法が求められるようになり考案されたのがアングルドデッキと呼ばれる甲板形状なのです。
先程のコーラル・シーを見れば、従来型とどちらが良いかは一目瞭然かと思います。」
「そんなもんなの?」
「では、こちらの図をご覧下さい。これなら、どちらが着艦しやすいかが分かるかと思いますが・・・」
通常甲板 斜め甲板
「む〜・・・」
「・・・分かりますよね?」
「う〜ん・・・」
「よく考えてみろ。左の状態で着艦に失敗してオーバーランしたらどうなると思う?」
「制止索に引っかかるって話ですよ。」
「そうだな。だが、運が悪ければ死ぬ事だってあるわけだ。では、右の状態で同じ事をしたらどうなる?」
「ポチャン
って海に落っこっちゃう。」
「違うだろ。むしろ着艦がやり直しやすいはずだ。」
「え〜、あたし、いっつも落っこっちゃってるよ。ゲームだけど・・・」
<<ブレイズ、落ちるな!おい!>>
「そんな話は聞いてない!」
「・・・アングルドデッキでは、オーバーランしてしまったとしても機を上昇させて再び着艦を試みる事が出来ます。
従来の形状では流石にこうはいきません。」
「そーなんだ。」
「さすがアメリカよね。こんな便利な方法を思いつくんだから。」
「最初にアングルドデッキを考案し実験を始めていたのはイギリスのはずですが・・・」
「え・・・」
「イヤーン、ハズカチィー(*/Д\*)」
「うるっさいわねー!ちょっと間違えただけでしょうが!」
「そういえば、戦後アメリカが運用している大型空母ではスチームカタパルトが使用されていますね。」
「スチーム・・・なに?」
「戦中に使われていた油圧や水圧や火薬式ではなく、蒸気圧を利用したカタパルトの事です。
これは、空母で運用される艦載機の変化が影響しています。」
F−14 トムキャット
「む〜・・・」
「どうしました?」
「真っ黒に染まったF−14って無いの?ラーズグリーズカラー好きなんだけど・・・」
「私は桜吹雪のカラーが好きなんですけど・・・」
「申し訳ありません。私はそういったものは知りませんので・・・」
「つまんな〜い!」
「ヘンなワガママ言うんじゃない。話が無意味に止まるだろ。」
「で、さっきの飛行機がどうしたわけ?」
「戦中の航空機はレシプロエンジンが使われていましたが、戦後になるとジェットエンジンが徐々に使われ始めたのです。
それにより、空母においても状況に変化が出てきました。」
「変化とは?」
「航空機にジェットエンジンが使われるようになった事で、従来型の空母では運用に支障が出てきたのです。
発艦するにも普通に滑走したのでは離艦が難しく・・・そこで出てきたのがスチームカタパルトなのです。」
「だが、カタパルトは以前からもあっただろう?」
「だよね。」
「蒸気圧を利用するスチームカタパルトの場合、従来のカタパルトより高出力が得られます。
最初に開発したのはイギリスの様ですが、まともに運用していたのはアメリカですね。
と言うより、戦後アングルドデッキやスチームカタパルトを使った大型空母を運用していたのはアメリカくらいのものなのです。」
「なんでアメリカだけなんだ?」
「空母の維持に膨大な予算が必要だからです。
第二次大戦当時でも空母は高価でしたが、戦後になると艦載機の発達とも相まってさらに費用が掛かるようになってしまいました。
空母を保持・運用している国は多々ありますが、大型空母となると・・・やはりアメリカくらいとなってしまいます。」
「アメリカってスゲーんだな。」
「ぶっちゃけフリーザ様みたいな国ですからねぇ。」
「どんな例えよ・・・。」
「あと、戦後の空母と言えば動力に原子力が使われるようになったというのも特徴の一つとして挙げられますね。」
「げんしりょく?」
「核を利用した機関の事だ。」
「・・・従来型のボイラーの代わりに原子炉を搭載したと考えていただければ問題は無いかと。」
従来型 原子炉
アメリカ海軍 原子力空母・エンタープライズ
「手抜きも良いトコな絵ね。」
「別にかまいません。私は気にしませんから・・・」
「そういう問題じゃないっての。」
「原子力だと何が良いの?」
「通常動力の様に燃料を大量に搭載する必要が無く、航続距離が桁違いに増大しています。
ボイラーの様な排煙などありませんから煙突も不要、そのため排煙による気流の乱れを気にする必要もありません。」
「良い事尽くめに思えますが。」
「・・・核廃棄物の問題がありますし、欠点が無いわけではありません。」
「核廃棄物?」
「当時の原子炉は核分裂を利用したものでしたから・・・放射能の問題もあり、決して完璧とは言えませんでした。
コストは増大していますし、いくら空母そのものの航続距離が増えていると言っても護衛艦がそれに追従出来る訳でもありません。
見方によっては通常動力空母と大差無いと言う意見もあるとか・・・」
「昔の機関は大変なのだな。」
「ちなみに、21世紀初頭の時点で原子力空母を保有していたのはアメリカとフランスだけだった様です。」
「フランス?なんでフランス?」
「フランスも原子力空母を保有しているとは言え1隻がやっと・・・そのあたりは推して知るべしと言ったところかと。」
「なんでフランス?って・・・プルも酷い事言うわね。」
「そっかな?フランスってあんまり話に出てなかったから、あんまりイメージ無くて。」
「見栄で空母持ってるって話ですからねぇ。」
「そういえば、どこぞの市民団体が原子力空母の入港に反対とかしてなかったっけ?」
「ここは、政治問題を話すところでは無いのですが・・・」
「あんただって政治の話を散々絡めてたでしょうが。今更何言ってんのよ。」
「何の話だ?」
「21世紀初頭の話なのですが、アメリカの通常動力空母の退役に伴い日本に配備される空母が原子力空母となったのです。
当時の日本にはそれに反対する団体が少なからずありまして・・・」
「原子力空母はんたーい!原子力空母はんたーい!」
「お前らの家の電気も原子力で発電してるって知らねーのか?
あいつら、何が気に入らないんだ?」
「原子力なら何でも悪いと思ってんだろ。」
「よく分からないんだが・・・日本に空母が必要なのか?」
「・・・当時も空母は抑止力としての効果があります。
一時期は空母不要論というのもあったみたいですが、即応力という点から考えると空母は十分過ぎる性能を発揮出来ますからね。
おまけに、当時の極東というのは政治的にも色々問題の多い地域でしたから、抑止による安定を考えるなら空母は必要不可欠でした。」
「あんた、なんだかんだ言ってしっかり語ってるじゃない。」
「・・・・・。」
「まだ、よく分からない・・・。日本の安全に空母が要るなら反対する理由が無いじゃないか。」
「はぁ・・・、それはそうなのですが。」
「空気が読めてないだけでしょ。あるいは良いように扇動されてるとかね。」
「目くそ鼻くそを笑う。」
「ちょっと!それどーいう意味よ!」
「アスカさんが空気が読めてないのはいつもの事ですし、玉砕するにしても情報元に踊らされてると言えますし♪」
「いちいち解説すんじゃないわよ!」
「まぁ、政治的な問題についての事情はここでは言及しません。そろそろ空母そのものの話に戻したいので・・・」
「まだ話す事があるのか?」
「アメリカについては大体終わりましたから、次は他国の空母を少し説明していこうかと・・・」
「他国って言うと、影の薄いイギリスとかか?」
「イギリスについてはもう少し後で・・・、次はロシアの話になります。」
ロシア海軍 アドミラル・グズネツォフ
「写真ちっちゃくない?」
「適当な写真が無かったもので・・・そのあたりはご了承下さい。」
「で?」
「こちらのアドミラル・グズネツォフは正確には重航空巡洋艦という分類だそうてす。
形こそ似ているものの、運用目的はアメリカとは大きく異なっていますから。」
「そうなのか?」
「搭載機は基本的に艦隊直援用の戦闘機がメインであり、
この空母・・・アドミラル・グズネツォフは重航空巡洋艦ですが、対象となる仮想敵はあくまで原子力潜水艦だったそうです。
アメリカの空母と違い、空母そのものに重武装を施しているのもそういった事情からです。」
「でも、見た目空母なんだから空母って呼んでも良いんじゃないか?なんでそんなややこしい事を・・・」
「これは、黒海付近の海峡の通行に関する問題が絡んでいます。
ボスポラス海峡・ダータネルス海峡の問題についてはこちらで語られていますが、昔から問題の種となっていました。
1936年に締結されたモントルー条約において、15000t以上の空母の通行は禁止されてますので
それらをクリアするために航空巡洋艦という分類にしたとかなんとか・・・あまり詳しく無いので、この話は割愛します。」
「割愛って・・・モノは言い様ね。」
「でも、どう見ても空母です。本当にありがとうございました。」
「・・・見た目は空母でも一応、重航空巡洋艦なんです。
先程も話しましたがアドミラル・グズネツォフは対艦ミサイルを装備するなど重武装を施してますから・・・
航空巡洋艦という主張も全くの嘘では無いわけです。」
「ほんと、モノは言い様だな。」
「ところでさ、アドミラルなんとかってのの先っぽが曲がってない?なにアレ?」
「スキージャンプ台ですね。これは、ある程度の推力がある機体でなら発艦に有効な装備であると言えます。
最初に考案したのはやはりイギリスの様ですが・・・」
イギリス海軍 軽空母・アークロイヤル
「これって何が良いんだ?」
「通常の発艦に比べて滑走距離が短く取れる事、艦載機の発艦が合成風力にそれほど左右されない事
また、カタパルトを装備しない分、その分の搭載量を他へ回す事が出来ます。」
「じゃあ、スキージャンプ台の方が良いじゃん。」
「スキージャンプ台を有効に活用するには、機体そのものの推力が重要となってきます。
加えて、スキージャンプ台を設置してしまうとその部分は離艦にしか使えなくなってしまうため、その部分に駐機させる事も不可能となります。
また、カタパルトでの離艦に比べて航空機の兵装搭載量も制限されるという話ですしね。
スチームカタパルトやスキージャンプ台が優れているとしても、それぞれ長所と短所があるのです。
そうなると、自国の予算や運用方針によって選択するという事になってしまうのですが・・・」
「ロシアは、なんでまたスキージャンプ台にしたんだ?」
「ロシアも一応スチームカタパルトは開発していたものの、アドミラル・グズネツォフへの搭載は見送られたとか。
もっとも、ロシア海軍は予算の問題もありアドミラル・グズネツォフも就航後それほど満足に運用されていたとは言えません・・・。
やはり空母を運用する上で一番の問題となるのが費用なのでしょう。
イギリスが大型空母の運用を諦めたのも予算が原因ですし。」
「ふ〜ん。」
「そういえば、戦後の空母に対空砲は無いのか?何枚か写真見てるけど全然見ないんだが。」
「・・・アメリカの場合ですと、対空ミサイルと近接防御用にCIWSというガトリング砲が搭載されているのみで
戦時中の様な両用砲や対空砲の類は搭載されていません。」
「なんでまた?」
「以前に話したかもしれませんが、艦隊防空の要が戦闘機だからです。
それに、予定される防衛ラインも戦時中とは比べ物にならないくらい遠距離になっていますからね。
どちらかと言うと敵が空母に近寄れないように防ぐというのがメインとなっていると言えますね。
空母を攻撃するには、防空戦闘機や対空ミサイルの壁を突破しなければなりませんから。」
「そーなんだ。」
「・・・・・。」
「なんで黙るのよ。」
「空母に関してはこれ以上話す事も無いので・・・」
「だからっていきなり黙るな!何事かと思うでしょうが!」
「ん?空母の話は終わりなのか?」
「そうですね。大型空母を運用出来たのはアメリカのみとなり、他の国は軽空母やその他を少数運用していくくらいですから。」
「アメリカの1人勝ちじゃん。」
「まぁ・・・、そうです。」
「さすがフリーザ様。」
「そういう安易な例えは止めなさいって。」
「そういえばさ、戦争の後って日本に空母無いの?」
「日本には戦後空母は必要無い・・・と言うより予算がありませんから。軍備に費やすにしても他の事に使った方が良いですからね。
それに戦前・戦中に空母を生産運用していたとは言え、その建造・運用ノウハウが失われてしまっている上に
現在の空母の技術に追いつくまでにはかなりの時間と予算が必要となります。
果たして、そこまでして日本が空母を独自に保有する意味があるのかどうか・・・個人的には欲しいとは思いますが。」
「個人的にって、をい。」
「予算の無い国でも比較的運用しやすいのが、先程の軽空母やヘリ空母の類ですね。
特に戦後になるとヘリコプターが戦力の一つとして運用されるようになってきましたから。」
「ヘリコプターか・・・。」
「まぁ、空母についてはこのあたりにしておきましょう。語りだすとキリがありませんし。」
「んじゃ、そーいう事で♪」
萌えよ!空母学校
閉校