萌えよ!空母学校 三時限目
「それじゃ、授業を始めま〜す。次はアメリカ軍の空母ヨークタウン型についてです。」
「今回は珍しく脱線は無しだな。」
「おや?もしかして誘ってるんですか?」
「誰がだ。私がそんなくだらない事をするわけないだろ。」
「も〜、二人ともおしゃべりしない。せっかく真面目にやろうとしてんだから。」
「おしゃべりって、これは・・・」
「や〜い、怒られた〜怒られた♪」
「お前は小学生か!大体、誰のせいだと思ってるんだ!」
「プルツー・・・、アンタも大変ね。」
「とりあえず、あの2人はほっといて話を進めるね。では、まずこちらをご覧ください。」
アメリカ海軍 空母・ヨークタウン
「で、これがどうしたんだ?」
「アメリカの空母なんだけど・・・」
「私が聞きたいのはそういう事じゃない。」
「そういや、これって前にも出てきたよな。」
「そうだっけ?」
「随分前になるがな。日米空母の違いについて説明があったときの話だ。」
「このタイプの空母の特徴の話もそのときの説明で終わっちゃってるみたいだから
飛ばしちゃっても良いんだけどね♪」
「私は聞いてないが・・・」
「他の人が知ってるから無問題かと。」
「どこが無問題だ!」
「ま、この空母もあんまり特徴って無いみたいなんだよね。
開放式の格納庫と艦隊運用出来る速力が出て、機動部隊としてちゃんと使えるってのが特徴って言えば特徴なワケだしさ。」
「さっきまでと、知識の量が大分違っている気がするのだが・・・。」
「ホントだな。お前本当にプルなのか?」
「違う、あたしは超(スーパー)プル。」
「スーパーって・・・なんだそれは?」
「説明するのも面倒だ。勝手に想像しろ。」
「なんて言い草だ。」
「べジータ様のデフォですからしょうがないかと。」
「あんたら・・・」
「で、話を戻すけどさ。このヨークタウン型って後々たっくさん造られるの空母の原型みたいなモンなんだよね。
ぶっちゃけて言うとエセックス級の雛形ってトコかな?」
「雛形って・・・お前、言葉の意味をちゃんと分かって使ってるのか?」
「ん〜・・・なんとなく?」
「おいおい・・・」
「で、次に出てくるエセックス級なんだけど・・・」
「ちょっと待て、話が早すぎる。
それに、開放型の格納庫ってのが何なのか私はまだ聞いてないぞ。」
「前にレイから説明聞いたじゃん。」
「そうだったか?」
「まだ、お前さんが居ない時だったけどな。」
「それじゃ、私が知るわけないじゃないか!」
「でも、説明が重複してしまいますしこの件については糸冬でFA?」
「ワケの分からない事を言うな!」
「だが、復習の意味合いも含めてもう一度説明してみたらどうだ?それにプルの知識がどの程度のものなのかも疑問がある。」
「え〜、メンドくさいなぁ。じゃあ、はいコレ。」
密閉式格納庫 開放型格納庫
「そーいや、こんな絵もあったわね。」
「これは?」
「空母が爆撃を受けた時の状態を説明した絵。これ見れば分かるでしょ?」
「・・・・・。」
「じゃあさ。例えばの話だけど手のひらの上に爆竹を乗せて爆発させたらどうなると思う?」
「手に火傷するに決まってるだろ。」
「でも、そんなに大怪我にはならないよね。
それじゃ、爆竹を手の中に握り締めて爆発させたら?」
「させたら?」
「ボンッ!二度とケチャップの蓋を開けられなくなるでしょう。」
「何の話してんのよ・・・。」
「隕石の映画だっけか?懐かしいなぁ。」
「何の話かと思えば・・・映画と空母じゃ何の関係も無いだろ。」
「そーでもないでしょ。
つまり、密閉されたとこで爆弾とかが爆発すると周りもスゴイ事になっちゃうって話なワケだし。
これは空母でも隕石でも一緒だと思うんだけど。」
「なるほど・・・て、なんで私がプルの説明で納得しなくちゃならないんだ?」
「どうだ、まいったか!」
「威張る話では無いと思うが・・・」
「そういう話だと開放型の格納庫の方が優れてるって事か。」
「ま、ダメコンに関しては開放型が良かったって話だったわな。」
「まーね。開放型の方なら、もし爆弾落とされたとしても爆発の圧力を逃げさせられるし、
消火に使った水の排水にも困らないし、誘爆したら困る爆弾とか飛行機とかも捨てるのに楽だし。」
「いい事ずくめでつ♪」
「ちなみに、開放型の空母使ってたのはアメリカがメインだったんだってさ。」
「ま、合理的なアメリカらしいわよね。密閉式ばっか造ってた日本も見習えば良かったのに。」
「だが、密閉式にも利点はあるんだろ?そうじゃなければワザワザ造る理由が無い。」
「お!プルツー鋭いね〜♪ごほうびに座布団一枚!」
「鋭いねぇ〜、おたくまったく鋭いねぇ〜ノ◆(←座布団)」
「そんなものいるか!」
「そういえば、密閉式って何が良かったんだっけ?」
「忘れたのか?密閉式の利点は天候に強いという点だったろう。」
「んな事、いちいち覚えてないわよ。」
「どういう事だ?」
「え〜とね、戦争中の話なんだけどアメリカの空母が台風に巻き込まれて大損害受けちゃったんだって。
アメリカの空母は開放型が多かったから、さらに被害拡大?」
「壁がスカスカじゃそうなるに決まってるだろ。シャッターなり扉なり無かったのか?」
「んなの付いてるに決まってるじゃん。台風を防ぐ役には立たなかったって話なだけで。」
「そうなのか・・・。」
「まともに台風に遭遇するとヤワな船はズタボロになっちまうからな。」
「あと密閉式で何が良かったかって言ったら、飛行機の保護にも向いてたってトコかな。」
「なにそれ?」
「ほら、飛行機とかって金属で出来てるじゃん。よく分かんないけど、潮風とかにさらしっぱなしってのは良くないんだって。」
「だが、航空機なんてのは消耗品だろ?そんなに長持ちするものじゃ無いからな。
私は選ぶとしたら空母の生存性を高めた方が良いと思うんだが。」
「それは日本には無理だよ。飛行機も貴重品なんだもん。
アメリカみたいに機体は消耗品、搭乗員が帰れば大戦果さって余裕があるわけじゃないし。」
「ウォードック隊は直ちに基地へ帰還、燃料弾薬を補充して再出撃。
ユークトバニアが宣戦布告した。」
「何の話だ?」
「それにさ。核戦争後の話を描いた漫画・・・え〜と、北斗の拳にもそ〜いう話があったよね。」
「はい?」
「ほら、長男の人が特攻隊に行ったトコで先輩が飛行機壊して上官から怒られてたじゃん。天皇陛下の飛行機を壊してどうとかって。」
(ラオウが特攻隊・・・?そんな話聞いた事がない。)
「次男の人は影が薄いけど、三男が主役で大活躍してたじゃん。四男の人は可哀想に死んじゃったけどさ。」
(トキはともかくジャギが大活躍・・・?ケンシロウ死んでるって・・・?)
(ちょっとひし形。プルがなに話してんのかさっぱりわかんないんだけど。)
(ちょ、無理言わないで下さい。私も分からないんですから。)
「プル。北斗か何か知らんが脱線は程ほどにしろ。さっぱり話についていけん。」
(・・・!)
(マシュマーさんGJ!)
(んだな。俺らの疑問を代弁して貰ったからな。)
(騎士ヲタに感謝するなんてのはこれが最初で最後かしらね。)
「え、なんで北斗?」
「・・・お前が話に出したのだろう?北斗の拳とやらにも飛行機に関する話があると。」
「あ、ごめん。はだしのゲンだった。」
「ちょっと待て!全然違うじゃないか!」
「ゴメンゴメン、名前似てたから間違っちゃった♪」
「似てるか!お前の脳神経はどんな繋がり方してるんだ!」
(・・・・・。)
「いい加減に話を戻せ。随分空母の話から逸れてきているぞ。」
「それもそーだね。んじゃ、次は日本の空母の説明にしよっか。」
帝国海軍 空母・瑞鶴
「今度は日本か。で、これは?」
「日本の空母。」
「何度同じ問答を繰り返させるつもりだ。私が聞きたいのはそういう意味じゃない。」
「はいはい。んじゃ、説明するね。
この瑞鶴と姉妹艦の翔鶴は条約外の空母で、それまで日本が蓄積した建造ノウハウを詰め込んだ空母なんだって。」
「建造ノウハウって言うと?」
「横向き煙突とか密閉式格納庫とか全通式飛行甲板とか?」
「疑問系?」
「それだけだと、今までとあんまり変わらない気がするんだけど・・・。」
「そーでもないよ。
ほら、これまでだと作っては改装して直しては改装してってやってたじゃん。
それに比べると一応は空母の完成形みたいな感じになってるから、すぐに戦場に送れたわけだし。」
「戦場・・・?」
「真珠湾だよ、あの時の翔鶴と瑞鶴は最新鋭だったんだってさ。」
「でも、アメリカの空母に比べるとイマイチって気がしない?カタパルトだって無いわけだし。」
「ん〜と・・・、日本も一応かんはつそくしんそうちってのを開発してて、完成の暁には搭載しようとしてたんだけどね。」
「・・・なんで言葉がたどたどしいんだ?ちゃんと喋れ。」
「艦発促進装置・・・さしずめカタパルトの事だろうが。」
「そういえば、日本にもカタパルトってあったろ?あれ使えばいいんじゃねーの?」
「え?」
「ほれ、ミッドウェーの話のときに散々カタパルト故障って話が出てたじゃねーか。
せっかくカタパルトがあるんなら空母に積めば良いんじゃねーの?」
「言われてみれば・・・それもそうよね。なんで空母に付けなかったのかしら?」
「そのあたりはどうなんだ?」
「え?あたし?」
「当たり前だ。お前以外に誰が居る。」
「え〜とね・・・え〜と・・・」
「クックック・・・、超プル(さん)か。」
「あんた、いきなり何言ってんのよ。」
「どうしたのだ、さっきまでの勢いは?笑えよ、プル(さん)」
「ラミエルー!いくら貴様が第五使徒だと言っても
こいつ(ポジトロンライフル)をマトモに受け止める勇気が貴様にあるかーっ!
はっはーっ!ムリだろうな、貴様はただの臆病者だーっ!」
「・・・ネタはいいから。」
「う〜・・・」
「そろそろ助っ人の出番かねぇ。」
「そういばレイはどうした?」
「言われてみれば、さっきから姿を見かけんが・・・」
「あの人形女、どこで油売ってんのかしら。いざって時に居ないなんて使えないわね〜。」
「は〜い、注目〜!何がどうなのか分かったよん♪」
「いきなりだな。」
「お前、適当な事を言うつもりじゃないだろうな。」
「だいじょぶだいじょぶ。
え〜とね、何がダメなのかって言うとカタパルトの性能の問題なんだって。」
「なんだそりゃ?」
「ん〜と・・・、
普通は飛行機って滑走してスピードを上げてから飛び上がるんだけど、カタパルトを使うとすると一気にスピードを上げなきゃならないじゃん?
でも、飛行機って言っても色々だから軽い偵察機とかなら打ち出せても、重い戦闘機とか爆撃機とかだとムリみたいな感じ?
それに、巡洋艦とかに積んでるのと空母に積もうとしてたカタパルトは違う種類だったって話だしね。」
「ふ〜ん、カタパルトって言ってもみんな同じじゃねーのか。」
「その点、アメリカは流石よね。空母にちゃんとカタパルト装備してたし。」
「でも、付けたり取ったりしてたんだよね。」
「・・・どういう事だ?」
「アメリカもさっきのヨークタウン型の空母にカタパルトつけてたみたいなんだけど、途中で外したりとかしてたみたいだよ。
なんか、戦争中もあんまし使わなかったみたいだし。」
「なんで使わなかったんだ?」
「使う必要が無かったからでしょ。護衛空母とかではわりと使ってたみたいだけど。」
「プッw」
「なんで笑うのよ。」
「得意気に自慢して玉砕したアスカさんが面白くてw」
「数え切れないほど玉砕してるしなぁ。」
「るさいわよ!」
「クックック・・・、超(スーパー)アスカか。どうしたのだ?さっきの勢いは。笑えよアスカ。」
「ちょっと!私は超がどうたらなんて言ってないでしょうが!しかも呼び捨てってのはどういう了見よ!」
「そっちの方が語呂が良かったので。」
「語呂で判断すんじゃない!」
「え〜と、ついでだから空母の格納庫の説明するね。
翔鶴型の方は密閉式で二層構造になってて、ヨークタウン級の方は一層で開放型。
ヨークタウンの方は写真見たほうが分かりやすいかな?」
翔鶴型 ヨークタウン級
(赤く示した部分が格納庫)
ミッドウェーで損傷中のヨークタウン
「日本軍機の攻撃を受けた後の状態か・・・。」
「でも、煙は出てても飛行甲板とかは大したダメージ無さそうだよな。遠目だからよく分からんけど。」
「そりゃそーでしょ。アメリカの空母は防御に優れてるもの。魚雷一発で沈むどこぞの装甲空母とは違うのよ。」
「で・・・どっちの方が良いんだ?」
「こういうのって、どっちが良いって事も無いんだけど・・・どっちにも長所と短所があるって話だったじゃん。」
「そ、そうか・・・。」
「プルさんの説明に言葉を失うプルツーさん萌え♪」
「だ、黙れ!」
「んじゃ、次はエセックス級ね。」
アメリカ海軍 空母・エセックス
「これもヨークタウンと特徴は似てるんだけど、サイドエレベーターを採用してんのも特徴かな。」
「サイドエレベーター?」
「ほら、艦橋の横に付いてるじゃん。それ。」
「なんで脇にエレベーターを付けたんだ?」
「飛行甲板の中央にエレベーターがあるより勝手が利くからでしょ。そーじゃなきゃ、その後の空母に採用されないって。
これがサイドエレベーターの雛形ってトコかな。」
「・・・・・。」
「あ、ゴメン。」
「どうした、いきなり?」
「サイドエレベーターを一番最初に積んだのはワスプなんだって。間違っちゃった♪」
「お前、ちゃんと考えてから喋れ。」
「ところで、ワスプとは・・・これの事か?」
アメリカ海軍 空母・ワスプ
「そうそう、これこれ♪」
「よりにもよって、その写真かい・・・。」
「ごめんね。それくらいしか写真ないみたいだから・・・あ。」
「どうした?」
「ゴメン、ちゃんとした写真あった。はいコレ。」
アメリカ海軍 空母・ワスプ
「・・・・・。」
「どしたの?」
「これ・・・、どこにサイドエレベーターがあるんだ?見た感じどこにも見当たらないんだが。」
「あ、ホントだ。何コレ、話が違うじゃん。」
「話って・・・?」
「どういう事なんだ?コレは本当にワスプなのか?」
「え〜と・・・う〜・・・」
「また詰まったか・・・。」
「あ、分かった分かった。ワスプのサイドエレベーターを積んだのは最初だけで後で取り外しちゃったんだって。
だから、その写真にもサイドエレベーターが写ってないんだと思うよ、ウン。」
「また、いきなり閃いたのか?」
「うん、そうそう。ピキーン!って♪」
「・・・・・。」
「でもさ、これまで説明聞いてきたけど、どう見てもアメリカの空母の方が性能良さげじゃない?
防御は良いし、先進的なサイドエレベーターも付けたりしてるし。」
「そっかな?」
「そーよ。だって、日本がこの後出してくる空母なんて装甲空母とその他くらいでしょ。特徴は無いしすぐに沈むし。」
「綾波さんが居ないと水を得た魚の様でつね。」
「どこぞの経済アナリストみたいだな。」
「誰がよ!ファーストなんかコテンパンに論破できるっての!」
「でもさ、日本よりアメリカの方が工業力とかって進んでたんでしょ?
そんなんだとアメリカの空母の方が勝ってて当然って話になるって話なんだけど・・・・」
「なんか・・・プルの説明がファースト染みてきた気がするんだけど、私の気のせいかしら。」
「・・・お前もか?なんとなく私もそう感じていたが。」
「ブルータス、お前かも?」
「何をワケの分からん事を・・・」
「だが、プルが妙だというのには同意だ。あんな短時間でそうそう知識が増えるはずが無い。」
「ね〜、みんなで何コソコソしてんの?」
「プル、ちょっと動くな。」
「え、ちょっとなにすんのよ!プルツーのエッチ!」
「誤解を生むような発言をするな!ジッとしてろ!」
「あ・・・!」
「やっぱりか・・・、なんだこれは。」
「えと・・・、インコム?」
「くだらない事を言うな!それは・・・」
「命中率99%の」
「インカムだろ!・・・て、途中で妙な言葉を挟むな!」
「つまり、無線で指示を受けながら説明していたという事か。無線の相手はさしずめ・・・」
「ファーストに決まってるでしょ。あんな偏った説明するのなんて他に居ないし。」
「ククク、お前達の言うとおり、超プルは妖術や魔術といった類のモノではない。超プルの正体はそれ。」
「誰も妖術とかなんて言ってない・・・」
「その時私は気付いたのだ。遠くの小川のせせらぎまで聞こえる、この異常聴覚に。異常聴覚にかかれば・・・」
「脱線は止めろ!どういう事なのかちゃんと説明・・・」
「キ〜ン コ〜ン カ〜ン コ〜ン♪」
「妙なところで話を止めるな!」
「時間厳守ですよ、時間厳守♪」
「ま、バレちゃったんじゃしょーがないや。レイの事呼んでくるから休憩してて。」