マリアナ沖海戦 前

 

 

 

 

「おまたせ〜♪」

「意外と早かったな。」

「どっかの誰かさんがしゃしゃり出てこなければ、もっと早く戻れたんですけどねぇ。」

「うるっさいわね〜!余計な事をいちいち話すんじゃないわよ!」

「なんかあったのか?」

「え?うん、ちょっと・・・ね。」

「なんとなく見当は付くが・・・」

「ま、良いじゃん。早くお茶にしよ〜よ♪」

「おや?いつの間にかこの部屋綺麗になってません?」

「お前さんらがいない間に片付けといたのさ。」

「ふ〜ん・・・。」

「じゃ・・・どうぞ。」

「いただきま〜す♪」

「・・・いただきます。」

「おい、これが茶なのか?」

「そうだけど・・・どしたの?」

妙な色をしているが・・・」

「いや、緑茶は元々そんなモンだから気にすんな。緑茶も紅茶も似たようなモンって話だし。」

「・・・そうか。」

「う〜ん、この味が(・∀・)イイ!!ですなぁ。
この香りと熱さが中々絶妙で・・・お煎餅にもピッタリ!洞木さん、貴方良い奥さんになれまつですよ。」

「そ、そう?・・・ありがと。」

誰かさんでは無理でしょうけど。」

「うるさいっての!」

「では、そろそろ次の戦闘の説明に移りたいと思いますが・・・よろしいですか?」

「ん〜、良いよ〜。」

「ガリガリグァリガリ(煎餅を噛み砕く音)」

(・・・どうやって食べてるのかしら?)

「・・・では、これまでのおさらいから。
連合艦隊はトラック環礁から撤退しパラオに司令部を設置しました。」

「それ、前に聞いたって。」

「おさらいですよ、お・さ・ら・い。」

「ですが、司令部を移してから約1ヵ月半後の昭和19年3月30日、今度はパラオへアメリカ軍による空襲が行われたのです。」

「・・・態勢を整える暇も与えんつもりか。」

「・・・連合艦隊の首脳は再び司令部の移動を決定。
空襲直後の3月31日、フィリピンのダヴァオへ2機の二式大艇で飛び立ちましたが、そのまま消息を絶ってしまいました。

「消息って・・・をい。」

「つまり、行方不明になっちまったって事か?」

「・・・連合艦隊司令長官の古賀大将も行方不明となり、後に殉職と発表されました。
新たに連合艦隊司令長官となったのは豊田福武大将です。」

「また、総大将がやられちゃったんですか?」

「・・・彼等が行方不明になった原因は低気圧だったとされています。前回の山本大将の時とは違います。」

「でも、平たく言えば遭難でしょ?」

「そうなんですか?」

「そうなんです〜♪」

「あんたら・・・」

「実際に人が亡くなられているのですから、少々不謹慎ではないかと思いますが・・・」

「ごめんなさ〜い。」

「・・・ネタは程ほどにな。」

「まぁ、どうでもいいんだけどさ。空襲受けたから即撤退、挙句に遭難ってのは・・・さすがに笑えないんだけど。」

「笑い話ではありませんよ?」

「そーじゃないわよ!空襲受けたその日に、即行逃げるってのはどういう事よ!敵前逃亡にも程があるでしょ!」

「敵前逃亡は士道不覚悟!」

「士道不覚悟って・・・」

「その辺りの判断は私には分かりかねますが・・・」

「はい?」

「連合艦隊司令部を迅速に移動したと見るべきか、敵前逃亡したと見るべきか・・・見方一つでどうにでもなります。
しかし、今回の一件で問題なのはそんな事ではないのです。」

「なにがなんだかよく分からんが・・・」

「先ほど説明したとおり、2機の二式大艇は行方不明となってしまいましたが、その乗員の中に生存者が存在していたのです。彼らの内、幹部を含む数人は漂流中に現地人と思われる集団に身柄を保護されていました。」

「助かってたんだ、良かったじゃん♪」

「そこで話が終われば良かったのですが・・・」

「何よ、その含みのある言い回しは?」

「現地人だと思っていた集団は実はアメリカ軍と通じているゲリラだったのです。
間の悪い事に、日本軍の今後の作戦計画や暗号等を記した機密文書も奪われてしまいました。

「奪われたって・・・何を悠長な!そんな重要なものをなんだってすぐに処分しないのよ!」

「・・・ゲリラだと気付くのが遅かった様です。
慌てて機密文書の入った鞄を海に捨てたものの、あっさり回収されてしまったのです。
その後、機密文書はオーストラリアのマッカーサー大将の元に届けられました。その結果がどうなるかは・・・言うまでもないでしょう?」

「どうなったの?」

「少しは考えてから発言しろと何度言えば・・・」

「あたしだってちゃんと考えてるもん!」

「そうなのか?」

「うん、え〜とね・・・」

「考えてないじゃない・・・。」

「・・・自分の身に置き換えてみろ。お前がもし役に立つ情報を手に入れたとしたらどうする?」

「役に立つって、例えばハマーン様ハマーン様、私は救いを求める哀れな子羊です・・・てやつとか?」

「その話は関係ないだろう!」

言いふらすに決まってるじゃん♪だって、面白いんだもん。」

「ね〜♪」

「ぐぬぬぬ・・・」

「概ねそんな感じですね。」

「はい?」

「・・・マッカーサー大将に届けられた帝国海軍の機密文書は即翻訳され、20部ほど印刷されました。
それらのうちの数部がハワイの太平洋艦隊司令長官二ミッツ大将の元に届けられたのです。」

「情報が漏れちゃったってこと?」

「当然の結果ですね。
その機密文書には、日本のアメリカ軍迎撃作戦についての情報や基地航空戦力の配置、作戦の概要、暗号関係に至るまで・・・
マリアナ攻略を控えているアメリカ軍にとっては喉から手が出るほど欲しい情報が記されていたそうです。」

「ダメダメじゃん。どーすんのよ、これから。」

「うむ、情報の漏洩は憂慮すべき深刻な問題だからな。」

「フィリピンゲリラに捕えられた捕虜の方達は後に現地取引で釈放されました。
捕虜となった方々は査問委員会にかけられましたが、あまり深く追求される事は無かったそうです。
古賀長官行方不明から始まった一連の出来事は海軍乙事件とされました。
昭和19年4月始めから始まったこの事件は5月前には一応の決着がつき・・・
その後、5月3日に連合艦隊司令長官として豊田副武大将が就任しました。」

「そんな事はどーでもいいんだけどさ、情報漏れたなら何かしら対処しないとヤバいでしょ?」

「手の内バレバレだもんね。」

「で、日本軍はどういった対策を執ったのだ?」

「特に何も・・・」

「へ?何もって?」

「・・・言葉の通りです。
機密文書を奪われたのは不可抗力ですが、その後の推移を見る限り対応不足は否定出来ません。
これは反省すべき出来事だと思います。」

「あんたがそういう事言うなんて珍しいわね。」

「・・・そうですか?さすがにこればかりは弁護のしようも無いだけの話です。」

「結局、なにもせずにそのままだったんですか?」

「作戦や暗号を根本的に変更したと言う話は聞きませんし・・・。
アメリカ軍による日本軍の暗号解読がどの程度だったかはこれまで不確かでしたが、
今事件以降はほぼ確実に解読されていると見ていいでしょうね。」

「なにやってんだか・・・そんなんじゃ勝てるわけないじゃん。」

「もともと勝ち目はないんですけどね。
もちろん、この事件が起きなければ後々もう少し善戦できたかもしれませんが・・・言っても詮無いことです。」

「だから、それで話を済ませんじゃないわよ。」

「では、これらの予備知識を踏まえて・・・そろそろ本題に移りたいと思います。」

「まだ、メインの話じゃなかったのか・・・。」

「少し時間を戻します。昭和19年2月20日、ラバウルの海軍航空隊がラバウルから撤退した日までです。」

「何がなんだか解らなくなってきちゃったけど。」

「日本軍はミッドウェーでの敗戦やガダルカナルでの消耗戦を踏まえ、基地航空部隊の充実に務めていました。
そして、昭和18年7月・・・決戦兵力として、基地航空部隊である第一航空艦隊が編成されたのです。」

「決戦兵力か・・・。その様な部隊が日本軍にもあったか。」

「この第一航空艦隊は、逐次前線に投入された連合艦隊所属の部隊と違い大本営直属の精鋭部隊とされました。
訓練が完了するまで内地に温存しておく方針だったのです。しかし・・・」

「歯科医?」

「つまんないから・・・。いい加減、学習しなさいよ。」

「状況の変化が訪れました。それが先ほど話したラバウル航空隊の撤退です。
程なくして第一航空艦隊・・・一航艦は連合艦隊の指揮下に入りマリアナ諸島へと進出しました。
司令部はテニアン島に、航空隊はマリアナ諸島の各基地に配属となったのです。」

「結局、前線送りになっちゃったんだね。」

「・・・仕方あるまい。前線の戦況は逼迫しているのだからな。」

「2月20日に進出した第一航空艦隊ですが
部隊の多くは進出中で、司令部のあるテニアン島にはいまだ部隊が整っていませんでした。
しかし、敵機動部隊発見の報を受けると、陸上攻撃機を14機を夜間攻撃に向かわせたのです。」

「就いた早々、即攻撃か。日本軍にしては結構積極的だな。」

「・・・司令官の性格かもしれません。この第一航空艦隊の司令官は角田覚治中将でしたから。」

「誰?」

「だから、角田中将だと綾波さんが言ってるじゃないですか。何を聞いているんですか、貴方は!」

「名前の事を聞いてるんじゃないの!その人がどういう人かって聞いてんのよ!」

「言い訳(・A・)イクナイ!!」

「人の話を聞きなさいよ!勘違いしたのはあんたでしょうが!」

「綾波さん、その角田さんとはどういう人なんですか?」

「無視すんじゃないわよ!」

「角田中将は1942年のダッジハーバーへの空襲や、南太平洋海戦でのアメリカ軍への執拗な攻撃など・・・
闘将として有名かと思います。」

「エヘへ・・・、昔過ぎて忘れちゃった。」

「・・・では、おさらいとして少しだけ。」

角田中将について
1942年にダッジハーバーへ空襲を行った時、航空機回収を確実にするため、危険を承知で母艦を前進させた。
南太平洋海戦の時、航空隊を用いて執拗に攻撃。攻撃機の数が一ケタになるまで攻撃を行った。

「猪突猛進っていう風にしか思えないけど?」

「アスカさんに言われたくないはずでつよ。」

「るっさい!」

「・・・第一航空艦隊は本来1600機もの大兵力を持ってマリアナ各地の基地を縦横無尽に移動。
敵を叩き戦局を挽回する為に温存された文字通りの決戦兵力でした。」

「1600だと?本当にそれほどの戦力を集結させる事が出来たのか?」

「・・・劣勢の日本軍で作戦計画が順当に進むほど、甘いものではありません。
アメリカ軍も2月23日に延べ350もの航空機を動員して日本軍基地を空襲したのです。
これらの攻撃により日本軍の航空機は94機が失われたそうです。」

「1600もあるんでしょ?そんなに痛手とは思えないけど。」

「第一航空艦隊はアメリカ軍機動部隊襲撃の報を受けるたび迎撃に向かい、そのたびに戦力はすり減らされます。
また、ニューギニア方面の戦況も芳しくなかったため、多数の航空部隊が抽出されてしまいました。
4月の時点で第一航空艦隊の手元には700機程しか残っていなかったそうです。」

「何やってんのよ・・・。」

「何度も言っているじゃないですか。機動部隊による攻撃がいかに防ぎがたく恐ろしいものか、と。
その後、第一航空艦隊はアメリカ軍の攻撃により戦力の減少を余儀なくされました。
機動部隊の襲撃を受けるたびに第一航空艦隊は出撃、すっかり敵機動部隊に振り回されてしまったのです。
そして、戦力は徐々に減少・・・あ号作戦発動前に一航艦はほぼ壊滅してしまいました。」

「壊滅?1600機もあって数ヶ月足らずで壊滅しちまったのか?」

「・・・航空隊が分散していたため集中運用が出来なかった事が原因と思われます。
総数が多くとも、各個に撃破されればどうしようもありませんから。」

「一応聞いておくけど・・・戦果はあったの?」

「・・・アメリカ軍に顕著な被害が出たという話は聞きません。仮に戦果があったとしても微々たる程度でしょう。
結果として、日本軍は決戦前に決戦兵力を失う事になってしまいました。
そして、一航艦壊滅の原因に前述の海軍乙事件が関係しているのはまず間違いないでしょう。」

「フン、情報軽視してるからそんなことになるのよ。」

「・・・耳の痛い話です。」

「ねぇ、あ号作戦って何?」

「こちらの地図をご覧下さい。」

「・・・殉職した古賀長官、
海軍乙事件で不手際をみせた福留中将らが作成したZ作戦というものがありました。
赤線で示したマリアナ・パラオ・西部ニューギニアラインでアメリカ軍を迎撃するというものです。」

「不手際の割には強調してるんですね。」

「戦後、海軍乙事件について
福留中将は書類は奪われていないと自己弁護していたそうなので・・・
戦中ならともかく、戦後にもその様な主張をしていたのではそういう方なのだろうとしか思えません。」

「あんた、人の話聞いてるの?Zなんたらとかじゃなく、あ号作戦ってのを聞いてるんでしょうが。」

「・・・話は最期まで聞いてください。
古賀長官殉職後、軍令部でZ作戦が見直し、修正が加えられたのです。
フィリピン・パラオ・西部ニューギニアの青く記した三角地帯周辺でアメリカ軍を邀撃するという内容の作戦・・・
これが新たに策定されたあ号作戦の概要です。」

 

「なるほど・・・。ところで地図にタウイタウイとあるが・・・ここは何だ?」

「タウイタウイ泊地はパラオから撤退した連合艦隊の拠点として使用されました。
5月中旬から連合艦隊の主力がここに集結し始めたのです。」

「・・・ちょっといい?」

「なんです?」

「この地図みて思ったんだけど、なんでここにアメリカ軍が来るって分かったの?」

「・・・アメリカ軍は二手に分かれて日本に迫ってきていました。」

太平洋地域軍(POA)
南西太平洋地域軍(SWPA)

「二手に分かれてるなんて初めて聞いたが・・・」

「ファーストの説明は元々テキトーだもの、しょうがないわよ。」

「・・・軍令部ではこの2軍が合流しフィリピンに侵攻すると予想したのです。
そう考えれば、タウイタウイに主力を集結させたのは理にかなっていると思いますが。」

「じゃあ、さっき話してたマリアナとかにアメリカ軍が攻めてきたらどうすんのよ?散々、爆撃とかされてんでしょ?」

「・・・そのための一航艦です。
また、アメリカ軍の空襲はあっても上陸はしないだろうというのが軍令部の見方でした。」

「上陸しないって根拠は?」

ありません。

「ありませんって・・・をい。」

「・・・あ号作戦はどちらかと言うと、希望的観測も混じった作戦内容と言えます。」

「希望的観測で作戦を立ててどうする?」

「・・・日本軍の戦力を考えるとこれ以外に方法が無かったと思われます。
大兵力で迫ってくるアメリカ軍を相手に戦力を分散させても意味はありませんから。
昭和19年5月20日、あ号作戦が発動しました。そして5月27日、アメリカ軍が西部ニューギニアのビアク島に上陸してきたのです。」

「もしかして、いろいろ評判の悪い軍令部の予想が珍しく当たっちゃったんですか?」

「大当たり〜♪」

「・・・半分当たりで半分外れです。二手に分かれて進行して来たアメリカ軍が合流する予定は最初から無く、
マッカーサー大将率いるSWPAは南方からフィリピンに。二ミッツ大将率いるPOAはマリアナ諸島へそれぞれ進行していたのです。」

「ファイナルアンサー?」

「ざんね〜ん!」

「ワケ分からないから・・・。」

「日本軍はビアク島守備隊を支援する為、援軍の派遣を決定しました。
5月29日と6月10日に派遣された艦艇の総数は次の通りです。」

戦艦×3、重巡×3、軽巡×1、駆逐艦×10

「空母は出さないの?」

「・・・空母の相手はあくまで敵空母です。少なくとも、余裕の無い日本軍にはそう簡単に出撃させる事は出来ません。」

「艦隊保全主義ってヤツよね。そんな事やってるから負けるのよ。」

「・・・以前に話しましたが、艦艇の補充が容易ではない日本軍が艦隊保全に傾くのはある意味当然の事ですよ。」

「まぁな。」

「なんで納得してんのよ!」

「・・・考え無しに戦力を投入しては、いざ敵の本隊が現れた時に対処出来まい。常に全力出撃が出来れば苦労は無い。」

「・・・あんたにもファーストの病気がうつったの?敵を叩ける時に叩かなきゃしょうがないじゃん。」

「・・・大和、武蔵の2隻の超弩級戦艦が投入されたとは言え
ビアク島への援軍が比較的小規模で済ませられたのは敵上陸部隊の規模もあまり大きくないと判断されたためです。
しかし、ビアク島への支援作戦は途中で中止されてしまいました。」

「なんでまた?」

「6月11日にアメリカ軍によるマリアナ諸島への攻撃が始められたからです。
その攻撃の規模から、アメリカ軍の上陸が確実と見なされたのです。アメリカ軍機動部隊に対処するため
小沢治三郎中将閣下率いる第一機動艦隊はタウイタウイ泊地を出撃。
この艦隊は、新型空母大鳳以下9隻の航空母艦と航空機約450機を擁する文字通りの決戦部隊でした。」

「9隻って・・・最初の時より凄いじゃん。」

「航空機も真珠湾の時より多いしな。よくもまぁ、そこまで回復させたもんだ。」

「数が多くても、機動部隊ってパイロットの質が問題なんじゃないの?その辺りはどうなのよ。」

「・・・度重なる母艦搭乗員の喪失により日本軍機動部隊の再建は遅れに遅れてしまいました。」

「い号作戦、ろ号作戦の事か・・・。」

「大して意味も無いのに、無闇に作戦に投入しちゃったってヤツだっけ?自業自得もいいトコよね〜。」

「・・・以前にも話しましたが、母艦機の基地投入は苦渋の選択だったのです。
小沢中将閣下は母艦搭乗員の練成に時間が掛かることや、本来の運用から外れているため母艦機の基地投入に反対でした。」

「そういえばそんな話を聞いたような聞かなかった様な・・・」

「・・・搭乗員多数を失ったろ号作戦終了時、小沢中将閣下は生き残った搭乗員の前で訓示を行いました。
閣下は散っていった部下のために号泣し、いつまでも無言のまま立ち続けていたそうです。」

「閣下って・・・をい。」

「・・・部下の死を想うのは上官として至極当然の事。
そして弔うだけではなく、仇を討つ事こそが英霊達への最大の慰めとなる。ハマーン様もそう言っておられた・・・ああ、ハマーン様・・・」

「また、ハマーン様ですか?飽きないですねぇ。」

「うるさい!」

「しょーがないよ。いつもの事だもん。」

「ああ、ハマーン様。私はこの薔薇にかけて貴方の敵を討ってご覧にいれます。ハマーン様ハマーン様・・・」

向こうの世界に逝っちゃってるトコ悪いんだけどさ、そういうのは別のところでやってくれる?」

「何を言うか!上官のあるべき心構えを教えてやったと言うのに!」

「だって私達は別にマシュマーさんの部下じゃありませんしぃ〜」

「ね〜♪」

「まったく・・・軍規の欠片も感じられん部隊だな、ここは。」

「まぁ、クワトロ大尉も最低限の事を守りさえすればとやかく言うつもりは無いって言ってたからな。」

「あのお方がそう仰るのなら・・・それで良いのだろう。」

「そうそう。」

「どっかの誰かさんと違って話の分かる人が上官でよかったと思うんですよぉ〜。」

「そのだらけた口調は止めんか!」

「一体誰の真似なんだか・・・」

「話を進めますよ?小沢中将閣下率いる第一機動艦隊は新鋭空母大鳳を擁し・・・」

「ちょっと待った。」

「どした?」

「新鋭空母がどうとか言ってるけど、どーせまた普通の空母と変わらないんでしょ?
いい加減、意味の無い言い回しは止めなさいよ。」

「そういえば、ずっと前にもそんな話してたような・・・」

「そんな事ありましたっけ?」

「・・・珊瑚海海戦の時の話だろう?その時も、そのアスカとやらが言い掛かりをつけていたはずだが。」

「うるっさいわね〜!あんたも細かい事をいちいち覚えてんじゃないわよ!それに、気安く人を名前で呼ばないでよ!」

「なら、何と呼べば良い?」

「ラングレーとか?」

「それだと空母の名前みたいだね。」

「おまけにすぐ沈みそうですし。」

「あんたらうるさい!」

「アスカ、落ち着いて・・・。あ、お茶入れなおすわね。」

「あ、ありがと。」

「・・・第一機動艦隊の旗艦である大鳳は、当時まだ完成したばかり・・・文字通りの新鋭空母でした。」

「だ〜か〜ら!どーせただ新しいだけなんでしょ!紛らわしい言い回しは止めなさいって言ってるでしょうが!」

「・・・良い機会ですから少し説明しましょうか。こちらが新鋭空母・大鳳です。」

 


航空母艦・大鳳

「これって今までのと何か違うの?」

「・・・この大鳳は昭和19年3月に竣工したばかりの最新型です。
その目的は、最前線に出来るだけ止まり航空隊への補給を行いそれらを有効に活用する補佐をする事・・・。
大鳳は言わば海に浮かぶ航空基地の様なものです。」

「航空基地か・・・。だが、空母とは防御が弱いのではなかったか?」

「・・・問題ありません。大鳳の飛行甲板の前部エレベーターから後部エレベーターまでの間に、
500kg爆弾の直撃に耐えられるだけの装甲防御が施されていたのです。」

「それホント?」

「設計上は・・・。大鳳にはその防御力を生かし、他空母への攻撃を吸収する事も期待されていました。
航空基地代わりにするために、航空燃料や魚雷を大量に搭載出来る設計がなされていたのです。」

「( ・∀・)つ〃∩ ヘェーヘェーヘェー」

「凄いんじゃん。」

「その代わりと言ってはなんですが、航空機の搭載数は他の正規空母に比べて少なくなっています。
艦載機総数は戦闘機、攻撃機、偵察機合わせておおよそ52機ほどでした。」

「そんな軽空母に毛が生えた程度の数しか積めなくてどうすんのよ?意味無いじゃん。」

「アスカとやら・・・人の話を聞いていないのか?普通の空母と役割が違うと言っているだろう。」

「あんた、慣れ慣れしく名前で呼ぶんじゃ無いわよ!」

「むぅ・・・、では何と呼べば良い?」

「そのまんま惣流か?」

「やっぱり空母の名前みたいだね。」

「おまけにすぐ爆沈しそうですし。」

「うるさいっつってるでしょ!」

「それで・・・何か?」

「だ〜か〜ら!新しい空母なんだから、たくさん飛行機積める様にすんのが普通でしょ!」

「・・・大鳳は堅固な防御力を得るため、艦載機総数を犠牲にしても構わないという設計思想のもとで造られたのです。
元々の考え方が普通の空母とは違うんですよ。」

「・・・だそうだ。」

「だったら、防御も高めて飛行機も沢山積められるようにすればいいじゃん。」

「・・・ふぅ。」

「何よ、その溜め息!」

「・・・そんな事が出来るなら苦労はありません。
大鳳は甲板の重装甲によって重心が高くなるのを防ぐ為、通常の空母より甲板を一段減らしているのです。」


航空母艦・大鳳

 


正規空母・蒼龍

 

「確かに・・・写真に角度の違いはあるが大鳳とやらは造りが異なっているようだ。」

「さすが、新型と旧式は違いますねぇ(・∀・)ニヤニヤ」

「何が言いたいのよ、あんたは?」

「べっつにぃ〜♪」

「く〜!ひし形のくせにうるさいのよ、あんたは!」

「ひし形のくせにって・・・よく分からん日本語だぞ、それ。」

「うるさいっての!」

「では、分かっていただけたようなので次に移りたいと思います。」

「ちょっと待った!まだ話は終わってないでしょうが!」

「?」

「まだ納得していないのか・・・。」

「造りが違うってあんたが言ってるだけで、ぜんっぜん説明してないでしょうが!どーいう事なのよ!」

「そうですね・・・。それでは少し例え話で説明してみますので、頭の中で想像して頂けますか?
では、中身がカラのペットボトルを思い浮かべてください。」

「はぁ?なんでよ?」

「・・・嫌なら空き缶とかでも良いですよ。水に浮かぶ物ならなんでも。
それを水に浮かべたらどうなると思います?」

容器=空母とした略図

 

「水に・・・プカプカ浮かぶんじゃないの?」

「どんな状態で浮かんでいますか?」

「どんなって・・・横になってるに決まってるじゃない。中身カラッポなんでしょ?」

通常の空母の略図

 

「・・・そうですね。では、それを縦にしたら浮かぶと思いますか?」

艦高を求め過ぎた場合の空母の略図

 

「・・・無理だろう?仮に浮かんだとしてもすぐ横に倒れるのは明白だ。」

「それが答えです。」

「はい?」

「水に浮かべたペットボトルを空母に見立てれば容易に想像はつくでしょう?
横向きで重心が低ければ転覆はしませんが、縦にすれば重心は高くなり転覆は必至。・・・つまりはそういう事です。」

「ちょっと待ちなさいよ!実際の空母がそんなテキトーなワケないでしょ!」

「もちろん、これは少々乱暴な説明です。ですが、想像するのは簡単でしょう?」

「まぁ・・・そうかもしれんが。」

「もともと、ペットボトルが縦に浮かぶワケないでしょうが。
それに重装甲ってのの話とは何の関係も無いじゃない。」

「簡単ですよ。横に浮かべたペットボトル・・・その上におもりを載せ固定したらどうなると思います?」

 

空母の飛行甲板に重装甲を施した場合の略図

 

「どうなるって・・・おもりが重過ぎたら沈むんじゃないのかな?」

「そりゃそーだわな。」

「・・・沈むとしたらどのように沈むと思いますか?」

「どうって・・・」

「どうなるんだろ・・・?」

「・・・おもりが下になるに決まっているだろう。もちろん、器に浮力が残っていればの話だが。」

 

転覆した装甲空母の略図

 

「・・・そういう事です。
仮におもりの量を減らしたとしても、バランスが悪ければ転覆するのは必定。単純な理科の実験ですね。」

「だから、それがどうしたのよ?」

「・・・分かりませんか?空母に甲板防御と搭載機の数を求めるというのは
ペットボトルを縦に浮かべ最上部におもりを付ける事を想像すれば見当は付くかと思います。
どう考えても、無理な相談でしょう?」

 

艦載機搭載数と甲板防御を求め過ぎた場合の空母の略図

「これじゃ・・・いくらなんでも無茶だろ。」

「バランス悪すぎだよね。」

「分からない女ね〜!実際の空母がそんな単純な話なワケ無いでしょうが!」

「・・・もちろん、甲板に施す装甲も軽量で頑丈に出来たのなら話は変わったでしょう。
説明としてはかなり乱暴ですが、甲板に重装甲を施した上に搭載機数を増やす為に艦高が上がってしまったのでは
転覆の危険性が増すという事くらいはお分かりいただけたでしょう?
軍艦と言えど、水の上に浮かんでいる事に変わりは無いのですから。」

「確かにな。」

「む・・・。」

「補足ですが、帝国海軍は艦の重心の不備から貴重な将兵達を失ったという苦い経験があるのです。」

「そんな事があったんですか?」

「第二次世界大戦が始まる以前の1934年・・・昭和9年の事です。
訓練中の水雷艇友鶴が悪天候の影響を受け転覆してしまうという事件があったのです。」

「悪天候で転覆って・・・何してんだか。」

「友鶴は僚艦に曳航され港への帰還は果たしました。
懸命の救助作業により乗組員13名が救出されましたが、98名が殉職するという悲劇になってしまったのです。」

「生存者が居たのは不幸中の幸いだが・・・やはり人的損失は無視できんな。」

「直接的な転覆の原因は悪天候ですが、転覆に至るほど艦のバランスが失われた原因は当然あります。
それが重武装によってもたらされた復原力不足でした。」

「復原力?」

「私達の様に修復能力を持つユニットの事でつよ。」

「・・・違います。復原力とは艦が傾いた時に元に戻ろうとする力の事を指します。
しかし、艦高が高かったり上部構造物等の重量が復原力の限度を超えてしまえば、
いかに軍艦であろうとも容易に転覆してしまうのです。」

「ふ〜ん・・・。」

ツッコミが冷たい・・・。綾波さん、貴方は酷い人だ。」

「真面目な説明の途中だったので・・・すみません。」

「貴方には愛が無いです。アスカさんのツッコミには、溢れんばかりの無限の愛情がひしひしと感じられるのに・・・シクシク。」

「どさくさに紛れて気色悪いこと言うんじゃないわよ。」

「・・・友鶴事件の教訓が後の帝国海軍の艦艇に生かされた事は言うまでもありません。
同じ愚を繰り返す訳にはいきませんからね。」

「それはそうだろう。同じ失敗を繰り返しているようでは、それこそ救いは無い。」

「・・・空母大鳳の重装甲と艦載機の搭載数の関係については以上ですが、何か意見はありますか?」

「あるに決まってるでしょ。」

「まだ何か?」

「やれやれ、話が止まってばかりですねぇ。何が気に入らないんですか?」

「そういう問題じゃないっての!大体、意見する事の何が悪いのよ!」

「私が恋焦がれていたのはそのツッコミです!もう貴方無しでは生きられないディ〜ス♪」

「るさい!」

「で、どした?」

「いつだったか話に出てたじゃない。日本とアメリカの空母の造りが違うって。」

「そんな話あったっけ・・・?」

「確かミッドウェーの頃だと思うが・・・」

「それがなにか?」

「なにか?ないわよ。沈みにくい船を造るにしても、硬くするだけが脳じゃないでしょ?」

「何が言いたいのか、私には分かりかねますが・・・」

「だ〜か〜ら!なんで、日本軍の石頭の中にはアメリカみたいに柔軟な発想が無いのよ!
開放型空母の方が優れてるってあんた言ってたでしょうが!」

「この嬢ちゃんは何が言いたいんだ?」

「私に聞くな。」

「こうなっちゃうと、あたし達はいつも通りの観戦モードだよね〜♪」

「あとどれくらいでアスカさんの玉砕が見られるのか・・・とっても楽しみディス♪」

「るさいっての!」

「・・・それで何か?」

「あんたは何度言わせれば気が済むのよ!
なんで、日本の空母が密閉式ばかりなのかって聞いてんの!どう考えてもおかしいでしょうが!」

「・・・おかしいのか?」

「あたしに聞かれても・・・」

「だってそうじゃない。アメリカ軍は密閉型と解放型の二種類の空母を作ったうえで開放型を量産してんのよ。
日本だってそのくらいの事をすれば良いじゃない。」

「・・・日本とアメリカとでは元々の土俵が違うのです。
昭和10年9月、岩手県沖で演習に向かう途中の第四艦隊が風速50mの大型台風に遭遇。
甚大な損害を受けるという海難事故が発生しました。」

「は?前の友鶴なんとかからそんなに経ってないのに何やってんのよ。」

「アスカさんの玉砕にはかないませんがね。」

「うるさいっての!」

「お前らもよく飽きないな。似たようなやりとりばっかで。」

「あやとり?」

「つまらないってば!」

「被害の程は次の通りです。」

 

第四艦隊事件・損傷艦

航空母艦・鳳翔(前部飛行甲板損傷)
航空母艦・龍驤(艦橋損傷)
潜水母艦・大鯨(大型の皺が発生)
重巡洋艦・妙高(船体中央部の鋲が弛緩)
軽巡洋艦・最上(艦首部外板に皺、亀裂発生)
駆逐艦・睦月(艦橋、艦首損傷)
駆逐艦・夕霧(艦首切断)
駆逐艦・初雪(艦首切断)
駆逐艦・菊月(艦橋損傷)
駆逐艦・三日月(艦橋損傷)
駆逐艦・朝風(艦橋損傷)
駆逐艦・白雪(艦首屈曲)
駆逐艦・朧(艦首屈曲)
他、6隻が損傷

 

「うわ・・・酷いね。」

「・・・この尋常ではない被害の多さに、当時の海軍首脳部は相当な衝撃を受けたそうです。」

「で、それと空母と何の関係があんのよ?」

「・・・第四艦隊事件で最も大きな被害を受けたのは老朽艦ではなく、
皮肉にも試行錯誤を重ねた上で建造された新鋭艦でした。」

「なんで新しい船なのにダメダメだったの?」

「・・・日本海軍の誇る零戦と同じ設計思想で造られたからです。」

「は?飛行機と船じゃ違うだろ?」

「零戦の最大の特徴は何だと思いますか?」

「何でしたっけ?」

「お前も人に尋ねる前に少し考えろ。零戦の長所は、機体の強度と防御を犠牲にしてまで突き詰められた軽量高機動だ。」

「話に出たのずっと前だもん。忘れちゃうよ。」

「だから、それが何のカンケーあんのって?」

「・・・艦首が千切れるほどの損傷を受けた原因は艦そのものの強度不足でした。
零戦もそうですが、当時の艦の設計は試作を行いつつ試験を行い、
強度の低い部分を補強して出来るだけ重量を軽減するという方法を取っていたのです。」

「なんでそんなメンドーな事してんの?ガッチガチに固くしちゃえばいいじゃん。」

「・・・頑丈にすれば重量が増える。
そうなれば速度だけでは無く機関に与える負担も大きくなる。必要以上に重くする理由は無い。」

「なんか日本ってそればっかりですねぇ。」

「・・・軽い方が燃費も良くなります。日本の様に石油資源に飢えている国なら尚更です。」

「あんた、無視すんじゃないわよ!いい加減、私の質問に答えなさいよ!」

「・・・帝国海軍は第四艦隊事件を踏まえ、以降は艦を頑丈に造る様になりました。
多少、速力や武装を犠牲にしても、自然災害で船を失うという失態を犯さない軍隊となったのです。」

「全然答えになってないでしょうが!」

「簡単な事だ。無闇に解放式という不慣れな方式を取ったとして・・・台風等で被害を受けてはどうしようもなかろう?」

「それ以前にさぁ・・・20世紀半ばにもなって、
たかが台風ぐらいで被害受けてるアホな軍隊がそうそういる訳ないでしょうが。」

「その辺りの話は後ほど・・・、とりあえず帝国海軍は頑丈な船を造っていたのです。」

「頑丈な船が云々・・・じゃないでしょ!どうしてそう、あんたらも頭が硬直してんのよ!」

「・・・複数形?」

「誰の事を指しているのだ?」

「ファーストとお笑い騎士に決まってるでしょ!まるで旧海軍の亡霊じゃない!」

「亡霊・・・ファントム?作品が違うけど・・・」

「そういう話じゃないっての!」

「・・・志半ばで死してゆく者達に共感を感じただけだ。
いつの時代であろうと、大儀を持つ者に敬意を払うのは騎士として至極当然の事だぞ。」

「マシュマー様には似合ってないよ。そーゆー台詞。」

「子羊ちゃんですからねぇ。」

「ええ〜い、うるさい!」

「・・・一応参考までに。帝国海軍が真珠湾攻撃に投入した正規空母の瑞鶴・翔鶴も密閉型の空母でした。」

「それがどーしたのよ?」

「・・・ですが、翔鶴型空母の上部格納庫の舷側壁は他と比べて薄く造られていました。
これは開放型格納庫と同じ様に、被弾時の爆風を逃がす効果が期待された結果です。」

「そうなのか?」

「でも、翔鶴って珊瑚なんたらの時、爆弾食らって見事に使えなくなってなかったっけ?」

「・・・予想通りの効果が発揮できなかった結果です。
爆風を横に逃がすより前に、飛行甲板にその力が向いてしまったのですから。」

「それじゃ意味ないじゃないの。なんでもっとしっかりしとかないのよ。」

「それは無理というものです。当時は空母そのものが試行錯誤の段階です。
情報が少ない上に、爆弾を受けた時の爆風が甲板に及ぼす影響なんて・・・正確に予想しろと言うのが無理な話です。」

「・・・まぁな。開発段階の兵器では仕方あるまい。」

「あんたら、そればっかね。」

「もっとも・・・完全に方法が無い訳では無いですが。」

「方法があるなら実行しなさいよ。」

「・・・開発途上の新鋭空母に爆弾を落とす余裕が当時の海軍にあるなら話は別です。
百聞は一見にしかずと言いますからね。」

「なるほど〜ぉ♪」

「何、トンチキな事を・・・なんで爆弾落とさなきゃなんないのよ?」

「・・・正確なデータを集めるにはそれが最も確実な方法です。
コンピューターも発達していなかった当時の状況では、それくらいしか方法はありません。」

「そんな回りくどい事するなら、始めから開放型にしとけば良いじゃない。」

「ですから、帝国海軍は艦を頑丈に作る必要があると何度言えば・・・」

「また、話が無限ループしそうだな。」

「じゃ、綾波さんの勝利という事で次に行きましょうか。」

「ちょっと待ちなさいよ!なんでそーなるのよ!」

「じゃあ、アスカさんの玉砕で。」

「うるさい!」

「まさか、空母の説明でここまで長くなるとは思いませんでしたが・・・」

「つーか、まだ終わってないから。」

「フリーザ様並みにしつこいですよ、それ。」

「うるさいっての!大体、思考が硬直してんのは旧日本軍の駄目なトコでしょ!
それを散々指摘してんのに、仕方なかったで済ませてるあんたらが悪いんでしょうが!少しくらい反省しなさいよ!」

「・・・だが、お前の意見もほとんど後知恵だからな。共感が得られないのも無理は無い。」

「どこが後知恵よ!大体、当時でもアメリカ軍の空母が性能良い事くらい察っするのが当然でしょうが!」

「・・・日本軍は南太平洋海戦の時、アメリカ軍が正規空母ホーネットを放棄した後
お持ち帰りしようと試みた事があります。曳航が難しいため結局は撃沈しましたが・・・」

「お持ち帰り?」

「だが、確かその海戦では日本軍が沈没寸前まで追い込んだ上に、アメリカも沈めようとして魚雷を撃ち込んだはず・・・。
そんなものを持ち帰ってどうするのだ?鹵獲したところで戦力にはなるまい?」

「・・・アメリカ軍の正規空母ですから当然、軍事機密の宝庫と言って良いでしょう。沈めてしまうよりは、よほど役に立ちます。」

「で?」

「日本軍の思考・・・硬直していますか?」

「いきなり、なに言い出すのよ?」

「・・・日本軍の方針に間違いがあったのは事実ですし、アメリカ軍の合理性は見習わねばならない部分も多々あります。
ですが、日本軍の思考に柔軟性が無いというのは言い過ぎかと思いますが・・・いかがでしょうが?」

「う〜ん、よく分からないけど・・・」

「私としては無い無い尽くしの中、日本はかなり努力していたと思うのですが・・・。
確かに思考の硬直性や時代の流れを読み損ねた点が無いとは言い切れませんが・・・それが全てでは無いのです。

まぁ、これは主観に過ぎませんから、結局は人それぞれになるんですけどね。」

「だから、そんな事ばっかじゃ反省になんないでしょって。」

「・・・数々の教訓や反省は戦後に生かされています。それで良いと思いませんか?」

「何がなんだか分からなくなってきちゃったんだけど・・・」

「あの〜、もう少し分かりやすくお願いします。」

「・・・いつもの事ですよ。反省し教訓を得るのは大事な事ですが、
それが先人達への罵倒へは繋がらないという事です。もちろん間違いがあれば正す必要はありますが・・・
その辺りの判断は主観によるところも大きいので、少々難しい話になりますね。」

「・・・私も間違ってると思うから意見してるだけなんだけど。」

「それはこちらも同じ事です。人の数だけ真実はあるもの・・・。
むしろ、思想統一された状況になったらその方が気味悪いと思いますよ。」

「確かにな・・・。」

「マシュマー様がそんな事言うなんて・・・ヘン。マシュマー様はハマーン様万歳なんでしょ?」

「どう考えても思想統一されちゃった人ですよねぇ。」

「訳の分からない事を言うな!」

「だって・・・、マシュマー様って怪しい宗教にハマってる人にしか見えないもん。」

「怪しげな宗教などと一緒にするな!ハマーン様こそ我らを導いてくださる御方・・・敬愛する事の何がおかしい?」

「・・・あんた、言ってる事がメチャクチャよ。」

「何を言う?ハマーン様の御為に剣となるのが我が務め・・・騎士ならば当然の話だ。」

「また、話がズレ始めたな。」

「・・・そろそ戦史の話に戻しましょうか。どこまで説明が進んだか忘れられても困りますし。」

「忘れられてもって言うか・・・」

「もう忘れちゃってるし。」

「・・・・・。」

「言っておきますけど、事の発端はこの人ですからね?」

「だから、人を指差すんじゃないわよ!」

「とりあえず、空母の説明は終わりか?」

「私は終わりだと思っていますが・・・何か質問や意見等があるのなら話は別ですけど。」

「だとさ。」

「なんで、私の方を見るのよ?」

「いつも意見するのはお前さんだろ?」

「結局は今回も玉砕でしたけどね(はあと」

「うるさいっての!」

「・・・それで、何か意見はありますか?」

あ〜もう!反省しなさいって何度も言ってるでしょうが!
開放型の方が使えるってのになんで日本軍は真逆方向に突っ走ってんのよ!だから思考に柔軟性が無いって言われんのよ!」

「・・・こちらも言っているはずです。空母の最大の弱点である甲板防御を高めたと。何か不満があるんですか?」

「あんた、得意げに爆弾に耐えられるって言ってるけど・・・、もし500kg以上の大きな爆弾落とされたらどうする気よ?」

「・・・そんな事を言い出したらキリが無いと思いますけど。」

「詭弁の特徴と言うヤツですかねぇ。」


2、ごくまれな反例をとりあげる


「なんだ、それは?」

「2って・・・なに?」

「全部で15ある有名なガイドラインでつよ。アスカさんにはどれも当てはまるんですが、あえて言うならこの項目かと。」

「うるさいわね!ひし形の分際でいちいちしつこいのよ!」

「それも詭弁の特徴でつよ?」


11、レッテル貼りをする

「くぬぅ〜・・・・!」

「ものの見事に当てはまってんな。」

「うるさいうるさい!大体、あらゆる状況を想定するのが当然でしょ?
500kg爆弾以上は無視って・・・希望的観測にも程があるわよ!」

「・・・仮に500kg以上の爆弾が命中すれば、アメリカ空母と言えど被害は無視できないはずです。
アメリカ軍の空母エセックス型は甲板に大鳳の様な装甲防御は施していませんから。」

「だから、爆風を逃がす開放型のほうが良いって言ってるんでしょうが!あんたは人の話聞いてんの?」

「・・・大鳳にも爆風を逃がすための機構はちゃんと造られています。
密閉式だからといって、何も考えていないわけではありません。」

「え?そうなの?」

玉砕キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!

「うるさいっての!元はと言えば、情報を小出しにするファーストが悪いのよ!」

「詭弁のガイドライン。」


7、陰謀であると力説する

「くぬぅ〜!」

「アスカ・・・落ち着いて。」

「そ、そうね。冷静さを失ったらそこで終わりだもの、冷静に冷静に・・・」

「・・・では区切りのいいところなので、そろそろ戦史に話を戻します。」

「その方がいい。このまま続ければ戦史ではなく、兵装の説明になってしまうからな。」

「さんせー。あたしなんか、もう何がなんだか全然分からないもん。」

「いい加減、説明が偏りすぎだしな。」

「・・・昭和19年6月13日、第一機動部隊は
タウイタウイ泊地からフィリピンのギマラスへ向け移動を開始しましたが・・・ここで思わぬ事故が発生しました。」

 

 

「事故?」

「対潜哨戒任務を終えた天山艦攻が大鳳への着艦に失敗したのです。損害は次の通りです。」

零戦×2(焼失)
九九艦爆×2(焼失)
天山×1(大破)
整備員7名
搭乗員×1名

「随分、被害が多いな・・・。」

「なにやってんだか。」

「この当時の母艦搭乗員の練度はそれほど高くありませんでしたから。」

「練度が低いで話を済ませるんじゃないわよ。」

「・・・第一機動艦隊の母艦搭乗員はタウイタウイでの待機中、
1ヵ月近くも飛行訓練を行う事が出来なかったのです。母艦搭乗員の練度が高くないのも無理はありません。」

「訓練なんてどうでも良いじゃん♪こういうのは直感でピキーンと分かるモンでしょ?」

「そうそう♪」

「あんたら・・・、自分の価値観で物事を語るんじゃ無いわよ。」

「まぁ、搭乗員の技量が低いとしても個人差はあるだろうな。・・・それでも、全体的な錬度の低さは否めんだろうが。」

「でも、なんで一ヶ月も訓練しなかったんだ?」

「訓練しなかったのではなく、出来なかったのです。
当時の艦載機が空母からの発艦を行うにはある程度の広さの海域が必要ですから。」

「どゆこと?」

「当時の日本軍の空母にはカタパルトがありません。
航空機の発艦速度を稼ぐ為、空母そのものがあらかじめ速度を上げておく必要があるのです。」

「余計に何がなんだか・・・」

「・・・確かにこういった話は想像しにくいかもしれません。では、これだけ覚えておいてください。」

 

当時の空母での訓練には広い海域が必要

 

「産油地が近くにあるので燃料の心配はありません。
しかし、タウイタウイ泊地周辺ではアメリカ軍の潜水艦が跳梁跋扈していたため、迂闊に泊地の外には出られなかったのです。」

「要するに引き篭もってたって事でしょ?」

「人聞きの悪い事を言わないで下さい。」

「引き篭もりって・・・」

「もし、無理に訓練を行って決戦を前に空母を失う事になったらどうする?それこそ無能そのものだぞ。」

「ネタにマジレス(・A・)カコワルイ!!」

「何がネタよ!」

「?・・・マジレスとは何だ?」

「真面目な返答って意味らしいぜ。」

「真面目に返答して何がおかしい!そもそも、私は常に真面目だ!」

「・・・ツッコミ入れるには遅いよ、もう。」

「そです。その程度のツッコミではアスカさんには及びませんですよ?」

「何がよ!大体私はツッコミなんかしてないっての!」

「そうそう、そのツッコミですよ!」

「人の話を聞きなさいよ!」

「・・・概ね納得していただけたので次に移りたいと思います。」

「ちょっと!私はまだ納得してないってば!」

「よく飽きないですねぇ。まだ玉砕し足りないんですか?」

「あ〜もう!うるさい!」

「まだ、実際の戦いの説明すら始まっていないのにこの調子では・・・先が思いやられるな。」

「・・・はい。気を取り直して説明を続けます。
小沢中将閣下率いる第一機動艦隊はギマラスから出発、先にビアク島援護に向かっていた艦隊と合流しました。」

「ビアク島って何だっけ?」

「・・・西部ニューギニアに位置する島だ。守備隊を救援するため戦艦や巡洋艦を派遣したが
アメリカ軍がサイパン島への上陸を意図している事からそちらの上陸阻止が優先された。故に機動部隊と合流したというわけだ。」

「サイパン島ってドコでしたっけ?」

「こちらをご覧下さい。サイパン島はマリアナ諸島に属する島の一つです。」

 

 

「いや〜、やはり百聞は一見にしかずですなぁ。」

「ホントホント。」

「今さらだが・・・ちゃんと調べたか?」

「あったりまえじゃん♪」

「ちゃんとググったでありますよ?」

「ね〜♪」

「そうか・・・、それなら良いが。」

「それでは、次は合流した第一機動艦隊の編成について説明しましょう。」

「何、また長々と船の名前を出すんじゃないでしょうね?」

「船って波平の嫁さんでしょ?」

「字が違うわよ!くだらないボケは止めなさい!」

「・・・脈絡無さ過ぎだぞ、お前ら。」

「・・・こちらが編成になります。」

第一機動艦隊
指揮官・小沢治三郎中将閣下

本隊(甲部隊)
第1航空艦隊・大鳳、翔鶴、瑞鶴(空母)
第5戦隊・妙高、羽黒(重巡)
第10戦隊・矢矧(軽巡)
第10駆逐隊・朝雲
第17駆逐隊・浦風、磯風、雪風
第16駆逐隊・初月、若月、秋月
駆逐艦・霜月、五月雨

本隊(乙部隊)
第2航空戦隊・隼鷹・飛鷹・龍鳳
戦艦・長門
重巡・最上
第4駆逐隊・野分、山雲、満潮
第27駆逐隊・時雨、浜風、早霜、秋霜

前衛
第1戦隊・大和、武蔵(戦艦)
第3戦隊・金剛、榛名(戦艦)
第4戦隊・愛宕、高雄、摩耶、鳥海(重巡)
第7戦隊・熊野、鈴谷、利根、筑摩(重巡)
第2水雷戦隊・能代(軽巡)
第31駆逐隊・長波、朝霜、岸波、沖波
第32駆逐隊・玉波、浜波、藤波
第3航空戦隊・千歳、千代田、瑞鳳(空母)

「これで終わりか?」

「いえ、他に補給部隊と潜水艦部隊がいます。・・・説明しましょうか?」

「どーせ、説明する気無いんでしょ?」

「・・・補給が無ければ軍隊は戦えません。彼らを紹介するのも重要な事だとは思っていますよ。
まぁ、アメリカ軍の説明も控えているので補給部隊他については省略します。」

「結局、やる気ないじゃない。」

「それにしてもアレだな。ずっと前の決戦に比べると日本軍の艦艇も結構、数が減ってんだな。」

「ミッドウェーとやらか。あの時の編成は確かに━━━」

「・・・懐かしい話ですね。」

「・・・ん、すまない。
あの時の比較するのは確かに酷な話だ。かなりの時が経っているのだから不利になるのは至極当然だな。」

「感傷に浸るのは後にしてもらえない?アメリカ軍の説明が残ってんでしょ?」

「・・・そうですね。説明を続けます。アメリカ軍の編成は次の通りになっています。」

第5艦隊
指揮官レイモンド・A・スプルーアンス大将

空母・15隻、戦艦・7隻、重巡・11隻、軽巡・9隻、駆逐艦・65隻、輸送船、補給艦他

「こんなところですね。何か質問はありますか?」

「ちょっと待ちなさいよ。何なのよ、そのいい加減な説明は。」

「艦名を一つ一つ記していったら、いつ話が終わるか分からなくなりますよ?」

「そういう事を言ってるんじゃないの!あんた、アメリカ軍の説明だからって手を抜いてるでしょ!」

「カタカナ表記ですから、無闇に長くなってしまいますし・・・あまり気が進みません。」

「ほら、やっぱり!」

「まぁ、良いじゃありませんか。
私たちみたいに興味の無い人間にも戦力に差がありすぎるというのは何となく理解できましたから。」

「ね〜♪」

「ひし形、あんたは人間じゃないでしょ。」

「・・・日米の物量の違いが分かっていただければ結構です。」

「空母の数が約1.5倍・・・確かに差が付いているな。」

「たった2年でこれほどの差が付いてしまうのは・・・ある意味、予想通りといえば予想通りなんですけどね。
次は決戦の主役、艦載機の説明です。

第一機動艦隊所属の機種はもちろんこれだけではなく、戦争初期から使用されている機体も編入されていますが・・・とりあえず。」

 

  
艦上戦闘機・零戦52型               艦上爆撃機・彗星              艦上攻撃機・天山

 

「あれ?二つは見たことあるけど・・・一番右のは何?」

「随分前に少しだけ説明しましたが、九七艦攻の後継機である天山です。
役割は九七艦攻と変わりませんが、性能は大幅に上がっています。」

「そりゃそーでしょ。」

「機体の機動性だけなら、アメリカ軍のアベンジャーよりは上だったそうですよ。実際、乗り比べた方がいるみたいですから。」

「上ってどういう事よ?」

「ですから、戦後にTBFアベンジャーに乗った日本軍の元搭乗員の証言にあるんです。
なんだ?この鈍重な機体は?というのがTBFアベンジャーに乗った第一印象だったそうです。」

「いや・・・、動きが鈍いだけじゃ機体性能の判断基準にはならんだろ。」

「それはその通りですが、日本軍機の性能を示す材料の一つにはなるかと思います。
天山の不幸は・・・やはり出番が遅かった事でしょうね。」

「あんた、そればっかね。」

「だが、それも事実だろう?かのジオン公国が、ゲルググの開発に手間取った話と少々似ているような気もするが・・・」

「そんな事があったの?」

「お前・・・ネオジオンに身を置いていたのなら、そのくらいの事は覚えておけ。」

「だって、興味無いし〜♪」

「ね〜♪」

「やれやれ・・・。」

「・・・数で勝てないなら質で補うというのが帝国海軍の考え方ですが、
多少の性能差で戦局が覆るのなら苦労はありません。かと言って、正面から普通に戦っても勝ち目は薄いのが現状です。
そこで、小沢中将閣下は新たな構想に基づいた戦術を考案しました。」

「新しい構想?」

「・・・戦後も賛否両論分かれている有名な戦術です。
日本軍の機動部隊は航空機の数でも劣り、搭乗員の錬度にも不安が残ります。
正面から戦えば、単純に考えて負ける要素しか残っていません。

戦術の基本は自軍の長所を最大限に生かす事。日本軍機の長所を探せば自ずと答えは見えてくるはずです。」

「日本軍機の長所ってありましたっけ?」

「う〜ん・・・さぁ?」

「・・・しつこいくらいに説明してきたはずですが。」

「わかんないって。あんたみたいに軍ヲタじゃないんだから思いつくわけないでしょ。」

「・・・一式陸攻の特徴を思い出して下さい。」

すぐ燃えちゃう機体だよね。」

「確かに有名な特徴ですねぇ。」

「それは長所じゃなく短所でしょ。」

「なぜ、燃えやすかったかは覚えていますか?」

「燃料をいっぱい積んでたからでしょ?」

「機体も貧弱貧弱ゥゥゥですし。」

「え〜と・・・それって確か、航続距離を延ばすためだったよな。」

「もしや、それが答えか?」

「・・・そうです。日本軍機の特徴である航続距離の長さを最大限に生かし、
敵の射程外から攻撃するという方法・・・通称アウトレンジ戦法と呼ばれる戦術です。」

「色々ツッコミどころが多い作戦よね?」

「・・・作戦内容に異義を唱えるのは構いません。何であろうと反論が出てくるのは世の常ですから。」

「で、うまくいったのか?」

「それについては後ほど・・・、次は陣形についてです。」

 


前衛部隊

距離約100浬

第一機動艦隊・本隊

 

「また、マニアックなものを・・・」

「この時期になると、日本軍もアメリカ軍が使用している輪形陣を取り入れるようになってきました。
これは対空防御や対潜防御に有効な陣形であると言えます。まずは前衛部隊の役割について・・・。」


前衛部隊

「こちらは軽空母を中心に置いた部隊です。
機動部隊本隊より先に位置し、敵空母にある程度損害を与えた後に戦艦で突入し戦果を拡充するという役割が与えられています。」

「中心が空母となると・・・周囲を固めているのは駆逐艦か?」

「駆逐艦も居ますが、大和や武蔵を含めた戦艦群や巡洋艦等も居ます。分かりやすいと思って・・・」

「ファースト、あんた前衛って意味が無いって言ってなかったっけ?」

「状況が違います。
今回も前衛部隊には敵の攻撃を引き受ける役目も与えられていますが、航空攻撃後に敵艦隊に突入する任務も与えられています。
今回の大和・武蔵、二大戦艦の役割は戦果の拡充が主任務と言っても過言ではありません。
敵を殲滅するには実に理にかなった編成と言えるでしょう。次に機動部隊の要となる本隊です。」

 


機動部隊・本隊

「こちらは航空機での攻撃を確実に行う事が目的です。
その為には、少なくとも攻撃開始までは敵に発見される事無く、作戦を遂行しなければなりません。」

「ふ〜ん・・・。」

「・・・確かに、ミッドウェーの時とは作戦の毛色が少し違う様だな。」

「・・・ミッドウェーの時はこちらが侵攻しましたが、今回のマリアナ沖海戦は防衛戦。
あの時とはちょうど逆の立場になっていると言えますね。次は実際の戦いの推移について説明します。」

 

 

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