比島沖海戦 前
「さて、これらの予備知識を踏まえて・・・本題に移りたいと思います。」
「一体いつまで続ける気なのよ・・・。」
「もう少し経ったら休憩にしましょう。そろそろ終わりも近いのですが、もうしばらくお付き合い下さい。」
「次の戦いは、以前の台湾沖航空戦と何かつながりがあるのか?」
「・・・ハルゼー大将が沖縄・台湾を叩いたのはフィリピン上陸作戦を円滑に進めるための下準備に他なりません。
台湾沖航空戦から間もない昭和19年10月20日。アメリカ軍はついにフィリピンのレイテ島に上陸を開始したのです。」
「え、もう?」
「・・・何か意外ですか?」
「だって・・・いつもってもっと色々説明してなかったっけ?」
「そういえばそうですねぇ。」
「無意味に長々とね。」
「・・・前回の台湾沖航空戦で事前の説明は終わっているようなものですから。経緯についての大した説明は無いんです。」
フィリピン周辺図
「・・・レイテ島がアメリカ軍が上陸した地域であり、日本軍が決戦を企図した地域でもあります。
フィリピン北方の一番大きい島が前述のルソン島です。」
「ルソン島・・・確か、日本軍が持久戦を行おうと準備を進めていた島だな。」
「・・・そうです。アメリカ軍は初日に10万の兵力とその部隊を維持出来るだけの物資を揚陸しました。」
「10万って言われてもピンとこないんだけど・・・」
「・・・ミッドウェー作戦に参加した日本軍の人員全てと、ほぼ同数です。」
「それって、その時の日本軍と同じって事?」
「・・・それは違う。
ミッドウェー海戦の日本軍は文字通りすべての人員だが、今回のアメリカ軍の場合は上陸した兵士だけで10万人だ。
他の艦船の乗組員や艦隊の搭乗員も含めれば、その数は何倍にもなるだろう。」
「結局、何が言いたいのよ?」
「・・・ミッドウェー作戦は連合艦隊のほぼ全力を投入した作戦でした。
連合艦隊の最盛期を持ってしても、現在のアメリカ軍の戦力には及ばないという事を覚えておいて下さい。」
「余計に分からないんだけど・・・」
「・・・レイテ沖での決戦の説明を行う前に
今回の海戦も日本の勝ち目は薄いという事を頭の片隅に残しておいて頂きたいのです。」
「まぁ、いつもの事だけどな。」
「ちょっと待ちなさいよ。戦う前から言い訳をしておくってのは一体どういう了見よ。」
「・・・事実を述べているだけです。」
「そうじゃないっての!
あたかも日本軍の負けが確定してるかの様に・・・それがさも当然な出来事だったみたいに
最初から説明に逃げ道を作んじゃないって言ってんのよ!」
「あたかもを使って短文を作りなさい。」
「冷蔵庫に牛乳があたかもしれない♪」
「そのネタ、古いって・・・。」
「・・・逃げ道ではなく予備知識です。
今回のフィリピンでの戦いも、日本軍にとって勝ち目が無い戦いだったという事を知っておいていただければ何も問題はありません。」
「言い訳すんじゃないわよ!
そもそも、勝ち目が無いならなんで戦おうとすんのよ!いい加減、降伏を考えても良い頃でしょうが!」
「・・・ちゃんと考えてますよ。
日本としては、フィリピンでアメリカ軍に多大な損害を与え少しでも有利な条件を引き出すという基本方針です。
海軍としての考え方は、海戦以来さほど変化していませんよ。」
「だから、アメリカ軍に打撃を与えるなんて、そんなの無理に決まってるでしょうが。」
「やってみなければ分かるまい?今回の戦いは日本にとっては防衛戦、侵攻作戦よりは幾らかは有利なはずだ。」
「でも、戦力に差があるんじゃなかったっけ?」
「・・・確かに。日本とアメリカの戦力の差は開く一方ですからね。
いくら防衛戦で地の利があるとは言え、圧倒的不利は免れません。
おまけに、前回行われた台湾沖航空戦とアメリカ軍の空襲により、フィリピンの航空戦力は決戦以前に消耗しています。
これも、日本軍・・・とくに海軍にとってはマイナス要因の一つです。」
「ほんとに不利な話ばかりだな。」
「フィリピンに残された航空戦力は僅か・・・
アメリカ軍の上陸直前に第一航空艦隊司令官として赴任した大西瀧治郎中将は軍令部との打ち合わせ通り
ある戦法を部下と相談したそうです。現在も評価が分かれる戦術・・・いえ、戦術と言って良いものかどうかも私には分かりません。」
「どんな戦術なのだ?」
「それって・・・特攻の事でしょ?」
「特攻?」
「特別高等警察の事でつよ。」
「あからさまに字が違うっての。特攻よ、特攻。」
「授業で習った事がある様な・・・飛行機ごと敵に体当たりする方法よね?」
「・・・そうです。」
「でも、日本軍ってこれまでも敵に体当たりしてなかったっけ?」
「ふむ、そういえばそうだな。戦争初期の頃からそういった話は何度かあったはずだ。」
「・・・それらは、搭乗員の意思で行った体当たりです。
最初から体当たりを意図した作戦が取られたのは、このフィリピンが初めてなのです。」
「それにしても・・・いくら劣勢だからって、日本軍はなに考えてんのよ。」
「・・・苦肉の策です。」
「そういう問題じゃないでしょ!人の命が懸かってんのよ!」
「・・・そんな事は百も承知です。日本軍の中に特攻的な思考が生まれたのは、この時が初めてではありません。
昭和18年頃、日本が劣勢に追い込まれ始めた頃から現場レベルで生まれ始めたのです。」
「・・・まぁ、そうかもしれんな。戦況の悪化を一番理解しているのは前線にいる将兵達だからな。」
「だから、特攻を決めたっての?」
「・・・日々悪化していく戦況に対し、日本軍が執りえる手段は限られています。」
「だーかーら!いくら戦況が悪化してるからって、最初から体当たり目的で出撃させるってのはどういう了見よ!」
「他に良い手段がありますか?
かつて1600機を有していた第一航空艦隊も、昭和19年10月の時点で僅か100機程度・・・編隊を組んで攻撃を行える数ではありません。
それに対し、刻一刻と悪化する戦況。フィリピン各地からの支援要請も止む事はありません。」
「普通に攻撃させた方が、体当たりさせるよりはよっぽどマシだっての!体当たりさせたら二度と帰ってこないのよ!」
「アスカさんにしては珍しくマトモな意見・・・」
「・・・仮に通常攻撃を行ったとしても必ず帰還できるとは限りません。特に、敵戦力の根幹たる機動部隊相手なら尚更です。」
「方法が無いから納得しろっての?」
「・・・納得はされなくて結構です。」
「へ?」
「どういう事なのか分からないんですけど・・・。」
「・・・他に方法は無くとも、日本にとって貴重な搭乗員もろとも敵艦に突っ込ませるなど下策としか言い様がありません。
特攻作戦については、大西中将自ら統率の外道と言い切っています。選択せずに済むのなら、執るべき戦術ではありませんでした。」
「だが、結局は特攻とやらが採用されたのだろう?・・・上官と言うのは辛いものだな。
不本意な命令ですら、下さなければならんのだからな。」
「どっかの誰かさんとは大違いだね。」
「誰かさんとは誰の事だ?」
「この人。」
「ええい!人を指差すな!」
「そういえば、あんたも指揮官だったっけ・・・。すっかり忘れてたわ。」
「・・・やれやれ。お前達は私を何だと思っているのだ?私は常に身を切る思いで命令を下しているのだぞ。」
「え〜。」
「なんだ!そのあからさまな疑いの声は!」
「だって〜。」
「だっても何も無い!」
「こちらが第一航空艦隊の201航空隊に下された命令です。」
命 令
1.現戦局に鑑み艦上戦闘機二十六機(現有兵力)を以って体当たり攻撃隊を編成す。
本攻撃は之を四隊に区分し、敵機動部隊東方海域出現の場合之が必殺を期す。
成果は水上部隊突入前に之を期待す。
今後、艦戦の増強を得次第編成を拡大の予定。
本攻撃隊を神風特別攻撃隊と呼称す。
2.二○一空司令は現有兵力を以って体当たり特別攻撃隊を編成し、
なるべく十月二十五日までに比島東方海面の敵機動部隊を殲滅するべし。
司令は今後の増強兵力を以てする特別攻撃隊の編成を予め準備すべし。
3.編成
指揮官 海軍大尉 関 行男
4.各隊の呼称を
敷島隊 大和隊 朝日隊 山桜隊 とす。
「・・・神風特別攻撃隊の指揮官は関行男大尉でした。彼が特攻命令を受けたのは僅か2日前だったそうです。」
「たった2日前で・・・そんな簡単に決意できるもんなのか?」
「・・・それは私には分かりません。ただ、彼は出撃前
天皇陛下や帝国のために死ぬんじゃなくて愛する妻を守るために死ぬんだと、
冗談交じりに話していたそうです。このやりとりが、どこまで本当かは分かりませんが・・・こういった話があるのは事実です。」
「あれ?日本軍って天皇陛下バンザーイだったんじゃないんですか?」
「・・・私は当時を生きていたわけではありませんので、その時代の日本の空気は知りません。
ですが、特攻隊の方々の遺書をいくつか拝見させていただくと家族を思う内容が、多々見受けられるのです。
どちらかと言えば、家族を守りたいという意思の方が強かったのではないかと思われます。」
「だからって、敵に体当たりはどうかと思うんだけど・・・」
「・・・日本軍も、開戦以来ずっと通常攻撃を行ってきました。
それでも損害は日に日に増え続け・・・挙句、現時点で通常攻撃を行う戦力も無ければ戦果も見込めないのです。
残る手段は3つしかありません。思いつく限りで大体こんな感じかと・・・」
1.特攻を行う
2.通常攻撃を行う
3.出撃しない
「一応、三択を挙げて見ましたが・・・やはり、方法は1しか無いと思うのです。」
「なんで、そういう結論になんのよ。特攻させるくらいなら、駄目もとで通常攻撃させれば良いじゃん。」
「・・・散々既出ですが、アメリカ軍の防空火力は強力です。
出撃させたとして、敵に損害を与えるどころか無事帰れる可能性すら低いというのが現状なのです。」
「じゃあ、出撃しないってのは駄目なの?」
「・・・それも無理です。ほぼ同時期に水上部隊も行動を起こす作戦となっているのです。
航空戦力の援護の無い艦隊では圧倒的不利は免れません。」
「ねぇ、なんで通常攻撃だと駄目のよ?特攻にこだわる理由が分からないんだけど。」
「・・・酷な言い方かもしれませんが命中率の問題です。一般的な当時の兵器の命中率をおさらいしておきましょう。」
雷撃 15%
水平爆撃
5%
急降下爆撃 25%
「こんな命中率なんだっけ?」
「熟練度等も関係しますが、概ねこんな感じかと・・・」
「25%とかそんくらいの命中率じゃ、大変だったんじゃないの?」
「敵の25%は当たるのに、味方の25%は中々当たりませんからねぇ。」
「何の話よ・・・。」
「当時の兵器の命中率は、さほど高くないのだな。」
「・・・無誘導兵器が主流の時代でしたからね。もちろん、何かしらの方法を使った誘導兵器が無かった訳ではありませんが。」
「で・・・何が言いたいのよ、あんたは?」
「・・・神風特別攻撃隊の敷島隊は21日に初めて出撃しましたが、その日は天候不良で敵が発見出来ず帰還しました。
連日の様に出撃した敷島隊ですが、24日になっても敵を発見する事は出来ません。そして、昭和19年10月25日・・・」
「ちょっと!おもいっきりシカトすんじゃないわよ!」
「・・・少しは黙って聞け。」
「なによ!さっきからファーストの肩ばかり持っちゃって!」
「・・・これまでのあの娘の傾向から察するに、筋の通った質問にはちゃんと答えるはずだ。」
「さっきから無視してばっかなんだけど・・・」
「・・・今は、まだ説明出来ない理由でもあるのだろう。物事には順序というものがあるのだからな。」
「むぅ・・・」
「・・・この時出撃した神風特別攻撃隊は9機、
直援として、以前紹介したソロモンの悪夢こと西澤廣義飛曹長以下、3機の零戦が付きました。
つまり、体当たり攻撃を目的としていたのは5機という事です。
特攻役の機体は爆装の零戦・・・彼らは敵レーダーを避けるため超低空飛行を行っていたそうです。」
「ソロモンって・・・そういう安易なネタに走るんじゃないわよ。」
「では、ラバウルの魔王と呼称します。」
「魔王ってをい!余計に酷くなってるでしょうか!」
「ソロモンの悪夢は冗談ですが、ラバウルの魔王の方は事実かと・・・実際にその異名で呼ばれていた様ですから。」
「それ、ホント?」
「手元の資料にはそう書いてあります。
日本軍のエースパイロットの方々は二つ名を持つ方が結構いるみたいですよ。」
「そーいうのって、物語の中だけだと思ってたけど・・・」
「まぁ、事実は小説より奇なりと言ったところでしょうか。
従軍記者が記事を書くにしても、あだ名を付けた方が解りやすいでしょう?
当時の名だたる新聞は日本国民を煽っていましたから・・・まぁ、どうでも良いですね。話を戻しますよ。」
「どこまで話が進んでたんだっけ?」
「神風特別攻撃隊が超低空飛行で進撃していたというところまでだ。
そういえば・・・、低空での進撃はマリアナ沖では実行出来なかったのだったな。」
「・・・そうです。特攻隊指揮官の関大尉は、出撃前にこう語っていたそうです。」
血気にはやって敵中に突っ込むことは簡単だ。そんなことは誰にでもできる。
要は、つねに頭を冷やし、何事にも冷静に対処することだ。
「・・・敵空母群に到達した特攻隊は超低空から一気に高度を上げました。
敵空母が対空砲火を撃ち出す中、関大尉の零戦は敵空母への体当たりを成功させたのです。
関大尉の後、2番機も同じ空母に体当たり・・・攻撃を受けた護衛空母はものの数分で海中に没してしまったそうです。」
「そ〜なんだ・・・」
「・・・この日、敷島隊は空母や護衛艦に体当たりを行い空母×3に4機の命中が確認され、
残り1機は空母の至近距離に突入したとされています。
一方の直衛ですが、零戦1機が対空砲に撃墜されていますが上空警戒中のF6F×2を撃墜し戦果確認の後、帰還しました。
初期に編成された敷島隊、大和隊、朝日隊、山桜隊。
第二次・第三次編成された、菊水隊、若桜隊、彗星隊、初桜隊によって挙げられた戦果は次の通りです。」
空母・セント・ロー(撃沈)
空母・サンガモン(損傷)
空母・スワニー(損傷)
空母・サンティ(損傷)
空母・ホワイトプレーンズ(損傷)
空母・カリニンベイ(損傷)
空母・キトカンベイ(損傷)
艦上機損失128機
「・・・戦果については諸説ありますが、これらはいずれも護衛空母です。護衛空母一隻の艦載機数は20〜30程度。
資料を見てみたところ10月25日に突入した特攻機は直衛を除いて15機。
上記の空母は25日に損傷したはずですから、15機の特攻機でこれだけの空母を戦闘不能に追い込んだと見て良いでしょう。
これまでの状況から考えると、十分すぎる戦果と言えます。」
「だから特攻の方が良いっての?」
「第一神風特別攻撃隊が与えた損害については諸説ありますが、命中率の面で言えば40%は超えていると考えて良いでしょう。
優秀な搭乗員の方々が乗っていたのですから、当然といえば当然の結果です・・・。」
「質問に答えなさいって言ってるでしょ!あんた、命中率がいいから特攻が良いって言うわけ?」
「・・・特攻が優れた戦術であるはずが無いでしょう。
以前も言いましたが、搭乗員もろとも体当たりさせる特攻など下策です。」
「じゃあ、何で特攻を褒め称えるかのように話すのよ。」
「・・・特攻隊がずば抜けた戦果を挙げたのは事実です。
それは、彼等の死が無駄ではなかった事の証に他なりません。」
「・・・ふむ、これは難しい問題の様だな。」
「でも、どうしてそこまでして戦うの?もう、無条件に近い形でも降伏しちゃった方が良い様な気がするけど・・・」
「・・・駄目です。アメリカの大統領がアレでは交渉の見込みはありません。」
「それ、あんたの好き嫌いで話してるだけじゃないの?」
「・・・ソ連に対し、警戒心など皆無だったあの大統領にフリーハンドを与えたらどうなると思いますか?
人種差別が横行していたあの時代に無条件降伏する事がいかに危険か考えてみるべきだと思います。
日本という国家が消滅すれば、日本人が安心して暮らせる場所が消えてしまう事を意味します。
仮に、史実より犠牲者が抑えられたとしても・・・それでは意味が無いのです。
・・・それに、フィリピンは日本のシーレーンの要衝です。こちらをご覧下さい。」
「この地図がどうしたんだ?」
「繰り返しになりますが、日本には資源がありません。
特に戦争遂行に重要な石油は、日本から見てフィリピンの先・・・ブルネイやマレーシア方面から運ばなければならないのです。
その中間点のフィリピンがアメリカに押さえられたらどうなると思いますか?」
「どうなるの?」
「・・・アメリカ軍の哨戒網は強力になり、南方からの資源は日本に入らなくなる。
つまり日本の経戦能力が奪われてしまう事に等しいのだ。」
「・・・つまり、フィリピンは日本が全力で防衛しなければならない地域なのです。もはや、形振り構っている場合ではありません。」
「・・・あんたがどう言っても私は納得しないわよ。」
「いつも自爆してるアスカさんらしからぬ台詞でつねぇ。」
「るさい!」
「・・・構いません。特攻が納得できる戦術だとは私も思っていませんから。」
「だが、特攻隊出撃以前にも、全滅覚悟の突撃や敵への体当たりは行われていたのだろう?そこまでこだわる内容なのか?」
「・・・この時の特攻隊が後の日本に影響を与えました。特攻隊が批判を受けるのも、それが原因かと思います。」
「なんかあったの?」
「・・・前述の通り、特攻隊は予想以上の戦果を挙げました。これにより、特攻は日本軍の基本戦術となっていくのです。」
「う〜ん、今までと変わりないように思えるんだけど・・・」
「・・・帰還を前提として作戦を組むのと、特攻とでは本質的に大きく異なります。
特攻の場合を平たく言うのなら帰還は想定外という事になるのです。
もちろん機体不調や敵を発見出来なかった事での帰還はありますが・・・
また、飛行機での出撃なら帰還出来なくもありませんが、他の特攻兵器となると、まず確実に帰れません。」
「他の兵器とは?」
「この時期はまだ戦線に投入されていないはずなので、それらについては後で説明します。
・・・さて、ここで水上部隊の説明に移ります。」
「いきなり話を変えんの?後で訳が分からなくなっても知らないわよ。」
「・・・特攻隊の説明をこのまま続けると、昭和20年に突入してしまいそうなので。不本意ですが、中断もやむを得ません。」
「んで、水上部隊ってのは?」
「・・・アメリカ軍はレイテ島に上陸を開始しています。
このまま上陸させてしまえば、レイテ島で決戦を挑もうとしている陸軍の敗北は必至。
そこで、連合艦隊の全力を持って敵上陸部隊と輸送船団を壊滅させる・・・
これが捷一号作戦と呼ばれる今作戦の基本概要です。今回の作戦は、これまでとは少し毛色が違うものとなっています。」
「いつもと変わりない気がするけど・・・」
「ホントですねぇ。私達の様な素人には何が違うのか分かりませんでつ。」
「・・・これまで日本軍は空母を用いた決戦を基本としてきました。
したがって、あまり役に立たない戦艦はほとんど戦線には出してません。ですが、今回の主力は戦艦を中心とした前時代的な艦隊です。
言ってしまえば、今回の海戦は連合艦隊の挑んだ最期の決戦ですね。
本当に形振り鎌っていられない状況なので、自軍の損害は承知の上での作戦内容なのです。」
「・・・つまり、連合艦隊の壊滅も覚悟していると?」
「・・・そうなります。もう、艦隊保全主義などと言っていられる状況ではありませんから。」
「・・・今さら戦艦を投入したって遅いんじゃないの?」
「?」
「よく言うじゃない、日本軍は戦艦の活用を誤ったって。
今さら時代遅れな戦艦を投入したって・・・どう考えても手遅れでしょうが。」
「で、お前さんは何が言いたいんだ?」
「・・・前に言ったでしょ、ソロモン海の時とかに戦艦を使った方が良かったって。
アメリカ軍は日本軍と違って、あの時だってうまく戦艦を活用してたじゃない。」
「終わった話を蒸し返されても困りますが・・・。」
「終わってないっての!」
「・・・前に話したはずです。日本とアメリカでは土俵が違うと。
アメリカが次々と戦艦を投入できたのは撃沈されたとしても代わりがあるからに他なりません。
一方の日本は空母の建造や損傷艦の修理で手一杯ですから・・・
緒戦に日本軍が執った艦隊保全主義は決して間違いでは無いのです。」
「少しは反省しなさいよ!今さら戦艦なんか持ち出してどうしようってのよ!」
「まぁ・・・アメリカ軍の飛行機に沈められて終わりですかねぇ。」
「ミもフタも無い言い方だな。」
「・・・確かに戦艦部隊をそのまま送り出すだけでは工夫がありません。
ですが、連合艦隊だってそこまで無策ではありませんよ。」
「何か妙案でもあるのか?」
「連合艦隊にとって最大の敵は、空母を基幹とする敵機動部隊です。
自軍にとって、まるで勝ち目が無い相手に対し・・・どのような方法が考えられると思いますか?」
「いきなりそんな事言われても分からないって。」
「う〜ん、逃げちゃえば良いんじゃないの?」
「三十六計逃げるにしかずと言いますからねぇ。」
「何を言い出すのかと思えば・・・。戦わねばならん時に撤退など無理な相談だ。出来るはずもないだろう。」
「・・・まぁ、半分くらい当たりでしょうか。」
「え?」
「・・・要は勝ち目の無い相手とは戦わなければ良いのです。問題となるのはその方法です。」
「だから、そんな夢みたいな方法があるなら言ってみなさいっての。そんな事が出来るなら苦労は無いでしょ。」
「では、発想を変えてみましょう。
私達がジオン軍との決戦を行っている最中、突然微妙な位置からネオグランゾンが出現したらどうします?
しかも、絶対に勝てない仕様になっていたとしたら・・・?」
「また、何を言い出すのかと思えば・・・いい加減、スパロボ混ぜるの止めなさいよ。」
「ま、良いじゃん。解りやすいんだし♪」
「よく分からんが・・・決戦の最中に新手が来るというのは面倒以外の何物でもないな。」
「ええい!このクソ忙しい時に!」
「ラピュタはこの中だ!父さんの行った道だ、父さんは帰ってきたよ!」
「逝こう!竜の巣へ!」
「多くの英霊の死が無駄ではなかった事の証の為に!星の屑成就の為に!
ラピュタよ!私は帰ってキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!」
「・・・無闇に混ぜるんじゃ無いわよ。それに字が違うわよ、字が。」
「先程の設問ですが・・・どうします?」
「ぶっちゃけ、戦うのも面倒くさいわな。」
「敵の増援が来るのって、この世界だといつもの事だもんね♪」
「そういえば、ヤシマ作戦の時もお約束の様に増援が来てましたっけ・・・。懐かしい話です。」
「何の話なのか分からんが・・・」
「・・・何か思いつきましたか?」
「ううん、さっぱり・・・」
「やっぱりそういう時って、適当なユニットで引き付けちゃえば良いんじゃないの?
例えば、あんまり使ってないスーパーロボットとかでさ。」
「例えば某弐号機とか某弐号機とか某弐号機とかで♪」
「くぉら、ひし形!どさくさに紛れて何を言い出すのよ!」
「え〜、誰もアスカさんの事だなんて一言も言ってないじゃないですかぁ〜。」
「るさい!言ってるのと同じでしょうが!」
「・・・まぁ、概ね当たりでしょうか。」
「をい!当たりってのはどういう事よ!」
「・・・正面からぶつかっても勝てないのなら、別部隊を用い機動部隊をそちらに引き寄せてしまえば良いのです。
今回の日本軍の目標は敵機動部隊では無く、あくまで敵輸送船団及び上陸部隊ですからね。
そこで出番となるのが日本軍の機動部隊。空母の脅威となるのはやはり空母ですから、釣り餌とするには申し分ありません。」
「あれ?日本軍の機動部隊って壊滅してたんじゃなかったっけ?」
「前回の海戦でボコボコにやられちゃってましたよね。」
「・・・確かに。機動部隊というには少々語弊があるかもしれません。
前回のマリアナ沖で、日本の機動部隊は本来の役割を担えなくなってしまいました。
しかし、その事をアメリカ軍は知らないのです。
アメリカ軍にとっても空母が脅威である事は明白、囮として使える可能性は十二分にあるのです。」
「・・・なるほど。空母を囮として敵機動部隊を引き寄せ、その隙に戦艦部隊を突撃させる・・・。つまりはこういう事か?」
「・・・そうです。」
「そんな単純な方法に引っかかるアホがいるの?」
「・・・それについては後ほど。とりあえず、日本軍の方針については分かっていただけた事と思います。」
「まぁ・・・なんとなく?」
「こちらが、今回の主力の第一遊撃部隊の編成になります。」
第一遊撃部隊
第一部隊
第一戦隊・大和、武蔵、長門(戦艦)
第四戦隊・愛宕、高雄、鳥海、摩耶(重巡)
第五戦隊・妙高、羽黒(重巡)
第二水雷戦隊・能代(軽巡)
早霜、秋霜、岸波、沖波、朝霜
長波、藤波、浜波、島風(駆逐艦)
第二部隊
第三戦隊・金剛、榛名(戦艦)
第七戦隊・熊野、鈴谷、利根、筑摩(重巡)
第十戦隊・矢矧(軽巡)
浦風、磯風、浜風、雪風、野分、清霜(駆逐艦)
「こんだけなの?」
「んなわけ無いでしょ。ファーストの事だもの。まだ長々と船の名前が続くに決まってるわよ。」
「・・・日本軍の主力は以上です。」
「へ、ホントにあんだけなの?」
「前の作戦の時とか、もっとたくさんあったよな。」
「・・・それだけ日本軍も戦力を消耗しているという事です。もちろん、今回の作戦に投入された艦艇はまだありますが
レイテ湾突入役の主力は、さっき挙げた第一遊撃部隊です。以後、第一遊撃部隊の事は栗田艦隊と呼称します。」
「・・・栗田?その名前、以前にも何度か出てきたな。」
「ミッドウェーの時に逃げちゃった人でつよ。」
「ね〜♪」
「・・・人聞きの悪い事を言わないで下さい。多少、消極的な面が目立ってしまっただけです。」
「あんまりフォローになってない気がするが・・・」
「・・・そういえばその栗田とやらは、ガダルカナルの飛行場を砲撃した時の指揮官だったな。」
「・・・そうです。」
「あんまり前の話だからすっかり忘れちゃったけどね。」
「・・・説明を続けますよ。次は栗田艦隊と別の進路でレイテ湾へと向かう艦隊です。編成は次の通りです。」
第一遊撃部隊
第三部隊
第二戦隊・山城、扶桑(戦艦)
最上(重巡)
満潮、朝雲、時雨、山雲(駆逐艦)
第二遊撃部隊
第二一戦隊・那智、足柄(重巡)
第一水雷戦隊・阿武隈(軽巡)
曙、潮、不知火、霞、若葉、初霜、初春(駆逐艦)
「日本軍の全力なんでしょ?なんか・・・少なくない?」
「・・・先程も言ったとおり、日本軍は戦力を消耗していますから。これでも大変なんです。」
「ねぇ・・・パッと見た感じ、空母が見当たらないんだけど。」
「ありませんよ、それが何か?」
「空母も無しに出撃ってのはどういう事よ!あんた、これまでずっと空母が大事空母が大事って言ってたじゃない!」
「・・・はい。それがどうかしましたか?」
「アスカさんが何が言いたいのか、さっぱり分かりませんでつ。」
「だ〜か〜ら!一隻か二隻くらい護衛の空母は付けないのかって聞いてんの!
戦艦とかで突撃なんて、いくらなんでも無謀すぎるでしょうが!」
「・・・多少の無茶は承知の上です。
今回の作戦で連合艦隊の艦艇が損害を受けるのは、すでに想定済みの出来事なのですから。」
「想定済みで話を終わらせんじゃないわよ。だから日本軍は無茶無策無謀って言われんのよ。」
「・・・栗田艦隊に空母が同行しては本末転倒です。何の意味もありません。」
「はぁ?何でよ?」
「・・・別働隊の囮が無意味になってしまうからです。
空母を用いて敵機動部隊を釣り上げようとしているのに・・・敵が栗田艦隊の空母目掛けて向かってきたらどうするつもりなんです?」
「む・・・」
「これで玉砕何度目でつか?」
「さぁ・・・軽く二桁は超えてるだろうな。」
「るさい!」
「・・・次は小沢中将閣下率いる帝国海軍機動部隊です。」
機動部隊
第三航空戦隊・瑞鶴、瑞鳳
千歳、千代田(空母)
第四航空戦隊・日向、伊勢(戦艦)
大淀、多摩(軽巡)
第三一水雷戦隊・五十鈴(軽巡)
桑、槙、杉、桐、初月、秋月、若月、霜月(駆逐艦)
「もしかしなくても、これだけか?」
「・・・以上です。」
「・・・戦力を消耗しているとは聞いていたが、本当に少ないのだな。」
「でも、一応4隻も空母があるんじゃん。」
「4隻も、ではなく4隻しか無いのです。
これに対し、アメリカ軍の空母は正規空母、護衛空母合わせて32隻。艦載機は約1300機。
戦艦や駆逐艦等の護衛艦艇も含めれば一体何隻になるのか・・・とにかくたくさんです。」
「・・・もうちょっとちゃんと解説しなさいよ。」
「面倒なので省略します。とりあえず正攻法では無理という事さえ分かっていただければ問題はありません。」
「空母32隻って・・・鬼だね。」
「鬼ならここにもいますよ?」
「誰が鬼よ!」
「ほら、怖い怖い〜♪」
「うるさい!」
「・・・次は、具体的な作戦内容について説明します。こちらの資料をご覧下さい。」
「ん、何これ?」
「もしかしてこれ、台本でつか?」
「・・・この海戦は日本軍の艦艇が別行動で動くので、これまで通りの説明では嫌でも難しくなってしまう可能性があります。
そこで・・・私達も時流に乗り、演劇形式で話を進めたいと思うのです。」
「え〜!何で私らがそんな事しなきゃなんないのよ!」
「良いじゃないですか。学芸会の白雪姫役の時の汚名を挽回するチャンスでつよ?」
「あんた馬鹿ぁ?汚名を挽回してどーすんのよ!汚名は返上するもんでしょうが!」
「ネタにマジレス・・・(・A・)カコワルイ」
「とりあえず、配役を発表します。」
栗田艦隊栗田中将役
部下
西村・志摩艦隊西村中将、志摩中将役
部下
アメリカ軍第3艦隊他ハルゼー大将役
部下
「こんな感じでいかがでしょうか?」
「やだ〜!なんであたしがマシュマー様の部下になんなきゃなんないのよ〜!」
「だからな、上官と言うのは・・・」
「・・・もしなんでしたら、交換されても結構ですよ。」
「な!」
「やった〜!じゃ、配役変更ね♪」
「ちょっと、この配役納得いかないんだけど。」
「・・・日本軍指揮官役をやりたいのですか?」
「そーじゃないわよ!なんで、このひし形が私の部下なのよ!」
「酷っ!私はアスカさんの事を心からお慕いしてるのに!」
「ねぇ、私達はどうして1人2役なの?」
「・・・人数が足りないからです。
それに西村・志摩艦隊は後々合流するので・・・申し訳ありませんがご了承下さい。」
「ま、別に良いけどな。」
「後は日本軍の囮艦隊ですが・・・考えてみたら人数が足りませんね。どうしましょうか?」
「人手が足りないのに演劇って・・・本末転倒じゃない。」
「・・・それでは少々お待ち下さい。誰か探してきます。」
ウイィィィン(ドアの開閉音)
「誰か探してくるって・・・」
「まぁ、良いだろう。今のうちに休んでおくのも一つの手だ。」
ウイィィィン(ドアの開閉音)
「・・・お待たせしました。」
「早っ!」
「で、誰か見つかったのか?」
「・・・・・。」
「伊吹二尉じゃない。どうしたの?」
「レイがどうしても手伝って欲しいって言うから来たんだけど・・・その・・・」
「どうしたんです?」
「どうしたもこうしたも無いわよ。どう考えても、原因はあんた達でしょうが。」
「まぁまぁ、取って食ったりはしないさ。仲良くやろうぜ。」
「・・・え、ええ。よろしくね。」
「それでは配役はこちらで決定とします。」
栗田艦隊栗田中将役
部下
西村・志摩艦隊西村中将、志摩中将役
部下
小沢艦隊小沢中将役
部下
アメリカ軍第3艦隊他ハルゼー大将役
部下
「あれ?小沢なんとかって役・・・あんたやるんじゃないの?」
「・・・そんな恐れ多い事は出来ません。私は部下で十分です。」
「ところで、どう話を進めるつもりなのだ?」
「そちらの台本どおりにお願いします。必要とあれば説明の補足等はするつもりです。」
「いや・・・そうではなく、仮にも指揮官となる人物がプルで良いのか?」
「マシュマー、お前はよくやっている。これからも尽くして欲しい。私の為に。」
「ええ〜い!ハマーン様の真似は止めんか!」
「まぁ、良いんじゃないの?私だって無能な日本の指揮官役やるくらいならアメリカ軍の方が良いし。」
「アスカタンと一緒・・・(;´Д`)…ハァハァ」
「気色悪い!ひっつくんじゃないわよ!」
「・・・それでは始めます。」
昭和19年10月20日
小沢機動部隊、内地から出撃
「それでは出撃します。・・・こんな感じで良いの?」
「・・・はい。」
10月22日
栗田艦隊、ブルネイから出撃
「んじゃ、第一遊撃部隊出発〜♪」
「プル、そのノリは違うと思うぞ。」
西村艦隊、ブルネイから出撃
「え〜と・・・、私達の部隊って少なくないかな。」
「まぁ、台本ではそうなってるからな。空の援護も無しに出撃ってのは無謀だわな。」
10月23日
栗田艦隊 旗艦愛宕艦橋
「・・・いきなり我々の出番か。
プル、敵潜水艦を探知したぞ。対潜警戒厳、之字運動を執るがいいか?」
「え〜、なんでそんな事勝手に決めちゃうのよ〜!指揮官はあたしなのに〜!」
「・・・史実に無い台詞を言うな。それに艦の指揮を執るのはあくまで艦長の役目だ。お前は・・・」
ドカーン!(爆発音)
重巡洋艦愛宕、魚雷4本命中
「愛宕って何?」
「お前は馬鹿か!我々の乗る艦が攻撃を受けたのだ!呆けている時間は無いぞ!」
06:32
重巡洋艦愛宕沈没
06:33
重巡洋艦高雄、魚雷2本命中
06:57
重巡洋艦摩耶、魚雷4本命中(後に沈没)
16:23
栗田中将、大和に移乗。旗艦変更
「もうサイッテー!服がびしょびしょになっちゃったじゃん!」
「・・・命が助かっただけでもありがたいと思え。沈みゆく愛宕と運命を共にしていった将兵達も居たのだ。」
「それはそうだけど・・・」
「それに、無駄にする時間は無いぞ。目的地はまだ先なのだ。」
「ん〜、分かった。」
「ああ、我が同志、エルピー・プル・・・おいたわしや。」
「あんたはアメリカ軍でしょ。余計なところで口を挟むんじゃないわよ。」
「う〜ん、いけずぅ〜♪」
「いけずじゃない!」
「それにしても、日本軍は何してるんですかねぇ。動きが筒抜けなんですけど。」
「それだけ情報に無頓着って事でしょ。ひし形、攻撃準備。」
「え〜、同志エルピー・プルを攻撃するなんて・・・嫌です。」
「命令を聞きなさいよ!あんたは今アメリカ軍の役でしょうが!」
「ああ、愛するおんにゃにょこの板ばさみで悩み苦しむなんて・・・なんて、ありがちなパターン♪」
「るさい!」
「・・・・・。」
10月24日
栗田艦隊、シブヤン海に到達
「・・・対空迎撃用の輪形陣の形成は終了したぞ。」
「46cm主砲一斉射撃!」
「おい、いきなり何を・・・」
「おやめ下さい!射線上には我が方の駆逐艦がっ!大佐ぁっ!」
(ニヤリ)
「無闇にネタを混ぜるの止めなさいって。」
「・・・史実に無い台詞は止めろと言ったはずだ。それに、艦そのものに指示を下すのは艦長の役目なのだぞ。」
「え〜、ちょっとくらいいいじゃん。」
「・・・台本にもそんな台詞は載ってないだろう。少しは真面目にやれ。」
「だって・・・今、あたし達が乗ってるのってヤマトでしょ。無敵戦艦なんだから、ちょっとくらい無茶したって良いじゃん。」
「さらば〜、地球よ〜♪」
「何を話しているのか私には分からんのだが・・・」
「だって、ヤマトって爆撃食らったりミサイル打ち込まれたり第三艦橋が溶け落ちたりしても
一週間あれば何事も無かった様に直っちゃうじゃん♪」
「・・・それは別の話です。ヤマトではなく大和です。」
「な〜んだ、つまんないの〜。じゃ、この役止めちゃおっかな〜。」
「いきなり何を言い出すのだ?」
「だって面白くないんだもん。後はマシュマー様に任せるね。」
「・・・無責任にも程がある。だが、下らん事でいちいち話を止めるわけにもいかん。栗田中将の役を引き受けよう。」
「良かった〜♪偉い人の役なんて肩こっちゃうもんね。」
「・・・とりあえず偵察だ。各艦から偵察機を発進させろ。」
巡洋艦、戦艦から偵察機を射出
「フフン。のこのこ戦艦で攻めてくるなんて、日本軍は何考えてんのかしらね〜。」
「なんか、怪しくないですか?いくらなんでも無防備すぎますよ?」
「あんた馬鹿ぁ?あの日本軍がそこまで深く考えてるわけないでしょ!さっさと攻撃隊を発進させなさい!」
「プルさんを攻撃なんて・・・シクシク。」
「人の話を聞きなさいよ!」
同日 10:26
栗田艦隊、第一次対空戦闘開始
「マシュマー様、何か敵が来たみたいなんだけど。」
「敵とは何だ?正確に報告しろ。」
「え?飛行機だよ。」
「・・・数は?」
「え〜と、1・・・2・・・たくさん?」
「・・・お前にとって3以上の数はたくさんなのか。とりあえず、仕事を始めろ。」
「りょうか〜い!んじゃ、適当に撃ち方始め〜♪」
「・・・頼むからちゃんと指示しろ。」
「後方銃座、弾幕薄いぞ!何やってんの!」
「・・・・・。」
同日 12:06
第二次対空戦闘開始 戦艦大和、武蔵に攻撃集中
アメリカ軍機の攻撃を受ける栗田艦隊
「・・・ずいぶん執拗な攻撃だな。」
「おっかしいな〜。ちゃんと三式弾ってのを使ってんだけど。」
「・・・元々戦艦は対航空機用の兵器では無い。仕方あるまい。」
「ねぇ、妙高とかって巡洋艦が攻撃されちゃってるみたいなんだけど・・・」
「・・・駆逐艦二隻に護衛させろ。ところで、機動部隊は何をしているのだ?」
「え?今、あたし達を攻撃してるじゃん。」
「・・・味方の機動部隊だ。本来なら敵の攻撃を引き付けているはずだろう?」
「さぁ・・・?」
同日 12:05
帝国海軍小沢機動部隊より攻撃隊発進
「あの・・・私は何をすれば良いのかな?」
「・・・台本どおりに喋っていただければ問題ありません。」
「そう?まだ、話が掴めないけど・・・。」
「・・・手伝ってもらえて、とても助かっています。このままお願いします。」
「ところで、日本軍の飛行機って少ないんでしょ?ほとんど全部の飛行機を敵に向かわせちゃって良いのかしら?」
「・・・攻撃の基本は先手必勝です。先に敵を発見できた今の状況で攻撃しない理由はありません。」
同日 夕刻
アメリカ軍機動部隊
「ご報告でつ。北方を警戒中の部隊から、日本軍機襲来の報告がありました。幸い、被害はほとんどありませんでしたよん。」
「ふ〜ん。」
「あ、そうそう。良い話があるんですけど・・・聞きたいですか?」
「何?良い話って。」
「日本軍機の攻撃で、空母ラングレーがちょっとだけ被害を受けたそうなんです。馬鹿馬鹿しくて笑っちゃいますよね(プ」
「どこが良い話なのよ!あんた、私にケンカ売ってんの?」
「イタタ、手を放してください。息が苦しいですぅ〜。」
「とりあえず、北方の部隊をこっち(南)に呼び寄せて。部隊を編成し直して、全力で憎っくきファーストを叩くのよ!」
「・・・人気投票で負けたのがそんなに気に入らないんですか?」
「そーいう問題じゃないわよ!こちらの全力で敵を叩くのは戦術の基本でしょうが!」
「全力で叩くんですか?西から向かって来てたプルさんの部隊(栗田艦隊)はどうするつもりなんです?」
「・・・細かい事気にすんじゃないわよ。でっかい戦艦(武蔵)は沈めたんだし
あっちの艦隊(栗田艦隊)は西に逃げちゃったんだし、もうほっといても問題は無いでしょ。」
同日 20:00
栗田艦隊
「凄い攻撃だったね〜。まさか、武蔵が沈んじゃうとは思わなかったよ。」
「魚雷をあれだけ食らえば、戦艦と言えどさすがにタダでは済まんだろう。
それにしても、我が海軍の機動部隊は何をしているのだ?これでは話が違うではないか。」
「でも、とりあえず逃げられたんだから良かったじゃん。」
「人聞きの悪い事を言うな。あれは戦術的撤退・・・いや、転進だ。」
「逃げた事に代わりはないけどね。」
「ええ〜い、うるさい!今は再反転し、再び目的地に向かっているのだ!つべこべ文句を言うな!」
「ぶ〜・・・。」
同日 20:13
西村艦隊
「さて、このまま進むと予定通りレイテ湾に突入出来そうだが・・・ホントに行くのか?」
「うん・・・、台本にもそう書いてあるし。それに戻っても意味は無いしね。」
「ま、そりゃそうなんだが・・・あっちの艦隊(栗田艦隊)は予定より遅れてるって話だぞ。
時間の調整とかしなくて良いのか?」
「・・・突入予定は明日の04:00でしょ?あんまり時間遅らせたら飛行機の攻撃とか受けちゃうもの。」
「逝くも地獄、退くも地獄ってとこか?」
「ごめんなさい。」
「いいですよ、貴女と一緒なら。」
「それ、キャラ違う・・・。」
10月25日 03:09
西村艦隊 一斉に照射射撃開始
「・・・やっぱり駄目なのかな。」
「仕方ないさ、T字陣形で待ち構えられていたトコに飛び込んじまったんだから。
おまけに駆逐艦の数も多いしレーダー射撃は精度抜群だし。あんたも勝てるなんて思ってなかったんだろ?」
「・・・・・。」
西村艦隊、時雨一隻を残し全滅
同日 04:05
志摩艦隊 戦場に到着
その後 西村・志摩艦隊は戦線から離脱
「ウェーハッハッハ!見たまえ、日本軍がゴミの様だ!」
「あんた・・・」
「おや、何かおかしいですか?アメリカ人ならこれくらいの作法は基本でつよ?」
「アメリカ人の評価を無意味に下げるような言動は止めなさいよ!」
「まぁ、それはさておき。これからどうするんでつか?」
「私は一応ハルゼーって人の役なんだから、これからどうするかなんて決まってるようなもんでしょ。
このまま北に向かって、あの朴念仁ファーストを粉砕するのよ。」
「え〜!プルさんの艦隊(栗田艦隊)はどうするんです?」
「あんたもしつっこいわね〜!あっちの艦隊(栗田艦隊)は帰っちゃったんだから、もうどうだって良いでしょうが!」
アメリカ軍 第三艦隊
小沢機動部隊迎撃の為、北上開始
同日 早朝
小沢機動部隊
「昨日の戦闘で本当に飛行機の数が減っちゃったのね。やっぱりアメリカ軍は来るのかしら?」
「・・・来てもらわなければ困ります。上空直援の18機の零戦を残し、他の機体はフィリピンへ送りました。」
「・・・そうなんだ。」
「・・・瑞鶴の飛行甲板には移動式の対空機銃を設置しておきました。
上空の零戦は燃料切れと共に不時着する手はずとなっていますから、何も問題はありません。」
「よく知らなかったんだけど・・・日本軍って、こんなに大変だったの?」
「戦争末期ですから、仕方ありません・・・。」
同日 早朝
栗田艦隊
「マシュマー様、他の艦隊(西村艦隊)全滅しちゃったって。」
「・・・そうか。」
「ね〜、もう帰っちゃおうよ。このまんまじゃ、あたし達もどうなるか分かんないし。」
「だから、史実に無い台詞を言うな。それに、ここで帰っても何の意味も無い。」
「ぶ〜・・・」
「もう、夜が明けているのだ。警戒は厳重にな。」
「それにしてもさぁ・・・」
「なんだ?」
「この船って随分眺め良いんだね〜。あんな遠くまで見えるじゃん♪」
「別に遊覧船ではないが・・・攻撃するにも基本的に目視が基本だからな。遠くまで見渡せなければ意味は無い。
どうでもいいが警戒は怠るな。」
「は〜い、了・・・あれ?」
「どうした?」
「ずっと遠くにいるのって・・・あれ、敵空母じゃない?」
「・・・寝言は寝て言え。空母が視認距離に入るなどありえん。」
「嘘じゃないもん!よ〜く見てよ!」
「・・・馬鹿な。何故、空母がこんなところにいるのだ?」
「そんな事、あたしに言われても困っちゃうけど。」
「・・・ああ、これこそハマーン様が私に与えてくださった幸運・・・。」
「で、どーすんの?」
「この機を逃すな!直ちに砲撃を開始しろ!」
「りょ〜かい!波動砲発射準備!」
「・・・それは違うと思うぞ。」
大和以下主力艦
前部主砲による砲撃を開始
「ああ、ハマーン様・・・私は必ず貴女の敵を討ってご覧にいれます。ハマーン様ハマーン様・・・」
「どうでもいいけど、このままだと逃げられちゃうよ?」
「逃げられちゃうよ。では無い!言われる前に追撃しろ!」
「え〜ん、マシュマー様が怒鳴った〜!」
「いいから仕事をしろ。空母を戦艦の射程圏内に収めるなどありえん話なのだ。とにかく突撃だ!」
同日 11:00
栗田艦隊 陣形を再編成
「ちょっと〜!押せ押せモードだったのに、なんで追っかけないのよ〜!
さっきまで突撃しろって言ってたくせに〜!」
「・・・これ以上の戦闘は本来の作戦に支障が出る。何事も引き際が肝心だ。」
「ぶ〜・・・」
「今回の海戦でかなりの打撃を敵に与えたのだからそれで好しとしろ。戦果が得られたのは事実だからな。」
同日 08:15
小沢機動部隊
第一波襲来 対空戦闘開始
「ほんとにアメリカ軍が来ちゃったんだ・・・。」
「・・・航空機はなくても練度は十分です。囮役なら立派に果たす事は出来ます。」
08:56
駆逐艦秋月、沈没
09:58
空母千歳、沈没
10:16
空母千代田、被害甚大
アメリカ軍機の攻撃を受ける空母、瑞鳳
「・・・残念ながら、瑞鶴の指揮能力は喪失してしまいました。軽巡大淀への乗り換えを提案します。」
「そういう専門的な事って、よく分からないんだけど・・・その方が良いの?」
「・・・部隊の指揮を執るには、それなりの設備が整った艦の方が良いのです。」
「・・・そう。それじゃ乗り換えましょう。」
「・・・こちらの作戦は成功です。ここまで引き寄せておけば問題は無いでしょう。」
一方のアメリカ軍
「オホホ、あまりにも歯ごたえなさ過ぎね〜!これで、主役とNo.1の座は私のモノよ!」
「主役はシンジさんですし、綾波さんを叩いても意味は無いかと思うのですが。」
「いちいちうるさい!あんたは攻撃に専念しなさいよ!」
「ああ・・・怒鳴るアスカさん。あなたのその表情もステキでつ(;´Д`)…ハァハァ」
「るさいっての!」
「あれ?なんか緊急電が来てますけど・・・」
「うるっさいわね〜!今いいところなんだから後にしなさいよ!」
「でも、緊急って書いてありますよ。ほら。」
第38任務部隊は何処にありや 全世界は知らんと欲す
「なによこれぇ〜!どこから来たのよコレ!」
「なんか、レイテ湾の方に敵が迫ってるみたいですよ。現地ではもうおおわらわ、大混乱なご様子ですハイ。」
「つーか、何よこの全世界はなんたらってのは!皮肉にしても程があるでしょうが!」
「・・・結果的に皮肉になってしまいましたが、その下りに深い意味は無いそうです。」
「うるさい!つーかむしろ、どっから敵が来たのよ!ゼントラーディよろしくデフォールドでもして来たって言う訳?」
「ははは、何をおっしゃるやら、昨日取り逃がしたプルさんの艦隊でつよ♪」
「なんですって〜!あの騎士ヲタ、よくも私を騙したわね〜!」
「だから私があれだけ注意したのに・・・クスクス、アスカさんったらお間抜けさんですねぇ(プ」
「あんたは〜!」
「や、止めてください!暴力反対〜!」
同日 12:26
栗田艦隊 レイテ突入を断念
「ねぇ、マシュマー様?」
「何だ?」
「本当に帰っちゃうの?」
「・・・仕方あるまい、敵機動部隊の動静が分からんのだ。
おまけに、今日の明け方に西村艦隊が全滅している。このままレイテに突入して戦果が見込めると思うか?」
「う〜ん、コスモタイガー隊が残ってれば何とかなると思うけど♪」
「人の話を真面目に聞け!」
「え〜ん、マシュマー様が怒った〜。」
「嘘泣きは止めろと言ったはずだが・・・」
「でも、このまま引き返しちゃって良いの?」
「・・・良いも悪いも無い。
それに、我が艦隊の北方に敵を発見したとの報告も入った様だ。我々は反転して、それらの敵を討つ。」
「また転進?」
「そうだ。万が一、敵主力部隊が現れた時はそちらに向かう事も許されているのだ。」
「う〜ん、でも・・・」
「何だ?」
「陸軍の人達ってレイテってトコで決戦しようとしてるんでしょ?やっぱり帰っちゃうって言うのはちょっとね・・・。」
「・・・さっきも言ったが問題なのは、我らがレイテに突入してどれほどの効果があるかという事だ。」
「どゆこと?」
「・・・本日未明にレイテ湾に向かった西村艦隊は全滅している。
いくらなんでも部隊が全滅というのは珍しい話だ。レイテ付近で厳重な警戒がなされている可能性は十二分にある。」
「でも、あたし達にはヤマトが残ってるもん。何とかなるでしょ。」
「・・・現実に単艦で戦局を左右する事など出来ん。所詮、日本は物量戦には勝てんのだ。」
「ぶ〜・・・」
10月28日 21:50
栗田艦隊主隊 ブルネイ帰港
レイテ沖海戦 終了
「・・・以上で、比島沖海戦概要の説明は終わりです。」
「おつかれさま〜♪」
「私はほとんど出番なかったけど・・・」
「ま、地味だからな俺ら。」
「ちょっと、待ちなさいよ。あんないい加減な台本で分かる訳ないでしょうが。」
「まんまと釣られちゃった事をそんなに気にしてるんですか?」
「るさい!」
「図星か・・・。」
「機動部隊が囮って知ってるはずなのに、全くためらい無しに北上しちゃいましたからね。アスカさんったらカワイイ♪」
「うるさいっつってるでしょ!」
「比島沖海戦の流れは分かっていただけた事と思います。次は具体的な説明に移ります。」
「へ?説明、終わったんじゃ・・・?」
「何を言っているんですか?先ほどまでの演劇はあくまで流れをつかむ為の一つの方法に過ぎません。
言ってしまえば、ただの予備知識です。」
「あの・・・、私はどうすればいいのかな?」
「もしなんでしたら、私とお茶なんかいかがですか?すぐそこのカドに美味しいプリンパフェを食べさせてくれるお店があるんですよ♪」
「いやいや、あっちの3丁目にはコーヒーのうまい店があるんだが・・・」
「え・・・あの・・・」
「さぁさぁさぁ!」
「人外ども!何の話をしとるか!」
「だって〜」
「だってもへったくれも無い!伊吹二尉を困らせるんじゃないわよ!」
「アスカ、使徒と仲良くなっちゃうなんて・・・すごいのね。」
「それはもう当然でつ。今はもう、コロ助とキテレツ並に背中を流し合っちゃうほどに仲良しなんですよ♪」
「ひし形!あんた、口からでまかせ言うんじゃない!」
「・・・不潔。」
ウイィィィン(ドアの開閉音)
「あ〜あ、行っちゃった。」
「さすが潔癖症だな。」
「ああ、憧れのマヤたんが・・・シクシク。」