「そろそろ、続きを始めましょう。」
「で、これからどうすんだっけ?」
「サイド3に行くところですよ。妹のあずささんが見つかったので引き取りに行くんです。」
「03区居住区。いい加減、ガンダムと話を混ぜるのは止めなさいよ。」
「でも、何にせよ見つかって良かったな。妹。」
「あ、そういえばさっき言いそびれたんだけどさ・・・」
「なんだ?」
「化け物に連れ去られた妹が何で居住区で見つかるわけ?なんかおかしくない?」
「そうですね。エリナさんも同じ事、言ってますし。」
「・・・さぁ?俺にそんな事言われても困るぞ。とにかく見つかったんなら良いじゃねぇか。」
「そうですね。一時はどうなる事かと思っちゃいましたけど・・・」
「アンタら、少しは疑うとか警戒するとか考えなさいよ。適当にも程があるって。」
「それより見えてきましたよ。サイド3に到着です。て、え・・・?」
「なによ?」
「なんか、おかしいですよね。真っ暗って・・・今、夜だったりするんでしょうか?」
「とりあえず行くだけ行ってみなさいよ。連絡があったって事は誰かしら居るんだろうしさ。」
「・・・・・。」
「本当にスゴイところですね。荒れ放題ですよ。」
「でも、非常用の赤色灯みたいなのがあちこちで点滅してますし・・・一応、電源は生きてますよね。」
「これ、生きてるって言うの・・・?」
「とりあえず、中央に行ってみようぜ。居住区ならそういうのがあるんだろうし。」
「どしたの?入らないの?」
「入らないんじゃなくて入れねぇんだよ。どうもロックされちまってるみたいでさ。」
「なんか・・・荒れ放題なところですし、戸締りをしっかりしてるんじゃないですかね。」
「どういう能天気な発想してんのよ。どう考えてもおかしいでしょうが。」
「どうも、ここのカードキーが無いと開かないみたいなんだよな。叩いても蹴ってもビクともしねぇし・・・」
「相談してみてはどうでしょう?そんな選択肢が出てきてますよ。」
「あんまり・・・、妙案は無いみたいだな。」
「どうするんです?完全に閉め出されちゃってますよね。せっかくあずささんを迎えに来たのに・・・」
「閉め出されるって・・・なんか使い方おかしくない?」
「こうなったら、私が加粒子砲で・・・!」
「おいおい、ゲームの世界とごっちゃにすんじゃないわよ。」
「とりあえず、叩いたり蹴ったりしてみようぜ。もしかしたら、誰か居るかもしれないしさ。」
「それでも誰も来ないみたいですよ。まさか、ガセ情報なんてオチはありませんよね?」
「言っちゃって良いの?」
「いや・・・、言わなくて良い。不本意だが、こうなったら光のパイルでドアごと貫通して―――」
「おいおいおい、アンタまで何を言い出すのよ。」
「だって、何度叩いても同じ事の繰り返しなんだぜ?もう実力行使しか―――」
「いきなり扉が開きましたよ?あれ?この人・・・!」
「あら?こいつ、いつぞやの人生に疲れた男じゃない。」
「ターミナルステーションの責任者の人ですね。」
「族長(オサ)!族長(オサ)!族長(オサ)!」
「今度はジョジョネタかよ・・・。」
「ジフさんの話だと、3つ上のフロアにあずささんが居るみたいです。案内してくれるそうですよ?」
「・・・・・。」
「どうしたんですか?」
「・・・いや、何でも無ぇ。じゃ、案内してもらうぞ。」
「よかったですね。あずささんが無事に見つかって。」
「・・・・・。」
「サキエルさん?」
「・・・とりあえず部屋に入ろう。」
「あれ?」
「なによ、誰も居ないじゃない。人生に疲れた男、部屋間違えてんじゃないの?」
「そうですね。ちょっと聞いてみた方が―――」
「へ?」
「そんな!ジフさんが化け物だったなんて・・・!」
「・・・案の定だな。キャティさんから借りた銃を使うぞ。」
「随分、冷静に対処してんのね。」
「だって、こんな状況で出てくるなんて怪しい以外の何物でもないだろ?」
「じゃあ、案内断っといた方が良かったんじゃないの?」
「まぁ・・・、相手がどう出るかも見たかったしな。俺自身半信半疑だったし。」
「それにしても良かったですね、銃を借りておいて。借りてなかったらどうなってたんですか?」
「ゲームオーバー、やり直しだね。」
「え?ゲームオーバーがあるんですか?」
「うん。まぁ、少し前に戻ってやり直しになるだけなんだけど・・・普通にやってればまずそういう事にはならないから安心して♪」
「で、化け物はどうなったの?」
「逃げたみたいだぜ。とりあえず追っ払えたみたいだ。」
「これは?」
「あのジフってのが化け物だったのがショックだったんだろ。主人公が人間かどうかエリナが聞いてきてるんだ。」
「答えは1つじゃないですか。だって、忠さんって人間ですもんね。」
「こういう時は異星生物って言うのもアリでしょ?少しは場を和ませないと。」
「和みませんよ。エリナさんは本気で怖がってるんですから真面目に答えないとダメです。」
「ま、確かにそういう冗談を言う空気じゃないしな。普通に人間だって答えておこうぜ。
で、これからどうすりゃ良いんだ?」
「あ〜、長かった〜!待ってたんだよ、そういう台詞〜♪」
「なんだそりゃ?」
「だって、このゲームってサクサク進むから解説するところなんかほとんど無かったんだもん。
もう暇で暇で、喋りたくてウズウズしちゃってさ〜、やっと喋れると思ったら嬉しくって♪」
「別に、喋らない必要は無いでしょうに。」
「あ〜、うん。そうなんだけど・・・、あたし、なんかネタバレ喋っちゃいそうで・・・これでも気を使ってたんだよ。」
「ふ〜ん、で、これからどうすんだ?」
「この03区の中央の探索。早くあずさを探してあげなきゃね。」
「探索って・・・何のコマンドも出てねぇんだが。」
「ここって、これまでと操作方法が違っててさ。
上で進んで、下は相談。左右はドアを開けたり色々したりのボタンなんだ。」
「上で進む・・・あ、ちゃんと進むんだな。」
「なんか、ウィザードリィみたいですね。」
「それじゃ、捜索を始めるか。」
「あ、その前に・・・」
「どうしました?」
「03区をエリナ(さん)と探索する前に言っておくッ!俺は今、ヤツの射撃能力をほんのちょっぴりだが体験した・・・。
い・・・いや、体験したというよりはまったく理解を超えていたのだが・・・
あ・・・ありのまま、今、起こった事を話すぜ!
眼をつぶって顔を背けながら銃を撃ってたのに、ちゃんとエイリアンがひるんで逃げてくれた。」
「は?」
「な・・・何を言ってるのかわからねーと思うが、俺も何をされたのかわからなかった。
頭がどうにかなりそうだった・・・。
銃がスタンド(ホルホース)だとか弾道をコントロールするスタンド(ミスタ)だとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねぇ。
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ。」
「逆に考えるんですよ、ゼルエルさん。
眼をつぶって顔を背けながら撃ったから化け物が逃げてくれた、そう考えるんです。」
「それで何が解決するってのよ。」
「ところで、次に部屋に来てみたんだが・・・」
「開かないみたいですね・・・。」
「とりあえず、今はどうしようもないよな。先に進もうぜ。」
「次の部屋も開きませんね。」
「先を急ごう。開かないドアの前に居ても仕方ないしな。」
「そういえば、相談も出来ますよね。少し話してみてはどうでしょうか?」
「それもそうだな。よし・・・」
「ショックって・・・そんなに気にする事かしら?」
「人間だと思ってた人が実は化け物だったなんて・・・そういうのってショックじゃありませんか?」
「そうか?」
「だって、ジフさんは以前に人として知り合った相手ですよ?その人が化け物だって分かったら・・・やっぱりショックじゃないですか。」
「別にそんな気にする事でもないでしょ。」
「今度は階段があるな。」
「下の階へ降りられそうですね。どうします?」
「いや、今はとりあえず前に進もう。このフロアってまだ全部見終わってないだろ?」
「見終わってって言うか・・・この通路って、どこまで続いてんの?」
「言っちゃって良いの?」
「いや・・・、いい。まだ、もう少し様子を見てみようぜ。え〜と・・・次の部屋は・・・」
「わっ!また・・・!」
「銃で追っ払うぞ。」
「なぐる・けるってコマンドもあるみたいだけど。」
「それ、即死コマンドだから止めた方が良いよ。」
「だそうだ。」
「・・・また逃げちゃったみたいですね。」
「ところで、これって弾切れとかは無ぇのか?」
「うん。そのあたりは平気。気にせずガンガン使っちゃって。」
「この部屋も何も無い部屋ですね。ここにはあずささんは居ないみたいです。」
「よし、他へ行こう。」
「次の部屋も、その次の部屋も開かないみたいですが。」
「・・・先に進むしか無いだろ。」
「あ・・・、また階段がありましたよ?」
「この建物、どんな造りしてんだ?どこまで行っても行き止まりとか無ぇじゃねぇか。」
「そろそろヒント居る?」
「まだだ。もう少しやってみる。さて・・・次の部屋は・・・また、開くみたいだな。え〜と・・・」
「またかよ。なんなんだ、コイツは・・・」
「どうするんです?」
「銃で追っ払うしかないだろ。なぐる・けるは即死コマンドなんだからよ。」
「おや、弾が命中したみたいですよ。」
「お・・・、これは、ようやく倒せたって事か?」
「そうみたいね。廊下に死体が転がってるし。」
「さ、行きましょう。死体なんて見ていても気持ちのいいものじゃありませんよ。」
「その前に、その死体って調べられねぇか?そいつがジフなら何かしら持っていてもおかしくねぇだろうし。」
「死体を調べたいなら右だよ。」
「そうか。よし・・・」
「やっぱりあったな。拾っておこうぜ。」
「エリナさんも言ってますけど・・・、よくそんなの素手で持てますね。」
「俺じゃねぇよ。さて、ここの部屋も一応確認しておくか。」
「本当に何もない部屋だな。」
「ここにはあずささんは居ないみたいですね。」
「よし、他に行こう。」
「ほら、カードキー拾っておいて良かっただろ?」
「でも、それって化け物の血が付いてますよね?
もしその血液が強い酸性とかだったりしたら危ないじゃないですか。」
「何の話してんのよ・・・。」
「大丈夫ですよ。ビショップさんも言っていたはずですよ。エイリアンの血は死ぬと酸性が中和されるって。」
「あ・・・、そういえば。」
「おいおい、2人で何、納得してんのよ。」
「とにかく、中へ入るぞ。」
「この部屋にも居ないじゃない。ロックされてるから何かあるかと思ったのに。」
「でも、さっきの部屋とは違うよな。右のほうに戸棚みたいなのがあるぜ。」
「戸棚って言うか・・・小さいロッカーなんだけどね。」
「あれって開けられねぇのか?」
「は〜い♪それじゃ、迷えるサキエルの為に解説するよ〜♪」
「急に生き生きし始めたわね。」
「部屋の中の何かを調べたい時はたたくってコマンドがあるからそれを選択して。そうすると・・・」
「こんな風に、対象を指差せるようになるから。それを操作して調べたいヤツに指先を合わせるんだ。」
「え〜と・・・右側のロッカーだから・・・よし、合わせたぞ。」
「そして、いつも通りに決定すると・・・」
「こんな風に、エリナが調べてくれるってワケ。」
「なるほどな・・・。こんな感じで調べていけば良いって事か?」
「そゆこと♪」
「でも、ここには妹は居ないみたいよ。」
「そうですね。次の部屋へ行きましょう。」
「この部屋で目に付くのは・・・大きなロッカーと箱と・・・」
「後は、左にあるシャッターみたいな何かか。とりあえず片っ端から調べてみようぜ。」
「ロッカーの中は空、箱の中は発泡スチロール、シャッターみたいなのは空調らしいですね。」
「ここにも何も無しか・・・。こりゃかなりの長期戦になりそうだな。」
「答え、言っちゃおうか?」
「止めてくれ。そんな事されたらこれまでの探索が徒労になっちまうだろ。」
「急ごう。我はすべてに徒労を教えねばならぬ。すべては徒労だと教えねばなら―――」
「それ前に聞いた。大体、何なのよ、そのネタ。」
「それじゃ、他に行きましょう。」
「階段を通り過ぎて、最初の部屋に入ってみたんだが・・・ここ、前に来たか?」
「何度も来てる気がするけど。」
「この中央ってどんな造りしてんだ・・・?」
「この部屋は調べないの?」
「いや、別にいいだろ。この部屋には何も無いしな。次の部屋に行くぞ。」
「この部屋・・・」
「おい・・・、軽くデジャヴってるのは気のせいか・・・?さっき調べたよな?」
「でも、この中央って似たような部屋が多いのかもしれませんし・・・一応調べてみましょうよ。」
「ああ・・・。そうだな。」
「やっぱり、ロッカーの中には何もありませんでしたね。」
「・・・次だ。」
「・・・またかよ。」
「気を落としちゃダメですよ。ほら、あずささんが居るかもしれませんからきちんと調べないと。」
「まぁ・・・そうなんだけどよ。・・・あれ?」
「どしたの?」
「ロッカーに鍵がかかってるんだと。さっきって・・・開いたよな?」
「開いたわよね・・・。誰かが鍵をかけちゃったって事?」
「似ているだけで違う部屋なんじゃないですか?箱の中も空になってますし。」
「そうか・・・。違う部屋なのか。」
「ロッカーの鍵はさすがに開けられないみたいですね。」
「それじゃ、次に行くか。」
「化け物の死体って・・・これさっき倒したヤツよね?」
「ああ・・・、って事はこれで一回りしちまったって事か?」
「そうみたいですね。部屋を3つに行ったところに階段があってさらに3部屋で階段でここに到着ですから・・・」
「図で表すとこんな感じでしょうね。」
「なにこれ・・・?」
「自分なりに作った概略図ですよ。ほら、これなら分かりやすいでしょ?」
「適当すぎるって、部屋が。んなピザみたいな形してるわけ無いでしょうが。」
「だって、四角にするのが面倒だったから・・・それに綾波さんの出してた図よりは綺麗ですよね?」
「アレを比較対照にすんじゃないんわよ。」
「でも、これで一回りってんなら、この先の部屋を見る必要は無いよな。
これって後戻りは出来無ぇみてぇだし、次の階段で別のフロアへ移動しようぜ。」
「下の階に下りると階段もちゃんと変わってるんですね。」
「まだ、ここから下の階もあるのね。」
「そりゃあな。あのジフが3つ上のフロアに案内するっつってたろ?
さっき見てたのがそこだから・・・少なくともあと2フロアはあるって事だよな。」
「面倒くさいわねぇ。さっさとシルフェに答え聞いちゃいなさいよ。その方が手っ取り早いでしょ。」
「止めてくれ。第一、現実の話だったらこういう状況で誰かが教えてくれるってのかよ。」
「ここは大きなロッカーがあるくらいですね。」
「中には何も無し・・・か。次に行こうぜ。」
「他は調べなくて良いんですか?ほら、壁とか床とか天井とか。」
「どこの忍者屋敷だよ。んな、ひねくれた造りしてるわけねぇだろ。」
「でも、分かりませんよ?あの化け物の考える事ですから・・・」
「それならそれで、全部の部屋を調べて何も無かったらそういう事も考えてみるさ。さ、次だ。」
「机の上に紙があるわね。何それ?」
「ん・・・、何かの書類みたいだぞ。核廃棄物の処理がどうたらいう法案の書類らしいが。」
「今の私達には関係無いみたいですね。」
「下の箱には何かありました?」
「チラシが入ってるらしいぜ。」
「お寿司ですか?こんなところに箱詰めされてたんじゃさすがにもう食べられないでしょうけど・・・」
「誰がちらし寿司っつった。チラシだ、チラシ。
なんか核廃棄物にゴミを捨てるなみたいな・・・中央の広報にでも使ってたんじゃねぇの?」
「見事に役立つ情報が1つも無いわね。」
「左下のシャッターはどうです?結構大きいし・・・」
「これ、空調用のだろ?さっき調べたし、もうやらなくてもいい気がするんだが・・・」
「ダメですよ。怪しいところはちゃんと調べないと。」
「わーったよ。調べりゃ良いんだろ、調べりゃ・・・ん?」
「何か居るのか・・・!」
「声はすぐに聞こえなくなってしまったらしいですよ。それに遠くから聞こえてきたという話ですし・・・ここでは無いみたいですね。」
「でも、これで手がかりが見つかったな。」
「何がです?」
「空調のシャッターを重点的に調べてみれば良いって事さ。」
「でも、その声が妹のだって証拠は無いでしょ?」
「そうですよ。もし、あの化け物の声だとしたら・・・
エイリアンとかってそういう通風孔とかから出てくるものでしょ?確か映画でもそうでしたし・・・」
「アンタのエイリアンの基準は映画かよ。」
「もし化け物が出てきたらその時に考えるさ。よし、次に行こうぜ。」
「ここのロッカーは片方が鍵がかかってて、もう片方は空っぽ・・・か。何も無さそうだな。」
「ええ〜!こういう所に何か貴重品があるかもしれないのに〜!」
「お前は何しにここへ来たと思ってんだ。」
「だって、せっかく来たんだから何かしら欲しいところじゃない?」
「欲しくねぇよ。元々、妹を迎えに来ただけなんだからよ。」
「それにしても、この部屋は他の部屋と違ってロックされてませんでしたよね。てっきり何かあるかと思ったんですけど・・・」
「さぁ・・・、たまたまなんじゃねぇの?とにかく、次へ行こうぜ。」
「また、階段・・・、と言う事は上のフロアと造りは変わらないみたいですね。このフロアは残り3部屋って事ですね。」
「だな。全部で3フロアだとしたら・・・ようやく残り半分ってワケか。」
「この部屋もロッカーがあるが・・・中には何も無し。他に行こうぜ。」
「本当に何も無いんですね。この居住区って何なんでしょうか・・・?」
「何って・・・何がよ?」
「だって、誰も居ないし・・・居住区って言うにはちょっとおかしいですよ。ここ・・・。」
「まぁ・・・、あんな化け物もいるくらいだものね・・・。普通じゃないってのは確かだけど・・・」
「今、考えたところでどうにもならないだろ。さ、次の部屋へ―――」
「わっ!どうしてまた化け物が・・・!」
「別のヤツだろ。さっさと銃で追っ払うぞ。」
「普通に逃げちゃいましたね。」
「良かったぁ・・・。ホント、心臓に悪いですよ、こういうの。」
「アンタってさ・・・、柄にも無く怖がりなワケ?」
「べ、別にそういうわけじゃありませんよ・・・!ただ、ちょっと驚いただけで・・・」
「分かったわよ。そういう事にしといてあげるわ。」
「むぅ・・・」
「この部屋も・・・どっかで見た様な感じだな。」
「机の上の紙は何なんです?」
「マックベリーズのビラとポテトSのサービス券だとさ。」
「サービス券?お宝じゃない・・・!持ってかえってキャティにサービスして貰いなさいよ〜!」
「何か妙な言い回しだな、それ。」
「良いじゃないですか。サキエルさんはキャティさんにサービスしてもらえば。」
「で、なんでお前は怒ってんだよ。おかしいぞ。
大体、この券はもう期限切れだ。今となっちゃ単なる紙切れだろ。」
「・・・・・。」
「で、下にある箱は何?またチラシ?」
「今度は空。何も入ってないぜ。肝心の空調シャッターも反応無し・・・ちょっとアテが外れちまったが。」
「それじゃ、次ね。」
「この部屋もロッカーくらいしか目に付くようなモンは無いな・・・。」
「ロッカーの中は?」
「何も無し。よし、次の階段で下のフロアへ降りよう。」
「最後のフロアですが・・・、ここで見つからなかったらどうするんです?」
「どうするも何も・・・探すしかないんじゃねぇの?話が進まないんじゃ・・・あれ?」
「どうしたんです?急に立ち止まって。」
「エリナが何か見つけたみたいなんだ。で、それを探してる最中なんだが・・・」
「何これ?」
「妹が頭につけてた髪飾りらしいぜ。」
「これで、妹さんがこの中央に居る、あるいは居たというのが確実になりましたね。」
「ああ、早くみつけてやらなきゃな。」
「この部屋も小さいロッカーがあるだけか・・・。」
「おまけに中身は空っぽだとさ。次に行こうぜ。」
「ここのロッカーは片方が空で片方が鍵かけられてて・・・
箱の中に入っていたのはメタルスレイダーのパーツリストのファイルだってよ。」
「ふ〜ん・・・、役に立ちそうなのは何も無いわね。」
「いや、ここにも空調のシャッターがあるじゃねぇか。調べてみようぜ。」
「そうですね。そういえば、前に声が聞こえた部屋ってこの上ですからね。」
「よく覚えてるわね・・・。」
「一応、概略図を書いた当人ですもん。頭の中に入ってますよ。」
「ん?叩いた時の音がいつもと違うみたいだぜ。もう少し叩いてみよう。」
「匂い・・・?何の匂いなんでしょうか?」
「さぁな。もう少し叩いてみようぜ。ま、叩くのはエリナなんだが。」
「なんで自分でやらないのよ。」
「つーか、2人して調べたらマズイだろ。いきなり化け物が襲ってきたりしたらどうすんだよ。」
「あ、それもそっか。」
「シャッターが吹き飛んじゃいましたよ。」
「どんだけ怪力なのよ、この女。」
「元々、シャッターの立て付けが悪かったんじゃないの?」
「まぁ、世の中にはアスカさんみたいに気は優しくて力持ちの方も居ますから♪」
「うるさい!」
ゴッ!(殴打音)
「あいた!
酷いですよ、せっかくアスカさんの良いところを褒めたのに・・・」
「褒めてないわよ!百歩譲って褒め言葉だとしても私に使うのは不適当だっての!」
「がんばれ!がんばれ!ド〜カ〜ベン!」
「るさいっ!」
ゴッ!(殴打音)
「たわばっ!」
「ようやく妹が見つかったってのに・・・何なんだよ、お前ら。」
「見つかったの?」
「空調のシャッターの奥にな。ふぅ・・・、ようやくか。」
「無事なんですか?」
「無傷ってわけじゃないが・・・とりあえず命に別状は無いみたいだぞ。」
「そうですか。良かった・・・。」
「香水壊れちゃったって・・・自分の心配しなさいよ。どれだけ能天気なのよ、この妹。」
「そういう問題じゃないでしょ。」
「なんか、連中に色々聞かれてたみたいだぞ。GLORYの事とか・・・」
「それじゃ、化け物があずささんの事をさらったのは情報収集の為でしょうか?」
「さぁな。とりあえず、妹が見つかったんだから後は帰るだけだ。急ごう。」
「ふぅ・・・、これでひとまず大丈夫だな。」
「そうですね。サイド3から離れちゃえば安心ですからね。」
「・・・もう、ツッコむのも面倒くさいわよ。」
「でも、分からないわよ〜?また、化け物が船の中に潜んでるかも。」
「変な事言うなよ。そのあたりはさすがに調べてるだろ。話、端折られてるみたいだけどよ。」
「そうですよ。どこかの映画じゃないんですから。」
「そうかしら?あの化け物って自由に姿を変えられるんでしょ?床とか壁とか天井に化けてたりして・・・」
「まさか・・・、いくらなんでもそれはありませんよ。」
「そいつらが隙を見計らって、夜な夜な巨大蜘蛛の姿になって襲ってきたり・・・ほら、ラミエル、あなたの足元にも・・・」
「やだ・・・止めてください、そういうの・・・!もう・・・、居るわけ無いじゃないですか。」
「で、なんで移動してんのよ、アンタは。」
「え・・・あ、その・・・、ちょっと運動をしなきゃと思って・・・」
「完全にビビり入ってるわね。」
「アスカさんはそういうの平気なんですか?」
「虫は好きじゃないけど、アンタほど露骨に怖がったりしないっての。」
「とにかく、妹も見つかった事だしここで一休みしようぜ。」