「それじゃ、続きを始めようか。」
「次の行き先は月だったよな、確か。」
「月か・・・、この世界でもやっぱり月面に都市があるのかしら?」
「あるんじゃねぇの?なんたって月にメタルスレイダーの製造メーカーがあったくらいだからな。」
「妹さん、のんきな事を言ってますね。」
「それにしても月があって何よりですよね。亀仙人さんやピッコロさんに壊されちゃったはずなんですけど。」
「そうですね。神様あたりが直してくれたんですよ、きっと。
それにほら、ウサギさんは居なくても、もしかしたら兎団の人達なら居るかもしれませんよ?」
「いい加減、ドラゴンボールから離れなさいよ!どんだけそのネタで引っ張るつもりなのよ、アンタらは!」
「のんきな事言ってるのは妹だけじゃないわよ〜。」
「バニーガールがラインダンス・・・うわ、サキエルってそういう趣味してたの?最悪・・・」
「俺じゃねぇっつってるだろうが!そんな趣味は無ぇ!」
「そうですよ。それは、いくらなんでもサキエルさんに対して失礼だと思います。」
「なによ。別にマジレスしなくても良いじゃない。」
「まさか、ラミエルがフォローしてくれるなんて思わなかったが・・・」
「だって、サキエルさんはネコミミ派ですもんね♪」
「違う!」
「移動中にこれまで分かった事を再確認してるわね。」
「そうだな。これまでに分かった事は
あのメタルスレイダーの名前がGLORYだって事とパイロットが主人公の親父さんだったって事、
そして、製造メーカーが月にあったI.S.D.Cだって事・・・くらいか。」
「ロボットについては随分色々な事が分かってきましたね。」
「でもよ、8年前の戦争についてはさっぱり分かってこないよな。
もっとも、居住区の主任が公表できる全てとか何とか言ってたから、情報統制くらいされてんのかもしれねぇけど。」
「そう見るのが自然ですね。」
「後は・・・例のV-MHって記号の事だが、どうも設計者の名前の頭はVらしいんだ。」
「はい?」
「さっき、メカニックの兄ちゃんに聞いたときに、そういう記号の頭はメーカーか設計者の頭文字って言ってたろ?
で、製造メーカーの名前はI.S.D.C・・・それなのにIじゃないって事は
Vってのが設計者の名前の頭文字ってワケさ。」
「へぇ〜。よく分かりましたね。」
「これ、エリナの受け売りだぞ。俺は知らん。」
「メッセージの真相が分かるのも、もうすぐって感じですね。」
「どーせ、反乱軍の残党が政府軍の秘密兵器を奪ったとかなんとかでしょ〜?」
「そうそう。あるいは政府軍が何か悪い事してるとかね。」
「悪い事って・・・なによ、そのアバウト過ぎな話は。」
「それはともかく・・・皆さん、これから行く予定の月の起源についてはご存知ですか?」
「何よ、いきなり。」
「月がどの様に生まれたか・・・という話ですよ。
地球と一緒に生まれたとする兄弟説や双子説、他の場所で作られたものを捕獲したとする捕獲説や他人説、
地球から分離したとする親子説とかもありましたけど、どれも決定的なものではありませんでした。」
「別にどうでも良いんじゃないの?興味無いし。」
「そんな中、新たに知られる様になったのが巨大衝突説で
火星ほどの大きさの天体が太古の地球に衝突、その破片が回転の影響で集積し・・・比較的短期間で月になったというものです。
もっとも、これもまだ確定では無いようなんですけどね。」
「で、なんでお前はそんな実にもならねぇ様な事を話してんだ?」
「ほら、なんかのガイドさんみたいでしょ?皆様、右手をご覧下さいみたいな感じで♪」
「知らんわよ・・・。」
「地球と月の距離はおよそ38万km、赤道付近の直径が3474km・・・地球の約3分の1から4分の1ってところですね。
意外に思われるかもしれませんが、月は太陽系にある衛星の中ではかなり大きな部類に入る星なんです。
地球の大きさと比較した場合、月はかなり大きな衛星と言えるんですよ。
ちなみに英語ではMoon、ラテン語でLunaと呼ばれています。」
「誰も聞いてないから。いい加減に止めなさいよ。」
「あんまり関係ないけど、メカニックにいた緑の髪したポニーテールの人は覚えてる?」
「それがどしたの?」
「あの人の名前、ルナって言うんだよ。サキエルが名前聞かなかったから出てこなかったけど。」
「え?それじゃ・・・
ルナさんに強化人間の妹とかがいたりしたら、その人の名前はルナツーになっちゃうじゃないですか。
大問題ですよ、それ。連邦軍の基地の名前とかぶりまくりじゃないですか。」
「アンタの頭が大問題だっての。ガンダムネタから離れなさいっつってるでしょ。」
「それはさておき、こういう星の話って宇宙の神秘って感じで面白いと思いませんか?
木星とか土星も良いですけど、天王星とか海王星とか冥王星とか・・・星の中がどんな風になってるのかとか興味は尽きませんもん。」
「はいはい。アンタは勝手に星の事でも考えて現実逃避してなさい。」
「別に現実逃避してるわけじゃ・・・」
「割と早く着けるもんなんだな。月と地球って結構離れてるだろ?」
「約38万kmですよ。」
「そういう誰でも知ってるような知識はどうでもいいから。」
「ま、そういう世界だからさ。あんまり気にしない方が良いよ。」
「今は夜みたいですね。」
「月の公転周期と自転周期は27日ちょっと。つまり、月では地球みたいに昼夜合わせて24時間な周期とは違うわけです。」
「聞いてないわよ。」
「さて、それじゃインフォメイションってとこへ行ってみるか。」
「インフォメイション?」
「選択肢の中にそう出てるからな。ま、案内所みたいなモンでもあるんだろ。」
「今度は可愛い感じの女の人ですね。どことなく伊吹さんに似てません?」
「髪が短いってだけでしょうが。アンタの判断基準は髪型だけかい。」
「さて、GLORYの設計者について聞いてみるか。」
「サキエルさん、またですか?」
「またって何だよ?」
「無関心にも程がありますよ。ちょっとくらい女の子に興味を持ったっていいじゃないですか。」
「全然興味が無いわけじゃねぇよ。趣味が違うから興味無ぇってだけだ。」
「あ、そうなんですか?」
「もしかして、サキエルってナース限定とかじゃないと駄目とか?」
「やだぁ〜。」
「違う!」
「ありゃ?」
「どうしたんです?」
「設計者が分かるまで時間がいるんだってよ。どっかで時間潰してこなきゃならねぇみてーなんだが。」
「時間潰すって・・・休むとか?」
「いや、さすがに腹が減ってきたからどっかで食事しようって話になってな。
このインフォメイションの近くにレストランがあるらしいからそこへ行こうって。」
「ふ〜ん・・・。」
「近くにあって助かったな。」
「ここって本当にレストランなんですか?私にはそうは見えないんですけど。」
「は?なにワケわかんない事にいちゃもんつけんてんのよ。」
「だってお店の入り口に老人の人形が置いてあるじゃないですか。どうみてもフライドチキンのお店ですよ。」
「入り口に人形があるだけで、フライドチキンの店とは限らんでしょうに。第一、店の名前が違うでしょうが。」
「名前って、このお店の名前は・・・え〜と・・・え〜・・・」
「ヴィヴェイスって読むんだと。エリナがそう言ってたぜ。」
「あ、そうなんですか。」
「さ、入るぞ。」
「ちょ・・・ちょっと待って下さい。
そんなにすんなりお店に入られちゃったらさっきのやり取りがパーになっちゃうじゃないですか。まだ話が終わってないのに・・・」
「別に問題無いだろ。なぁ?」
「まぁね。」
「(´・ω・`)ショボーン」
「もう、食事は終わっちゃったの?」
「そうだな。」
「後は適当にその辺見てれば話は進むようになるから。」
「それは良いんだけどよ・・・。ウェイトレスも見なきゃ駄目なのか?」
「そうだよ。」
「なんで俺がそんな事・・・」
「ほら、メイド服みたいなモンだと思えば。身近にもそういうカッコしてる人が居るわけだしさ。」
「へ?それって私の事ですか?」
「こいつと一緒にするなよ。あのウェイトレスさんに失礼だろ。」
「(´・ω・`)ショボーン」
「一通り見るを選ぶと店から出られるようになるんですね。」
「よし、インフォメイションに行ってみようぜ。」
「設計者の名前が分かったぞ。ヴィヴァーチェって名前らしいぜ。」
「良かったじゃないですか。これであのメッセージの意味も分かりますね。」
「で、どこに行けばその人に会えるわけ?」
「それが・・・、行方不明なんだと。I.S.D.Cが分散した時点からの記録が無いって言われちまってさ。」
「また記録無しなんて・・・この世界の情報管理ってどうなってるんですか。」
「俺に言われても困るぞ。それにヴィヴァーチェは設計者っつったって個人なんだから情報が途切れてても不思議は無いだろ。」
「で、どうすんの?」
「どうするもこうするも・・・ヴィヴァーチェって名前を頼りに探すしかないだろ。
とりあえず、貨物船のコクピットに戻ってきてるんだが・・・月の他にもターミナルステーションと居住区にも行ける様になってるみたいでな。」
「それはもう、そういうところへ行けという事でしょうね。」
「そう・・・だな。とりあえず居住区へ行ってみるか。」
「やっぱり、8年前の戦争の事がさっぱりってのが引っかかるな。」
「戦争とかってそんな簡単に秘匿できるものなんですかね。報道機関とかすぐに飛びつきそうですけど。」
「よく分かんないけど・・・宇宙だからじゃないの?地球とかみたいに身体一つで取材に行くとかは出来なさそうだし。」
「あ・・・なるほど。」
「とにかく、情報統制しなきゃならんほどの戦争だったって事だろうな。」
・
・
・
「なんですか、これ?」
「居住区の中央に来てみたんだが・・・誰もいないみたいだよな。」
「そうね。」
「無用心極まりないですね。泥棒とかが来たらどうするんでしょうか。」
「さぁ・・・、単に席を外してるだけかもしれねぇけど。試しに呼んでみたんだけど誰も来ないんだよな。」
「じゃあ、誰も居ないって事で他に行きましょ。」
「そうですね。ところでここではシルキーヌさんと受付の小夜子さん以外にも
エリナさんとあずささんを呼ぶ事が出来るんですね。」
「ああ。でも何なんだ?この無駄な選択肢。」
「その無駄が楽しいんですよ。試しにエリナさんの事でも呼んでみてはどうです?」
「近くに居るのに何の意味があるんだよ。ほら、さっさと船に戻るぞ。」
「むぅ・・・。」
「あのメッセージって主人公の親父さんが残したものなんだろうが・・・
本当に・・・何なんだろうな、あのメッセージ。」
「創造主を探せ。地球は危機に瀕している・・・でしたよね。
額面通りに受け取れば・・・地球に危機が瀕している・・・ですから・・・・・・う〜ん・・・・・・・・・」
「お前、もう何も考えなくていいぞ。」
「あれ?でも主人公の父親って8年前に死んでるんでしょ?
・・・て、事はその時から地球が危機に瀕してたって事・・・?」
「あ・・・、という事はジオン軍の残党って線は無くなりそうですね。」
「そんな線、最初から無ぇよ。第一、なんでジオン軍になってんだよ。」
「エヘへ・・・」
「無意味に笑うな。」
・
・
・
「おい。」
「どしたの?」
「俺らはヴィヴァーチェってのを探してるんだよな。」
「そうだよ。」
「じゃあ、何なんだ?この3番目の選択肢は。」
「今夜の予定を聞くって事は・・・」
「意外〜。サキエルってナンパ師だったの〜?」
「俺じゃ無ぇ!ったく、さっさとヴィヴァーチェの事を聞くぞ。」
「この人、何も知らないっぽいですね。」
「じゃあ、帰るぞ。」
「今夜の予定は聞いていかないんですか?」
「聞くわけねぇだろ。」
「あれ?メカニックにも来てみたんですか?」
「・・・一応な。」
「シンさんは不在な上に当分戻って来ないみたいですね。」
「ルナさんもヴィヴァーチェさんについては知らないみたいですし・・・帰りましょうか。」
「そうだな。一旦、月に戻るとするか。」
「やだ〜、サキエルっていつもエッチな事ばかり考えてるの〜?」
「だってムッツリだもの、仕方ないわよ。」
「誰がだ!勝手に話を作るんじゃねぇ!」
「で、何の話の途中なワケ?」
「エリナが肩こったっつったら妹が胸が大きいせいだからとか何とか言い出してな・・・。
それで妹がそんな事を言うのは主人公の日頃の言動が原因だってワケだ。」
「けっこう色々な雑談してんのね。普通の移動中でしょ?それ。」
「そういえばそうだな。いつも同じ話ってワケでも無さそうだし・・・何パターンかあんのかな?」
「月に着いたは良いが・・・インフォメイションくらいしか行くトコ無いな。」
「前に行ったところですよね。」
「でも、とりあえず行ってみるしかないと思いますよ。他に行くアテなんか無いわけですし。」
「それもそうだな。」
「案の定、収穫は無し・・・か。
ヴィヴァーチェに関してもI.S.D.Cに関しても前回の事以上の話は無ぇってさ。」
「本格的に詰まっちゃいましたね。」
「そうね。他にどこか行ってないところがあるわけでも無いし・・・」
「仕方ない。とりあえず船に・・・あれ?」
「いつの間にか、レストランに行けるようになってるな。」
「でも、さっき食事したばかりでしょ?」
「でも、行ってみた方が良いだろ。せっかく行き先が増えたんだからよ。それにレストランで休むってのも手だろうし。」
「つまりレストランで暇潰しってワケね。」
「ま、そんなトコか。」
「楽しいですよね。レストランで暇潰し。ドリンクバーとかがあると尚良しです♪」
「あのレストラン、多分ファミレスじゃねぇからドリンクバーは無いんじゃないか。」
「なぁ、ちょっといいか?」
「なに?」
「4番目の選択肢ってなんだ?」
「さっきの話の続き。」
「なにそれ?」
「せっかくレストランに入ったワケだから、何か注文するかって話しになったんだが
エリナは飲み物くらいで他には何も要らないって言ってたのさ。なんか、ダイエット中らしいんだが。
で、体重がどうこうって話しになってよ・・・」
「4はその話題にさらに突っ込む選択肢だね。」
「なにそれ、セクハラじゃない。」
「サイッテ〜!」
「俺じゃ無い。このゲームの主人公だっての。」
「それは選んでも選ばなくても良いやつなんだけど・・・」
「何の意味も無いってんなら選ばなくても良いよな。除外だ、除外。」
・
・
・
「今度は何?」
「この店の名前の話だ。ヴィヴェイスじゃなくヴィヴァーチェとも読めるんだと。
もしかしたら、今探しているヴィヴァーチェってのと関係があるのかも・・・って話になってな。」
「まさかぁ〜、これで関係があったらご都合主義も良いところじゃない。」
「でも、そういう程よいご都合主義も物語を円滑に進める大事な要素の一つですよ。」
「ま、とりあえず店員を呼んで聞いてみようって事になってんだが・・・」
「呼んでもこないんだよな。」
「そだね。これ、画面にウェイトレスさんが出てる時に呼ばないと意味無いから。」
「そうなのか?」
「このお店にはピンポーンて鳴るボタンとかって無いんですかね。」
「だからここはファミレスとは違うって言ってるだろ。」
「あ、サキエルさん。ウェイトレスさんが来ましたよ。」
「え?あ・・・ちょっと待て。え〜と・・・」
「む・・・」
「なにやってんのよ。店員くらいビシッと呼びなさいよ。」
「タイミングが遅れたんだからしゃーねぇだろ。」
「すみません。私のせいですよね。」
「なんでお前はそこで落ち込むんだ?また来た時に呼べば良いだけだろ。」
「ほら、これで問題無ぇだろ。」
「エリナさんは呆れてるみたいですけど。」
「ミスったもんは仕方ないさ。んな事より聞く事聞いてみようぜ。」
「今度は可愛い女の子ですね。」
「そうだな。で、聞けるのはこの店の事とGLORYの事・・・か。」
「サキエルさんって、こういう娘も好みじゃないんですか?」
「なんでお前は女のキャラが出てくるたびにそういう事を聞くんだ?お前には関係無ぇし、どうでも良い事だろ。」
「それは・・・そうですけど・・・・・・なんでなんでしょう?自分でもよく分かりません。」
「この店の名前はやっぱりヴィヴァーチェって言うらしいぜ。」
「でも、そういう名前ってそんなに珍しくはないでしょ?」
「だから、これからGLORYについて聞いてみようって話になるんだろ。本当に関係なかったら知らないだろうし。
どうせ、今のところ手がかりゼロなんだから駄目もとで聞いてみるしかないぜ。」
「この店員さんも知らないみたいですけど・・・」
「そうか?なんか、動揺してる様にも見えるが・・・もう少ししつこく聞いてみるか。」
「ウェイトレスさんの名前は聞かないんですか?」
「今はそういう状況じゃ無ぇだろ。」
「あれ?急に音楽が変わっちまったな。」
「ウェイトレスさんの表情も険しくなっちゃいましたけど・・・どうしたんでしょうか?」
「なんでまた?」
「いきなり店員に名前を聞かれてさ。主人公が名前名乗ったらこうなっちまった。」
「ちょっと待ってって・・・何してるの?この娘。」
「手の動きから察するに・・・何か書いてるみたいですね。」
「これを!って言われても・・・なんだ?」
「そうこうしてる間に店から追い出されちゃいましたし・・・なんだったんでしょうか?」
「さぁな。とりあえず自動的に貨物船のコクピットに移動しちまったみたいだ。」
「なんですか?これ。」
「さっきの店員から渡された紙だな。さっき書いてたやつだろ。」
「地図か何かですかね?」
「ああ、そうみたいだ。C−35ってのはこの前行った35区居住区の事らしい。」
「下に書いてあるのは何?」
「如月やよい・・・だと。あの店員の名前じゃないかって話だけどな。」
「こんな事ならきちんと名前聞いておいた方が良かったですね。」
「そうか?」
「そうです。何がヒントになるか分からないんですから。これからはきちんと聞いていきましょうね。」
「まぁ・・・良いけどよ。」
「じゃあ、これから居住区へ移動ね。」
「その前に、ここで休憩させてもらって良いか。丁度休めるみたいだしそろそろ頃合いだろ。」
「それもそうだね。じゃ、今回はここまでにしておこうか。パスワードきちんと覚えておいてね。」