「さて、続きを始めよっか。」
「前はどこまで進んでたんだっけ?」
「サルモネラ一家を倒したところまでだね。賞金をゲットして一応の準備を整えたところかな。」
「自宅で休んで体力も回復。よかったですね、お兄ちゃん♪」
「何が良いんだ?つーか、お兄ちゃんは止めろ。」
「とにかく、チャッチャと進めるよ。とりあえず、この前の分かれ道を上に進むとここにたどり着くんだ。」
「何かの建物があるみたいですけど・・・」
「そういう時は迷わず突入!」
「と、突入って・・・?中に何があるかも分からないのに・・・」
「そういうものなの。何かを見つけたらとりあえず入ってみる。RPGの基本だよ?」
「お兄ちゃんって猪突猛進だったんですね。ちょっと意外です。」
「だから、それは俺じゃなくて・・・・・
いや、まて。俺もどっちかと言えば猪突猛進だったか?
確かに第3新東京市を攻めた時は単独だったし・・・しかし、あれ以外に方法が・・・・・?
・・・分からん、何でもない。」
「何を1人でブツブツ言ってるのやら。」
「きっと、故郷のお姉ちゃんの事でも考えているんですよ。」
「だからそれは俺じゃない!」
「俺、故郷にお姉ちゃんが待ってるんだ・・・。」
「それは死亡フラグじゃないような・・・」
「とにかく、中に入ってみますね。え〜と・・・ここは関所ってところみたいです。
何か質問されちゃいましたけど・・・」
先に行かなきゃ話が進みません。
「ここは当然はいですよね?」
「そだね。いいえなんて選んだ事が無いから分からないけど・・・」
「あら?あたしだったら迷わずいいえを選ぶわよ〜?」
「そうよねぇ。やっぱり人とは違う事をやってみたいと思うのが人情だもの。」
「アンタらに人情とかがあるんかい・・・。」
「前やったRPGなんか、いきなり選択肢が出てきたもんからずっといいえを選んでやったら、
いきなりゲームオーバーになっちゃったわよ。ホ〜ッホッホッホ!」
「それは笑って話す事なんでしょうか・・・。」
「サハクィエルさん、それ―――」
「猛禽類の事は口にするんじゃないわよ?」
「いえ・・・、てっきりブルー将軍の真似かと思って・・・」
「違うわよ!なんでオカマのマネなんかしなくちゃなんないのよ!」
「でも、よかった。これで次の街とかに行くことが出来るんですね。」
「そうだね。ここからが本当の出発とも言えるかな。」
「ところで・・・」
「なによ?」
「いつまでも一人旅っていうのはちょっと寂しいかな・・・なんて。
RPGでお約束の仲間の方々はいつ出てくるのかな・・・とか思ったもので。」
「それも次の街についてからの話だね。今はとりあえず東に向かえばオッケーかな。」
とりあえず東へ行きましょう。
「ふ〜ん、東に街があるんですか・・・。」
「それに、何か仲間が増えそうな伏線も出てきたみたいだしね。」
これで先に進めます。
「あ、柵が無くなっちゃってますね。」
「うん。これでやっと外の世界に出て行けるって感じかな。
戦車を集めたり仲間と出合ったり・・・ようやくRPGとしての本領発揮だね。」
「ちょっとワクワクしてきますね。」
「なんかしらねぇけどオラ、すっごくワクテカしてきたぞ。」
「あの・・・、そのネタ、前に私が使った気がします。」
「そ・・・そうですか。」
「ラミエル!ネタ、使いすぎよ!」
「そ〜よそ〜よ!完全に枯渇しちゃってるじゃない!」
「それ、ゼルエルのフォローになってないから・・・」
森の中に小屋らしきものが・・・
「あ・・・、あんなところに小屋・・・でしょうか?」
「うん。民家だったりお店だったり村だったり。とにかく、そんなに大きな街じゃないってのは確かだね。」
「え〜と・・・、戦車で入るのは無理みたいですね。降りて入ってみましょう。」
寂れてます。
「うわ・・・、なんかものすごく寂しい感じの村ですね。」
「とりあえず、RPGの基本。情報収集だね。どんな良い情報がどこに転がってるか分からないし。」
「了解です。」
・
・
・
「これといってめぼしい情報はありませんでしたね。ただ・・・」
「なんだ?」
「民家・・・だと思うんですけど、病気の人がいて畑がどうとか言ってたのが気になったんですけど・・・」
おとっつぁんが病に伏せってます。
「ラミエル!なにしてんのよ!」
「え・・・え?何がですか?」
「そこに木箱があるでしょ!さっさと回収するのよ〜!」
「それはいくらなんでも・・・、倫理的に問題があると思うのですが。」
「甘いわよ!所詮この世は弱肉強食!強ければ生き、弱ければ死ぬんだから!」
「どこの反政府剣客ですか。」
「私は・・・嫌です。
見るからに生活に困ってそうな・・・それでなくても、人様の財産を奪っていくなんて・・・あからさまに泥棒じゃないですか。
確かに私達は使徒ですけど、犯罪を犯すのは良くないと思います。」
「んまっ!なによ、いい子ちゃんぶっちゃって!
民家のタンスを調べたり宝箱を開けたりなんてRPGじゃ日常茶飯事でしょ!」
「HAHAHA,こんなのロスじゃ日常茶飯事だぜ!」
「どこのロスよ・・・。」
「なんと言われようと嫌なものは嫌です。ゲームの中と言えど無法者になりたくはありません。」
「無法者って・・・、その発言、ほとんどのRPGの主人公を敵に回してる様な・・・」
「汚物は消毒だぁぁぁぁ〜!」
「アンタも北斗ネタに走るのかよ・・・。」
「ま、そのあたりは好きなようにしちゃえば良いと思うけど・・・、ラミエルさ、畑がどうとか言ってたよね?」
「そう・・・ですけど?」
「ほら、村の入り口に畑みたいなのがあったでしょ?それを調べてみたらどうかな?」
「ええ〜、めんどくさくな〜い?」
「そんなの時間の無駄よ。
そもそも、いつまでこんな村にいるつもり?先に進むなり何なりしなさいって。」
「う〜ん。でも、何かしらあるかもしれませんし・・・、ちょっとだけやってみます。」
「畑を耕すと水捌けが良くなるみたいですね。」
「これも、モンスターハンターの仕事なんですか?」
「これではモンスターハンターと言うより農家になってしまいますが。」
「あれ・・・?」
「どした?」
「畑の中から結婚指輪というのが出てきたんですけど・・・」
「結婚指輪!?だ、誰から貰ったんですか?」
「誰からって言うか、畑の中なんですけど・・・それに拾ったのはお兄ちゃんですし。」
「サキエルさんが拾った結婚指輪がラミエルさんの手に・・・おのれ、間男!」
「どういう話の繋がり方してんのよ。少しは落ち着きなさいって。」
「そうだよ。それにゲームの話だし。」
「そ、そうですね・・・、すみません。少し取り乱しました・・・。」
「ところで・・・どうしましょうか、この指輪。」
「やっぱり、持ち主に返してあげるのが無難じゃないかな。」
「持ち主って言うと・・・さっきの民家の人でしょうね。ちょっと話しかけてみましょう。」
「エヘへ・・・、やっぱりお礼を言われると気持ちが良いですね。」
「なによ、偽善者ぶっちゃって。」
「それ、なんか日本語がおかしいわよ・・・。」
「え〜と、何か貰えましたね。ルビーのレンズ・・・?」
「今は持っててもあんまり意味無いんだけど・・・ま、とりあえず良しとしといて。」
「はい。」
「この村でやる事はそれくらいかな。後は転送装置で故郷に移動しておいた方がいいかもしれないけど。」
「転送装置とは?」
「けっこう大きい街とかにある施設で、街から街へ一瞬で移動できる便利な施設なんだ。」
「でも、どうして故郷に帰らなきゃならないんですか?」
「ほら、ホームシックってやつですよ。故郷のお姉ちゃんが恋しくなっちゃったから♪」
「うわ・・・」
「キモいわね・・・」
「ラミエル!勝手に話を作るな!」
「ん〜と・・・、まぁ、今すぐじゃなくても大丈夫だから帰るのは後でも良いかもね。
でも、今の状況で全滅したらめんどくさい事になるから早めにやっておいた方が良いってのは確かなんだけど。」
「分かりました。でも、今はとりあえず先に進む事にします。
ところで、さっきの関所で聞いた仲間がどうとかっていう話は一体・・・」
「それ、この村の話じゃないから。
ここはネギって言う名前の村で、関所で聞いた街はポブレ・オプレっていうところでまだずっと先なんだ。」
「あ、そうなんですか?さっきからなんか話が違うな〜とは思ってたんですけど・・・」
「アンタって、人の話をちゃんと聞かないタイプよね。」
「え・・・え?そんな褒めないでください。」
「褒めてないわい。」
「とにかく村から出ましょうか。」
「アンタ、どこへ行く気よ?東へ行くんじゃないの?」
「南にも道が続いているみたいなので、ちょっと行ってみようかと・・・」
「行った先に何も無かったらとかは考えないんですか?無駄以外の何物でもないですよ。」
「そう言うなよ。その無駄が楽しいんじゃないか。」
「それ、俺がさっき言った・・・。」
「ほら、ちゃんと何かの建物がありますよ?」
「でも、どう見ても行き止まりですが。」
「良いじゃないですか。この道を進むと行き止まりだって事が分かって♪」
「アンタ、さっきと言ってることが違うわよ。」
「え?なにがですか?」
「猿を倒す前は行き止まりだと無駄がどうとか言ってたくせに、今は率先して本筋から脱線させまくってるじゃない。」
「だって、あの時は副砲が無かったから・・・
お猿さんとの戦闘が控えてるのに主砲の残弾がなくなっちゃったら一大事でしょう?」
「つまり、主砲弾を節約したかったって事か?」
「そうですよ。チハたんの主砲は切り札ですもん。
いざという時のために万全の態勢を保っておかないと不安なんです。」
「そっか・・・、一応一理あるかな。」
「・・・そうかしら?
なんか、ひし形ってボムが大量に残ってるのに使わないで死ぬタイプに思えるんだけど・・・」
「え?どうして分かるんですか?」
「図星なのかよ・・・。」
「だって勿体無いじゃないですか。そういうのって、ここぞという時のためにとっておかないと♪」
「それで死んでちゃ世話がありませんよ。」
「さ、どうでもいい話はおいといて、建物の中に入りましょう。」
「ここは・・・、なんかのお店みたいですね。」
「酒場と宿屋だね。」
「ふ〜ん・・・、こういう人里離れたところにあるお店って雰囲気が良いですよね。」
「は?」
「ほら、よくある映画とかでもあるじゃないですか。旅の途中とか逃亡中にガソリンスタンドとかの小さいお店に寄って一休み・・・って。
そこからストーリーが始まっていくのってパターンでしょう?」
「え〜と・・・、ここはストーリーとは関係無いんだけど・・・。」
「え?それじゃ誰か悪い人が追いかけてきたりとかは・・・?」
「ないよ。」
「誰が追いかけてくんのよ。脈絡無さすぎでしょうが。」
「じゃあ、誰かをヒッチハイクしてそこから話が広がるとか・・・?」
「それもないね。ここは単なるお店だし。」
「そもそも、戦車でヒッチハイクとはどういうつもりですか。」
「そうよ。アンタ映画の見すぎ。」
「(´・ω・`)ショボーン」
「なぁ、ずっと気になってったんだけどよ。店の隅にある赤い四角いのって何だ?」
「それは自動販売機だよ。ちょっとした道具ならそこで買う事も出来るのさ。」
「自動販売機・・・。ますますRPGらしからぬものが出てきたわね。」
「まぁ、戦車が出てる時点で普通のRPGからは離れちゃってますけどね。」
売っているものは自販機によって違います。
「これは人間用のアイテムの自販機だね。」
「同じ回復カプセルでも一個だけじゃなくていくつかまとめて買う事も出来るからわりと便利なんだ。」
「へぇ〜。」
「今回は( ・∀・)つ〃∩ ヘェーヘェーヘェーってやらないのね。」
「あ、そういえばそうですね。素で返事しちゃってました。」
「んで、真ん中のヘンなのはなんだ?」
「それはルーレットだよ。商品を買った時に勝手に回って中央に止まったら大当たり。景品が貰えるの。」
「え?景品!」
「ラミエル!ほら、何か買いなさいよ!」
「でも・・・、今はこれといって欲しいものはありませんし・・・無駄遣いは良くないと思いますよ。」
「なによ、ケチ!」
「ま、ここでやる事って特に無いから別の場所へ移動しちゃってもいいかな。」
「はい。ところでここって何なんですか?いかにもって感じで何かありそうなんですけど・・・」
不自然になにかあります。
「気になったら入ってみちゃって。
前にやったアドベンチャーゲームみたいに移動→即死って事は無いからさ。」
「分かりました。」
「トレーダーの秘密のキャンプ・・・?」
「え〜と、街から街へ旅する商人の人達のキャンプだね。
ここは戦車では入れないから、人間用の装備と道具くらいしか買えないんだけどね。」
「で、ここで何か買うのか?」
「一応、見るだけは見ておきましょう。今はこれといって何か買おうってつもりはありませんけど・・・」
「ただのひやかしですか。」
「人聞きの悪い事を言わないで下さい。良さそうなものがあったら買うのもやぶさかでは・・・え?」
「なによ、いきなり。」
「いえ・・・、あの、桁違いの値段の商品があったから・・・」
5桁の大台いっちゃってます。
「なにこれ?」
「ゲーム機かな。これは趣味で買うものだと思うけど。」
「今はどうあがいても手が出ませんね。
他にはこれといって目に付くような物もありませんし・・・そろそろ出発しましょうか。」
「ここから次の街へ行くには北のネギの村の方に戻ってから東へ移動だね。
後は道なき道・・・砂地が道みたいになってるからそれを辿っていけば、迷うことなく次の街へ着けると思うよ。」
「了解です。」
・
・
・
ようやく次の街に辿り着きました。
「今度は結構大きな街みたいですね。」
「先程のネギという村と違って建物が2つ並んでますからね。」
「下の方にも建物があるみたいだが・・・どうする?」
「お兄ちゃんも長旅で疲れてるでしょうから、街の方に行きましょう。」
「・・・お兄ちゃんは止めろ。」
色々なお店があります。
「ずいぶん大きな街なんですね。」
「そうだね。これから少しの間、ここを拠点に活動する事になると思うよ。」
「あのね。街について早速なんだけど、戦車のパーツが売ってるお店があるんだけどそこに行って欲しいんだ。」
「え?どうしてですか?」
「着いたら教えるから、とりあえず行っちゃって。そのまま進んだ先に戦車のマークが書かれてるお店があるからさ。」
「はい。」
初登場の戦車のパーツ屋です。
「ここが・・・そうなんですか?」
「そ。他のお店と違って戦車でそのまま入れるようになってるから、そのまま入っちゃってだいじょぶだよ。」
「分かりました。」
「で、ここに来た目的って何?」
「あのね。ここにドッグシステムっていう戦車用の道具があるんだけど、それを買っておいて欲しかったんだ。」
「なにそれ?」
「ドッグ・・・犬?」
「ワン!」
「アンタ・・・、本当に寡黙なの・・・?」
「ドッグって・・・多分そっちの意味じゃないと思うんだけど・・・」
「ところでそのアイテムがどうしたんです?」
「あ、そうそう。そのドッグシステムなんだけどね。
戦車に積んでおけば一瞬で一度行った街へ移動できる便利な道具なんだ。
それに、街への移動だけじゃなくてダンジョンからも脱出できるスグレ物なの。」
「某RPGのルーラみたいね。」
「でも、道具なんだから何回か使ったら無くなっちゃうんでしょ?」
「ううん。ドッグシステムは普通の道具と違って何度でも使えるんだ。
これから先、この世界で生きていくにはドッグシステムは必需品なんだよ。」
「ふ〜ん、かなり便利そうね。」
「だから、この街に着いたら真っ先に買って欲しいアイテムなの。」
「ラミエル、聞いてんの?ドッグシステムを買えってさ。」
「え?」
「え?じゃないわよ。肝心な時に何で話を聞いてないのよ。ほら、さっさとドッグシステムを買いなさいよ。」
「え・・・え?何か買わなきゃ駄目なものがあるんですか?」
「本気で人の話、聞いてないわね。説明すんのも面倒だけどドッグシステムっていうアイテムが必要なの。
さっきの賞金もあるんだから、とっとと買いなさいっての。」
「で、でも・・・」
残金が96G・・・
「あれ?どーしてお金が無くなっちゃってんの?」
「確か1000G以上はあったはずでしょ?」
「・・・初めて買った55ミリ砲540G。」
「は?」
「・・・初めて買った9ミリ機関砲380G。」
「何言ってんだ、お前?」
「・・・ドッグシステムが必要だという事実。」
「プライスレス。」
「お金で買えない価値がある。買えるものは―――」
「何の話してんのよ?つーか、もしかして・・・」
「すでに散財してしまったというオチじゃありませんよね。」
「・・・・・。」
「図星かい。」
「ちょっとぉ!無駄使いがどうとか言って、自分が一番無駄使いしてるじゃない!」
「そ、そんな・・・!戦車が主戦力だから戦車の装備を整える・・・当たり前の話じゃないですか!」
「あ、多分大丈夫だよ。戦車の前の装備が残ってるでしょ?それを売れば少しはお金になるよ。」
「あ、それもそうよね。ナイスアイディアじゃない♪」
「ヘへ〜・・・すごいでしょ?」
「それ、もう売っちゃいました。戦車の装備買うのにお金が足りなかったので・・・」
「ええ〜!」
「シルフェさんのとっさの思いつきが・・・」
「望みが完全に絶たれたな。」
「なんでそういう無意味なトコで抜け目が無いのよ、アンタは!」
「・・・す、すみません。」
「あ、アハハ・・・そういう事もあるかな。ウン、ま、しょ・・・しょーがないよね。
じゃ、とりあえずここで休憩にしよっか。」