「サハクィエル!これで勝負よ!」
「ええ、よくってよ!返り討ちにしてあげるわ!」
「これは?」
「1987年にケムコさんから発売されたアクションゲーム、南国指令!!SPYvsSPYだね。」
「面白いんですか?」
「確かに面白いゲームだとは思いますけど、リアルファイトに派生する可能性も高いゲームなんです。
あの2人を喧嘩させるととんでもない事になるので止めた方が良いと思いますが・・・。」
「たかがゲームでしょう?そんなに心配する必要はありませんよ。
大体、貴方はそういうキャラじゃないでしょうに。」
「はぁ・・・。何事も無ければ良いんですけど。」
「これ、どんなゲームなんだ?」
「マップに隠されているミサイルの部品を集めて島から脱出するのが目的だね。
もっとも、このゲームの肝はそこじゃないんだけど。」
「なにそれ?」
「このゲームって罠を仕掛けて相手を妨害する事がほぼメインなんです。
ですから、自ずとリアルファイトになる可能性を含んでいるんです。もちろん、プレイヤーの性格にもよりますが・・・」
「あの2人じゃ・・・な。」
「いいこと?マップはこれにするわよ?」
「ええ!」
(白) vs
(黒)
今回は一番小さいマップです。
「一番狭いところなんですね。」
「それだけ遭遇率も高くなるからね。よく言えば白熱するところなんだ。」
仁義無き戦いの始まり
「見てらっしゃい!この勝負に勝ってゼルエル様のハートを射止めてみせるんだから!」
「さぁ、それはどうかしらね。ホホホ!」
「で、私らはこれを観戦しなきゃならんわけ?」
「ま、別に見たくもねーけどな。」
「うるさいわね!誰も見て欲しいなんて言ってないわよ!」
「そーよ!そーよ!」
「あの・・・、やっぱり止めた方が良いと思います。今のうちに言っておきますが、
あの2人の場合だと結果がどうあれ100%の確率でリアルファイトに突入しますよ?」
「確かに、そんな雰囲気醸し出してるよね。」
「でもさ、2人を止めるって・・・どうやってよ?ひし形の言う事なんか聞かなそうじゃない。」
「それは・・・」
「ほれ、ここは肝心要のゼルエルに止めてもらえば良いんじゃねぇか?」
「私がですか?」
「確かに・・・それもそうですね。
あの2人が争う原因もゼルエルさんですし、この際ですから、ゼルエルさんが自分の気持ちをハッキリ言っちゃえば丸く収まるかもしれません。」
「わ・・・私の気持ちを・・・・・ですか?」
「はい。サハクィエルさんとマトリエルさんのどちらを選ぶのか、それとも他に誰か本命がいるのか。
正直、私も興味が無いわけではありませんし♪」
「私は・・・その・・・」
「ちょっと!無理強いさせてどーすんのよ。
こういうのは本人の気持ちが大事なんだから、興味本位でんな事させんじゃないわよ。」
「あ・・・そうですね。すみません、ゼルエルさん。」
「いえ・・・気にしないで下さい。」
「でも、ゲームも始まっちゃってますから、今さら止めようもないとは思いますが。」
すでに、お互い何かやり始めてます。
「ゲーム開始して1分も経たないうちに何やってんだか・・・」
「白い方のマトリエルさんが何か・・・多分地雷だと思うけど、それを埋めてるみたいだね。
黒い方のサハクィエルさんはナイフを手に入れたのかな?」
「ナイフ?」
「マップのどこかに棒とナイフが隠されていて、それを手に入れると攻撃力が上がるんです。
罠を仕掛けるだけじゃなく、直接戦闘する事もありますから、武器を持っているとその時に有利になるんですよ。」
「オホホホ、ナイフさえあれば戦闘でも怖いもの無し!あなたの命運もここまでね〜!」
「ホホホ、直接戦うだけが戦闘じゃない事を教えてあげてよ!」
「フッ、減らず口を!これから殺しに行ってあげ―――」
島にはデフォで地雷が埋まってます。
「うぎゃあぁぁぁ〜!地雷踏んだ〜!」
「あら、日頃の行いのせいかしら?」
「キィー!悔しい悔しい悔しい!」
「ちなみに、こんな風にトラップに引っかかると手に入れた棒とかナイフは失っちゃうんだ。」
「ふ〜ん・・・。で、無くなっちゃったら消えちゃうとか?」
「ううん。また島のどこかに配置されるんだ。これは武器だけじゃなくてミサイルに関しても同じ事が言えるんだよ。」
ミサイルの大まかな場所は地図で確認出来ます。
「左の青いところにポツンと居る黒いのは何なんですか?」
「それは潜水艦ですね。ミサイルの部品を全て集めた後で向かうのが潜水艦なんです。
潜水艦に近い海岸から海に出ると迎えに来てくれるので、そうなったら勝ちになります。」
「近いところじゃないと駄目なの?」
「潜水艦の居ない海岸から出ても迎えにはきてくれないからね。潜水艦に一番近いところまで移動しなくちゃならないんだ。」
「結構、面倒なんだな。」
黒がすでにミサイルの部品2つまで回収
「オホホ、これであたしの勝ちは決まったようなものね〜♪」
「フフ、それはどうかしらね〜?」
「そういえば、マトリエルはさっきから何やってんだ?」
「はい。おそらく・・・サハクィエルさんを逃がさない為の算段を立て、それを実行しているのでしょう。」
「でもさ、これ上下2分割でやってるけど、なにしてるかって相手に筒抜けじゃないの?」
「それは多分大丈夫だよ。大抵は自分の事に夢中で相手の方はあんまり見ないはずだから。」
遭遇戦
「待ちなさい!逃げるな〜!」
「フン、ナイフを持った相手に勝てるわけないでしょ。三十六計逃げるに如かずよ!」
「ナイフ持ちだとそんなに強いの?」
「そうですね。体力によほどの差がない限り素手でナイフ持ちに勝つのは難しいと思います。」
→
このようにヤシの木に仕掛けるトラップもあります。
「あぁぁぁぁぁぁ〜!!」
「おほほほほ〜♪そんなトラップに引っかかるなんて馬鹿ね〜!」
「く〜!サハクィエル〜ゆるさないわよ!」
「サハクィエルってトラップ仕掛けてたっけ?」
「さぁ・・・、元から設置されてたトラップかもね。」
体力ゲージがゼロになっても一定時間で復活は出来ます。
「あ〜もう!早く復活しなさいよ!時間が無いのよ、時間が〜!」
「もう、アンタの負けは確定♪あたしはナイフも持ってるしミサイルも確保してるもの。後は潜水艦に乗るだけよ〜!」
「フフフ、それはどうかしら?」
どう見ても地雷原です。本当にありがとうございました。
「な!これは!」
「フフフ、かかったわね。すでにこの島の四隅には地雷原を設置しておいたのよ!」
「さっきから、なにしてるのかと思ったら・・・」
「えげつねーな。」
「策士と言いなさい、策士と!」
「クッ!強行突破よ!ジャンプすれば・・・!」
→
2人仲良くトラップにかかりました。
「うぎゃあぁぁぁ〜!地雷踏んだ〜!」
「あれ?どうして私まで?」
「マトリエルさん、さっき木にトラップ仕掛けてましたよね?」
「どーしてそういう事を先に言わないのよ!このグズ!」
「え・・・?私は別にそういう役目ではありませんが・・・?」
「とにかく!ミサイルを探して脱出よ!」
都合よく白の近くにミサイルと潜水艦が。
「ホホホ!私のところにミサイルが置いてあるなんてなんて幸運!潜水艦も近くにいるし私の勝ちは決まったわね!」
「キー、悔しい悔しい悔しい!」
後は脱出するだけですが・・・
「あの・・・、マトリエルさん?さっきの話で地雷が四隅にあるとか・・・」
「うるさいわね!今、良いところなんだから話しかけるんじゃないわよ!」
「ですが、このままでは・・・」
どう見ても地雷原です。本当に(ry
「あぁぁぁぁぁ〜!」
「策士、策におぼれる・・・か。」
「もう、時間切れですしね・・・。」
「なにやってんだか。自業自得じゃない。」
タイムオーバー=ゲームオーバーです。
「・・・・・・・・・・。」
「やれやれ、なんだかんだで引き分けですか。」
「違うわよ!この勝負はあたしの勝ちで決まってたのに、アンタが姑息な事をするから!」
「どこがよ!最後にミサイルを持ってたのは私よ!私の勝ちに決まってるじゃない!」
「何よ!」
「何さ!」
「こうなったら実力行使あるのみね!」
ドーン!
(サハクィエルの攻撃)
「な、なにすんのよ!危ないじゃない!もう許さないわよ!」
ジュゥゥゥ
(マトリエルの攻撃)
「それ本気でしょ!アンタの溶解液はシャレにならないんだから自覚しなさいよ!」
「なんですって〜!アンタの爆撃だって人の事言えないくせに!」
「やめんか人外!こっちまで危ないでしょうが!」
「アスカさん!危ない!」
ジュゥゥゥ
(マトリエルの攻撃のとばっちり)
「・・・・・。」
「・・・間一髪でしたね。」
「まさか、アンタに助けられるとは思わなかったけど・・・」
「おい!安心するにはまだ早いぞ!」
「え?」
ドドドドーン
(サハクイェルの攻撃のとばっちり)
「ATフィールド・・・!」
「ったく、お前はいつも詰めが甘いな。」
「しかし、この程度の攻撃なら私達のATフィールドを破る事は出来ません。一応は安全ですよ。」
「あ、ありがとうございます。サキエルさんにゼルエルさん♪」
「今さら礼なんかいらねぇよ。なぁ?」
「そうですね・・・。」
「そういえば、アンタら使徒だったのよね・・・。すっかり忘れてたわ。」
「皆さん、大丈夫でしたか?」
「こっちは平気だよ。」
「僕も一応使徒ですから。」
「良かった・・・。ノーマッドさんも―――」
「・・・・・。」
「あれ?」
「なに、この布切れ・・・?」
「まさか、それノーマッドさんじゃ・・・!」
ウイィィィン(ドアの開閉音)
「おまたせ〜!すっかり遅くなっちゃった、ごめんね〜♪」
「シルフェさん、おかえり〜。」
「え〜と・・・どなたですか?」
「妖精のシルフェちゃんで〜す!で、みんなは?」
「僕は第11使徒のイロウルです。え〜と、ラミエルさんの友達だと思っていただければ。」
「俺は第3使徒のサキエル。ラミエルのせいで人型にされちまったから本来の姿じゃないんだが。」
「私は第14使徒のゼルエルと申します。」
「よろしく〜♪あのさ、あっちで喧嘩してるのも使徒さんなの?」
「まぁ、そうなんだけど・・・アレは蜘蛛と目玉。気にしなくていいわよ。」
「ふ〜ん。ところで、なんでこんなに大所帯になっちゃってんの?」
「シルフェさんが留守の間、話を進めるわけにもいかなかったので対戦でもしようかと。
でも、人数が足りなかったものですから・・・」
「え〜!あたしだけ仲間ハズレ〜?」
「そういうつもりじゃなかったんだけどね。すぐに帰って来るかと思ってたから。」
「あ、アハハ、ちょっと道具探すのに手間取っちゃって・・・」
「何の話だ?」
「あ〜・・・、まぁ、色々あってね。」
「ところでノーマッドは?早く治してあげないと。」
「それが・・・」
「・・・・・。」
「ああ〜!」
「すみません・・・。ノーマッドさんは帰らぬ人になっちゃいました。」