第二次ソロモン海戦
「あんたらもうるさい!」
「・・・て、ヘンな所で区切らない方が良いですよ。いきなりそんな台詞じゃ、何が何だか分からないじゃないですか。」
「うるさいっつってるでしょ!」
「とりあえず、説明を次に進めたいと思うのですが・・・よろしいですか?」
「ん〜、い〜んじゃない?」
「では・・・、次は第一次ソロモン海戦から1ヵ月も経たない8月下旬に起きた海戦の話です。」
「それが第二次ソロモン海戦というわけだな?」
「はい。」
「第一次の次が第二次って、随分安易なネーミングね。」
「・・・第一次ソロモン海戦にて圧倒的勝利を収めた帝国海軍ですが、軍令部はアメリカ軍の意図を掴みかねていました。
・・・日本側は当初、アメリカ軍のガダルカナル島侵攻は威力偵察ではないかと考えていたそうです。」
「威力偵察ってな〜に?」
「・・・重武装の偵察部隊を進入させ、反撃(攻撃)を受けても敵陣地の情報を得るという強行的な偵察方法の事です。」
「ふ〜ん・・・。」
「でも、実際は違ったんでしょ?」
「そうですね。第一次ソロモン海戦後もアメリカ軍がガ島に残った状況から
日本側も、アメリカ軍の目的はガ島の偵察では無く確保であるという結論に至りました。
・・・また、敵の戦力についても見誤っていた様で、予想としては一個大隊程度だったのですが
実際アメリカ軍は一個師団を上陸させていたのです。」
「エヘへ・・・。」
「綾波さん、も少し分かりやすくお願いしまつ。」
「?」
「師団と大隊の違いが分からない・・・プルさんはこう言ってるんです。」
「うんうん。」
「・・・お前、プルの考えている事が分かるのか?」
「以心伝心ってヤツだろ。」
「・・・・・。」
「どしたの?」
「え、うん。心が通じ合ってるって何かいいなと思って・・・」
「ヒカリ、あんた・・・」
「部隊編成の単位には、方面隊(数万人)、師団(6000−9000人)、連隊(1000−1200人)、大隊(500人)があります。
これは陸上自衛隊の話ですが参考までに・・・。部隊人数は国によって差があると思いますが
とりあえず師団>大隊と考えていただければ差し支えは無いと思います。」
「陸上自衛隊って・・・何でアメリカ軍の情報を出さないのよ?」
「資料が見つからなかったので・・・」
「あんた、そればっかね。」
「・・・気になる人は各々調べていただければいいだけの話です。
今話しているのはあくまで予備知識なのですから・・・あまり重要な内容ではありません。」
「重要じゃないって、をい・・・」
「日本軍はガ島を奪回するため、グアムに待機中だった
一木清直陸軍大佐率いる一木支隊約2400名と横須賀特別陸戦隊の614名を派遣する事にしました。」
「ところでガ島って何なんです?」
「ジオン公国の誇るエースパイロット、ソロモンの悪夢ことアナベル=ガトー少佐だ。さっき話にも出ていたろう?」
「言うと思った。その程度のボケじゃまだまだだね〜。」
「な!誰がボケだ、誰が!」
「┐(´ー`)┌」
「貴様ぁ!そのやれやれといった態度は何だ!」
「だぁって〜。」
「ね〜。」
「ぐぬぬぬ・・・」
「第一、なんでその名前が出てくんのよ。」
「その娘がガトーと言うからだ。その名が現すのはソロモンの悪夢以外にあるまい?」
「ガトーじゃなくてガ島。要はガダルカナル島の略、それ以上の何でもないわよ。」
「確かに、当時ラバウルに進出していた台南航空隊には
ソロモンの悪夢の異名をとる西澤廣義一等飛行兵曹がいましたが・・・」
「確かにじゃないわよ。あんたねぇ・・・何食わぬ顔して、いい加減な説明すんじゃないわよ。」
「・・・西澤一等飛行兵曹という帝国海軍の誇るエースパイロットが居たのは事実です。何かいけませんか?」
「いけませんか?じゃないわよ!話に脈絡がないでしょ脈絡が!
大体、ソロモンの悪夢なんて言われてたワケ無いでしょ!」
「ま、そりゃそーだろうが・・・。」
「では、話を戻します。第一次ソロモン海戦から約10日後の8月18日
一木支隊の先遣隊916名がガダルカナル島のタイポ岬に上陸しました。
将兵を足の速い駆逐艦に乗せ、急ぎで上陸させたため900人そこそこが限界だったのです。
作戦に少しでも確実性を持たせるのなら、先遣隊だけでなく後続隊の到着を待ってから攻撃するべきでした。」
「攻撃するべきだったって・・・何で過去形なの?」
「一木支隊の指揮官一木大佐は先遣隊だけでの攻撃を実行したのです。
もっとも、これは第17軍の意向でもあったようですが・・・」
「ちょっと待った!」
「どした?」
「上陸したアメリカ軍って10000人はいたんでしょ?たった900人で攻撃なんて何考えてんのよ!」
「・・・一木大佐は上陸前、ガ島のアメリカ兵は2000人程度だと説明を受けていたそうです。
一木大佐は、歩兵学校の教官を永年勤めた実戦指揮に長けた武人・・・。
元々、ミッドウェー攻略に投入される予定だった部隊ですから、一木支隊は精鋭部隊と言っても過言ではありません。」
「そうなんですか?」
「一木支隊将兵達は、輸送にあたった海軍関係者が称賛するほど動作溌剌・軍紀厳正だったそうです。
陸軍の伝統的「白兵夜襲」をもってすれば、ガ島奪還など簡単なものと信じていた・・・との事です。」
「白兵・・・という事は接近戦だろう?夜襲は奇襲の上等策とは言え、10000の兵相手では無謀ではないか?」
「・・・敵兵力を見誤っていた事が根本的な誤りでした。
夜襲を決行した一木支隊はイル川河口でアメリカ軍の猛攻を受け壊滅してしまったのです。」
「・・・言わんこっちゃない。何やってんのよ。」
「・・・敵の情報が少ない状況で攻撃した結果です。事前の情報収集に不手際はありました。
ですが、一木支隊を無謀だと一蹴するのは筋違いと言うものです。
彼らはアメリカ兵が2000名という情報で戦いに赴いたのですから。
敵兵が10000人もいると知っていたら、先遣隊だけで夜襲なんて戦術は執らなかったでしょうね。
8月25日、第17軍司令部で一木支隊の惨敗が確認されました。
アメリカ軍に対する日本軍の反抗作戦があっけなく終わってしまい、日本陸海軍首脳部は相当なショックを受けたそうです。」
「んなの自業自得でしょ。そもそも、アメリカを過小評価してるからそんな事になんのよ。」
「ほほ〜、なるほどぉ〜。」
「何よ?」
「アスカさん、やたらと綾波さんに突っかかると思ったら・・・
アメリカ軍がボコボコにされているのが気に入らなかったんですね?」
「そんなんじゃないって。」
「フフ、照れちゃって・・・か〜わいい(はぁと)」
「うっさい!気色悪い事言うんじゃ無いわよ!」
「第17軍司令部も一木支隊だけでの飛行場奪回が、必ず成功するとは考えていなかったそうです。
それに日本の目的は飛行場の奪回だけではなく、先に奪取されたツラギ等の奪回も考慮していました。」
「ツラギって?」
「以前に説明したはずですが・・・」
「聞いてなかったんだからしょうがないでしょ。」
「・・・すまんな。私もだ。」
「・・・こちらの地図で確認してください。」
「誰かさんのおかげで話が遅れますねぇ。」
「ほんとほんと。」
「この、ツラギ島奪回の為に準備されていたのが、
歩兵第35師団長の川口清健陸軍少将を指揮官とする約5000名の川口支隊です。
そして、この川口支隊を護衛する連合艦隊と、
日本軍の上陸作戦を阻止しようとするアメリカ海軍との間で行われた海戦が第二次ソロモン海戦なのです。」
「もしかして、今までの説明って単なる前フリか?」
「そうですよ?」
「そうだったの。何で陸軍の話してるのか分からなかったけど・・・」
「まさか、私が単なる趣味で話していると思っていたのですか?」
「違うの?」
「てっきり趣味かとばっかり・・・」
「・・・必要な事だから説明していただけです。これでも省略してるんですよ。
それでは第二次ソロモン海戦における日本軍の編成を紹介します。」
「お約束でつね。」
機動部隊・本隊
第1航空艦隊
翔鶴、瑞鶴、龍驤(空母)
第10駆逐隊
風雲、夕雲、巻雲、秋雲
駆逐隊
時津風、天津風、初風
付属・秋風(駆逐艦)
前衛
第11戦隊
比叡、霧島(戦艦)
第7戦隊
熊野、鈴谷(重巡洋艦)
第8戦隊
利根、筑摩(重巡洋艦)
第10戦隊
長良(軽巡洋艦)
第19駆逐隊
浦波、敷浪、綾波(駆逐艦)
補給部隊
第1、第2各補給部隊
「これだけ?」
「上記のは本隊だけです。」
「本隊だけ?」
「今回の作戦では、機動部隊(第3艦隊)の前衛に前進部隊(第2艦隊)が配置されています。」
「前衛って・・・それ、ミッドウェーの時に私が言った戦術じゃない。あんた、前に意味が無いって言ってなかったっけ?」
「ありませんよ、ほとんど。ごく希に成功する事もありますが・・・」
「希にって・・・どのくらいの確率よ?」
「神のみぞ知る・・・、次は前衛を務める第2艦隊の編成です。」
前進部隊・本隊
第2戦隊
陸奥(戦艦)
第4戦隊
愛宕、高雄、摩耶(重巡洋艦)
第5戦隊
妙高、羽黒(重巡洋艦)
第4水雷戦隊
由良(軽巡洋艦)
第9駆逐隊
朝雲、山雲、夏雲、峯雲(駆逐艦)
第27駆逐隊
有明、夕暮、白露、時雨(駆逐艦)
航空部隊
第11航空戦隊
千歳、山陽丸(水上機母艦)
第4駆逐隊
野分、舞風
「ふむ・・・、二つの部隊を合わせて見ると結構な動員をかけているのだな。」
「で、ヲタな内容を羅列するのはどーでも良いとして・・・アメリカ軍の方の説明はどうなってるのよ?」
「アメリカ軍は空母3隻を基幹に戦艦、巡洋艦、駆逐艦を多数動員した編成で━━━」
「ちょっと待った!」
「どうしたの?」
「何で、アメリカ軍の説明をホンのちょっとで終わらせんのよ!説明しなさいよ、説明!」
「前に、どうでも良い事を説明するのは止めろと言われたので・・・」
「そういえば、そんな事があった様な無かった様な・・・」
「るさい!どう見てもファーストの説明は日本びいきじゃない!」
「まぁ・・・そうだわな。」
「詳しく説明すれば長いと言い、短くまとめれば説明しろと言う・・・私にどうしろと言うのですか?」
「どうもこうも無いわよ。どっちも同じ様に説明すればそれでいいの。」
「・・・そうは言っても、
アメリカの軍艦はカタカナで表記する必要があり大幅に場所をとるんです。と言う訳で・・・」
第61任務部隊
旧第11任務部隊
サラトガ(空母)
重巡×2・駆逐艦×5
旧第16任務部隊
エンタープライズ(空母)
戦艦×1・重巡×1・軽巡×1・駆逐艦×5
旧第18任務部隊
ワスプ(空母)
重巡×2・駆逐艦×6
「・・・これでどうでしょう?」
「・・・・・。」
「不機嫌そうだな。」
「別に・・・」
「何か意見があるのなら言った方がいいでつよ。」
「いいわよ、もう・・・」
「・・・正直、アメリカ軍の艦艇には詳しくないんです。
私自身アリゾナとアイオワとアイダホの区別がついてないくらいですから・・・。
必要とあれば調べますが、アメリカ軍についてはあまり突っ込まないで頂けると幸いです。」
「そんないい加減でどうすんのよ・・・」
「ま、いいんじゃない。テキトーで。」
「上に同じ〜。」
「・・・・・。」
「ところで、日本軍の指揮官は誰なのだ?まさか、南雲中将では無いだろうが・・・」
「日本側の指揮官は南雲中将ですよ。それがどうかしましたか?」
「どうもこうも無い。南雲中将とやらは、ミッドウェーで大敗した時に指揮を執っていたのだろう?
敗軍の将は厳しく罰せられるのが普通だ。何故、まだ指揮官でいられるのだ?」
「マシュマー様だって散々失敗してたくせに・・・」
「そういえば、満身創痍のアーガマ相手にボコボコにされてましたよねぇ。」
「うるさい!」
「騎士道とか言って、連戦連敗じゃしょーがないよね〜。」
「せめて1勝くらいはしないと駄目でつよね。」
「うるさいと言ってるだろう!」
「だぁって〜」
「ね〜。」
「私とてハマーン様に仕えるネオジオンの騎士。一度はZを追い詰めたのだ・・・ZZさえ現れなければ・・・」
「負け惜しみだね♪」
「仮想戦記かもしれませんでつよ?」
「黙れ!」
「南雲中将留任の理由は私には分かりません。
ミッドウェーの雪辱を晴らしたいという、南雲中将の願いが聞き入れられたという話もありますが・・・」
「そんな超個人的な理由でいいの?」
「私としては、人事の再編成が面倒だったからではないかと見ているのですが・・・
まぁ、どうでもいい事ですね。とりあえず、日本側の指揮官は南雲中将なのです。」
「どうでもよく無いでしょ。大体、人事が面倒ってどういう事よ?」
「日本は良かれ悪かれ縦社会ですから。例え能力の高い人材が居たとしても、年功序列が基本なのです。」
「これだから日本は・・・」
「年功序列の弊害について否定はしません。
しかし、ミッドウェーで大敗したとは言え、南雲機動部隊首脳部はきちんと機能していました。
南雲長官が留任しても問題は無いと思いますが・・・」
「問題無いわけないでしょ!南雲って人の指揮で大負けしてんのよ、責任取るのが筋じゃない!」
「だから、ミッドウェーは運の要素が強かったと何度言えば・・・」
「話が無限ループになりそうでつねぇ。」
「無限ループは私も望むところではありません。説明を続けたいと思います。」
「ちょっと!話は終わって無いわよ!」
「第二次ソロモン海戦には参加していませんが、山本五十六大将の乗艦する大和も南洋のトラック泊地まで進出しています。」
「無視すんじゃ無いわよ!」
「トラックって・・・?車?」
「違う違う、そういう地名があんのさ。確か、当時の連合艦隊の根拠地だったよな?」
「そうです。」
「な〜んだ、トラックって言うから何の事かと思っちゃった。」
「少しは考えてから発言しろ。泊地と言っているのに、どうしていきなり車が出てくるのだ・・・。」
「あ〜、そんな事言うんだ〜。
い〜もん、今度出撃した時にマシュマー様のザクVを後ろから熱血と集中かけたビームガンで撃ち抜いちゃうから。」
「フッ、甘いな。私を誰だと思っている?アステロイドベルトの彗星の異名をとるマシュマー・セロだぞ?」
「何、その二番煎じな名前・・・」
「誰が二番煎じだ!彗星とは赤い彗星に継ぐ栄誉ある称号なのだぞ!」
「赤い彗星って・・・」
「ロリコンでマザコンの?」
「貴様ら!不穏当な発言をするな!あのお方はジオンの誇るエースパイロットだぞ!」
「まぁまぁ、そんなに熱くならんでも・・・」
「説明、また止まっちゃってるしね・・・。」
「・・・これまでも何度か説明しましたが
南雲機動部隊司令部はミッドウェーでの敗北の教訓を生かし、一つの策を施しました。」
「それが前衛部隊とやらだな。」
「そうです。」
「ようやく、自分達の間違いに気付いたってわけね。」
「間違いって?」
「あの戦いの時、役立たずの大和を後ろに引っ込めてたじゃない。
あの時だって主力部隊を前衛にしとけば結果は違ったでしょうに・・・」
「・・・・・。」
「ん?反論は無しか?」
「構いません。無知な事は罪ではありません。知ろうとしない事が罪なのです・・・。
・・・話を続けます。前衛部隊に敵を食いつかせると言っても
食いつきやすい餌が無ければ何の意味もありません。そこで、機動部隊本隊から一部の艦艇を切り離して先行させました。」
「餌って?」
「日本にとってもアメリカにとっても敵空母は脅威であり、故に最優先で攻撃する必要があります。
この時、本隊から切り離されたのは次の艦艇です。」
軽空母・龍驤
重巡・利根
駆逐艦・時津風、天津風
「・・・8月24日、南雲機動部隊から分離した前述の支隊は本隊より先行して南下
原忠一中将指揮の下、ガダルカナル島のルンガ飛行場(ヘンダーソン飛行場)への攻撃を開始しました。
攻撃隊の編成は次の通りです。」
零戦15機(制空)
九七艦攻6機(爆撃)
「数が少なすぎる様な・・・」
「軽空母の搭載量は20機そこそこです。これでも大変なんです。」
「たったそれだけの戦力で攻めてどうすんのよ?」
「この攻撃は陽動です。ヘンダーソン飛行場を叩き、
それに釣られてアメリカ軍機動部隊が進出してきたところを南雲機動部隊が叩く・・・これが日本軍の作戦です。
一方のアメリカ軍・・・、日本の機動部隊による攻撃にフレッチャー少将は驚いたそうです。
彼が8月23日に太平洋艦隊司令部から受けた情報では、日本軍の機動部隊はトラックの北方にいるとの事だったのですから。」
「そんな程度の事で何、いちいち驚いてんだ?」
「太平洋艦隊司令部からの報告で
機動部隊決戦が無いと判断したフレッチャー少将は空母ワスプを燃料補給の為に南下させてしまっていたのです。
この為、アメリカ軍は大きなハンデを負う事になってしまいました。」
「フレッチャーとやら・・・、無能では無いのだろうが、あまり信頼出来る指揮官でもなさそうだな。」
「なんで?」
「第一次ソロモン海戦の時も、さっさと退避してしまっていただろう?
本人の思慮がどこにあれ、部下から見て不審を買うような判断をするべきでは無い。」
「どうでも良いんだけどさ・・・、多分その人お前が言うな!って、草葉の影で思ってると思うよ。
それに、どっかの誰かさんみたいに無謀に攻める人よりは堅実な方が良いと思うけど・・・。」
「愚将愚将〜」
「うるさい!」
「まぁ、どっちもどっちな気もするが・・・」
「ヘンダーソン飛行場空襲の報告を聞いたフレッチャー少将は、直ちに攻撃隊の出撃を命令。編成は次の通りです。」
SBD急降下爆撃機30機
TBF雷撃機8機
「ありゃ?制空隊はいないのか?」
「・・・資料を当たってみたのですが、どうやら居なかったみたいですね。」
「何でなんでつ、アスカさん?」
「何で私に聞くのよ?」
「攻撃隊を丸裸で送り出しているじゃないですか?アメリカなのに人命軽視でつか?」
「知らないわよ!そういうのは、ファーストに聞きなさいよファーストに!」
「・・・私に聞かれても困ります。」
「・・・誰も気付いて無いから言っとくが、アメリカ軍の雷撃機って前と違ってないか?」
「え、何が?」
「ほれ、前はTBDだったじゃねぇか。今回はTBF。まさか、言い間違いとかじゃないよな?」
「ダグラス社製のTBDデバステーター雷撃機は、ミッドウェーでのあまりの損害の多さに第一線を退きました。
その代わりに前線に出されたのがグラマン社製のTBFアベンジャー雷撃機です。
量産したのはジェネラル・モータースという会社らしいですが・・・」
「ま、TB何とかの違いがどうとかなんて、どうでも良い様な気もするけどね。」
「そうでしょうか・・・。私はこの時点ですでに、日本とアメリカの違いが露呈されていると思うのです・・・。」
「何がよ?」
「アメリカ軍がTBDに代わる雷撃機の開発を始めたのは1939年の事です。
日本も同時期に九七艦攻に代わる雷撃機の開発を始めてはいるものの・・・
後継機である雷撃機、天山の登場はかなり後になってしまっています。
開発が遅れた理由は多々ありますが、これが国力の差と言うものなのです。」
「そんな事言ったってしょーがないじゃない。それを承知で戦争してんでしょ?」
「・・・その通りです。だからこそ、短期決戦でなければならなかったのですが・・・運命とは過酷なものです。」
「まぁ、無いものねだりをしても仕方あるまい。
持ちえる戦力で対処しなければならんのだからな。悲しいかな・・・それが現実だ。」
「アンタが言うと妙に説得力があるな。」
「説得力って言うか・・・有言実行だもんね〜。」
「ね〜。」
「誰が有言実行だ、誰が。」
「貴方のほかに誰がいると?」
「何を言う!我々ネオジオンは負けたのではない!
貴様らの物量に押し潰されたのだ!くっ、国力さえ同じなら・・・」
「違う違う、ネオジオンじゃなくてマシュマー様だけの話。」
「?」
「ほら、他の方々が最新鋭機(第4世代MS)に乗っていながらマシュマーさんだけザクVのカスタム機でしょ?
名のあるパイロットなのに第二世代MSなんて・・・悲しいですねぇ、同情しますよん♪」
「ええ〜い、黙れ!貴様らジオンの象徴であるザクを愚弄するか!」
「・・・話が微妙に逸れている様ですが、
愛着のある機体を貶められる事に憤りを感じる心・・・分からなくはありません。」
「おお、分かるか。この怒りが。」
「ふ〜ん、珍しい事もあるのね。ファーストが他人に同調するなんて。」
「帝国海軍の誇る戦艦大和が役立たずと言われ、心中穏やかで居られると思いますか?」
「げ、アンタさっきの根に持ってんの?」
「人聞きの悪い事を言わないで下さい。名誉を傷つけられて憤りを感じるなと言う方が無理な話です。」
「まさか、横道に逸らす気か?第二次ソロモン海戦すら終わってねーのに。」
「・・・ご心配なく。楽しみは後に取っておくものですよ。
さて、ヘンダーソン飛行場の空襲から約30分後、付近を哨戒中のアメリカ軍の爆撃機B−17が龍驤以下の支隊を発見しました。
サラトガから発進した攻撃隊は何なく日本軍の龍驤を発見。怒涛の攻撃を開始したのです。」
「なんか、あっけなさすぎじゃないか?
空母ってのは自由に動けるのが利点なんだから、さっさと別の場所に移動しちまえばいいだろうに。」
「・・・確かに。しかし、攻撃隊が帰投するまで不用意に動く訳にはいきません。
当時の航空機に搭載されていた無線はそれほどの性能ではありませんでしたから。」
「どういう事?」
「・・・無線や電話があまり信頼できない状況で艦隊の場所を変えてしまえば
帰還する攻撃隊が母艦を見つけられず、不時着する可能性が大きくなるのです。」
「アパム!早く顔持って来い!アパーム!」
「いきなり何、言い出すのよ。」
「ある戦争映画での一節ですよ。
弾薬を失ったユダヤ人兵士が、弾を持ってる兵士を必死に呼び続ける・・・
そしてアパムという伍長は脅えて弾を届けずにユダヤ人兵士は非業の死を遂げる・・・悲しい話です。シクシク・・・」
「確か某掲示板じゃ、アパム=ヘタレという意味合いで使われてるらしいよな。まぁ、どーでも良い事なんだが。」
「つーか、台詞間違ってんだけど。」
「ほんとだ〜。間違ったままだと苦情来ちゃうから、ちゃんと直した方がいいよ。」
「は〜い。それでは・・・バタ子!新しい顔持って来い!バター子!」
「アンパン○ン!新しい顔よ〜!」
「余計に離れてるって・・・。あんた、ワザと間違えてるでしょ。」
「バレました?」
「当たり前でしょ!大体何なのよ、その新しい顔ってのは!」
「分かって無いですねぇ、アスカさん。あのアニメは様々な戦訓を提示しているのですよ。」
「はい?」
「まずアン○ンマンの説明からです。彼は絶大な能力を秘めていますが顔が弱点です。
顔が濡れたり損傷したりすると戦闘不能になってしまう・・・ここまではよろしいでしょうか?」
「だから何よ?」
「・・・・・。」
「だからですね。彼にとって顔は補給と同義語な訳です。
彼も数多の戦いの中で危機に陥る事も少なくないでしょ。それなのに任務遂行率100%を誇る・・・それは何故だと思います?」
「私が知るわけないでしょ。」
「う〜ん、いけずぅ〜。もうちょっと突っ込んだ質問しなきゃ駄目です。」
「そうそう。」
「だから知らないっつってるでしょ。」
「仕方ない・・・。正解はですね。
確固たる補給路・適切な情報伝達
彼の作戦行動において、上記の二つがしっかりしているからこそ彼は不敗を誇っていられるのです。」
「ワケ分からないんだけど・・・」
「彼らの常套戦術・・・つまりはこういう事ですよ。」
最前線でバイキンと交戦
↓
補給(顔)に異常発生で大ピンチ
↓
誰かしらが工場に救援要請
↓
工場から物資(顔)移送開始
↓
物資(顔)補給完了、敵を殲滅
「・・・・・。」
「アスカ?どしたの?」
「・・・なんつーか、あまりにもくだらなさ過ぎて・・・」
「酷っ!人がせっかく分かりやすい説明してあげたのに!」
「別に、アンタに説明頼んでないでしょ。で、結局何が言いたいのよ、アンタは。」
「綾波さんが言ってたじゃないですか。戦いには情報伝達が重要だと。つまり━━━」
バイキンマンが勝つ方法
アンパンマンの顔を使用不能にする
↓
救援要請に向かった伝達員を抹殺
↓
後方の工場を破壊
↓
勝利者の余裕をもって怨敵に止めを刺す
↓
(・∀・)ウマー
「ほら、パーペキ。」
「・・・・・。」
「どしたの?」
「もういい・・・。」
「話が見えないのだが・・・」
「・・・気にしないで下さい。外部燃料タンク(顔)に依存するパンの形を成した生命体のアニメですから。
確かに、ラミエルさんの言うとおり考えさせられる部分も多々ありますね。
動物達をパンで買収し愚民化するその狡猾さとか・・・」
「待たんかい!」
「どうしました?」
「アンタも不穏当な発言すんじゃないわよ!」
「どこが不穏当なのか理解に苦しみます。
戦争とは、現地住民を味方に付けなければ優位に戦いを進める事など出来ないのです。
これは、後年のベトナム戦争でも証明されている事実ですよ?」
「そういう問題じゃないわよ。」
「しかしですね。バイキンマンが勝利を手にする可能性はあまり高くないんですよ。
何しろ、バイキンマンにとって信頼(かろうじて)出来る味方はドキンちゃんくらいのものですから。
それに対し、敵には朝食スライス(食パン)やら脂症(カレー)やらの仲間が居ますからねぇ。寡兵は辛いもので━━━」
「あんたもしつこい!延々と脱線すんじゃないわよ!」
「え〜、これからが良いところだったのに〜。」
「のに〜。」
「プル・・・いい加減、ひし形に話し合わせるの止めなさいって。」
「オブイェークト!」
「・・・・・。」
「・・・いずれ飽きるだろう。放っておけ。」
「・・・そろそろ話を本題に戻しますね。
アメリカ軍攻撃隊の攻撃は空母龍驤に集中しました。
直衛の零戦9機の奮戦も虚しく、まず艦尾に爆弾が命中、火災が発生しその後再び爆弾が2発命中。
魚雷も1発命中し龍驤は右舷に大きく傾いて停止してしまいました。」
「ずいぶん、ボコボコにやられちゃってんのね。」
「たった数隻では満足に弾幕も張れませんから必然であるとしか言えません。
・・・その日の18:00頃、龍驤は海中に消えていきました。」
空母・龍驤
「沈んじゃったんだ・・・。」
「そりゃそうだ。爆弾が当たれば爆発するし、魚雷が当たれば穴も空く。沈むのは当然の話だわな。」
「・・・一方の南雲機動部隊ですが、目標のアメリカ軍機動部隊を中々発見する事が出来ずにいました。」
「索敵はどうしたのよ、索敵は。」
「ご心配なく。ミッドウェーでの教訓を生かし、偵察のために九七艦攻を19機発進させています。」
「ほう。過去の教訓を未来に生かすというのは良い事だ。」
「だから、南雲さんもマシュマー様には言われたく無いと思ってると思うけど・・・」
「愚将愚将〜。」
「・・・・・。」
「あれ?反応が無い・・・」
「どうしたんでしょう?体の調子でも悪いんですか?」
「そう何度も挑発に乗るか。指揮官とは冷静であらねばならんのだからな。」
「つまんな〜い!」
「黙れ!貴様ら人を何だと思っているのだ!」
「あんたも良い様に玩具にされてんな・・・。」
「・・・索敵機は空母だけではなく、前衛の戦艦、巡洋艦からも発進させています。
早朝04:15に発進させたものの、中々敵機動部隊を発見する事が出来ませんでした。
12:28、重巡から飛び立った敵部隊発見の第一報が入りましたが、索敵機はその後消息を絶ってしまいました。
ですが、他の偵察機からも敵発見の報告が次々と報じられたのです。
機動部隊司令部は、索敵機が打電してきた位置を機動部隊から約260浬離れたスチュワート諸島付近と推定。
直ちに攻撃隊を発進させました。・・・編成は次の通りです。」
第一次攻撃隊
零戦10機(制空)
九九艦爆27機(爆撃)
「ずいぶん少ない気がするけど・・・」
「・・・仕方無いのです。これでも精一杯なんです。」
「段々貧相になってくわね。」
「しゃーねーだろ。攻撃隊だって無傷で生還なんて出来るわけねーんだし。出撃するたびに数が減るのは当たり前の事さ。」
「・・・14:20、南下を続けていた第一次攻撃隊は
アメリカ軍正規空母エンタープライズを中心とする艦隊を発見。直ちに攻撃に移りました。」
「ちゃんと見つけられたんだ。それじゃ、後は沈めるだけだね。」
「・・・そう簡単に話が進むのなら苦労はありません。
アメリカ軍は日本軍迎撃の為にF4F戦闘機を上空に上げておいたのです。数は30以上・・・
援護の零戦隊の奮戦も虚しく九九艦爆は次々と撃ち落されていきました。」
「なんでまた、そんなにあっさり落とされちゃってるんです?」
「九九艦爆も一応、自衛用に7.7mm機銃を後部に搭載しています。
しかし、7.7mmではF4Fのコクピットの防弾ガラスを撃ち抜く事すら出来ません。
ほとんど無防備に等しい艦爆隊には、なす術などないのです。」
「零戦隊は何やってんのよ?」
「いくら零戦が強いと言っても10機では限界があります。残念ですが、仕方の無い事なのです・・・。」
「仕方ないで済ませてどうすんのよ・・・。」
「・・・他に言い様がありません。世の中にはどうにもならない事もあるのです。」
「じゃあ・・・もしかして全滅?」
・・・F4Fの迎撃も鉄壁ではありません。九九艦爆の何機かはアメリカ機動部隊上空にたどり着けました。」
「よかった〜。じゃ、今度こそ沈めるだけだね。」
「・・・話はそれほど簡単では無いのです。
空母そのものの対空砲以外にも護衛の艦艇・・・戦艦や巡洋艦などから激しい攻撃を受け、ここでも艦爆は数を減らしていきます。」
「一難去ってまた一難か・・・。」
「資料を見る限り、アメリカ軍の弾幕はかなり苛烈だった様です。
・・・そんな中、空母エンタープライズへ急降下爆撃をかける艦爆が数機いました。
艦爆隊の決死の攻撃により250kg爆弾3発が命中。爆弾は甲板5層を貫通し下士官室で爆発。合計74名のアメリカ兵が戦死しました。」
「・・・戦死とかって聞くと、ちょっと複雑な気分だね。」
「・・・戦争なのだ。戦場に出れば常に死の危険がつきまとう。気にするなとは言わん・・・だが、いずれ慣れる。」
「それも何かのネタ?」
「・・・・・。」
「一連の攻撃により火災を発生させましたが、炭酸ガスによって程なく鎮火。
後部エレベーターを使用不能にしたものの、エンタープライズは24ノットの速力で航行できる状態でした。」
「ちょっといい?」
「また何か気に入らないんですか?」
「いちいちうるっさいわね〜!少しは黙ってなさいよ!」
「・・・何か?」
「あんた、さっきの説明で決死って枕詞を付けてたでしょ。」
「不自然ですか?なら、艦爆隊の我が身を省みない捨て身の行動と表現しても良いかと・・・」
「だ〜か〜ら!何だってそこまでして旧日本軍を美化したいわけ?そんなんじゃ戦中の大本営発表と変わんないっての!」
「・・・この程度の表現なら、まだ可愛い方だと思いますが。」
「可愛い可愛くないの問題じゃなわよ!恣意的な表現じゃ、中立性なんか保てないって言ってんのよ!」
「↑ほんと、可愛くないですねぇ。」
「るさいっ!」
「先程の日本軍第一次攻撃隊ですが先程の攻撃中、2機の艦爆が
火だるまになりながらエンタープライズの甲板に体当たりをしたと言われています。
決死と付けても差し支えは無いと思うのですが・・・」
「確かに・・・。敵艦に体当たりなどそうそう出来るものではない。」
「・・・・・。」
「意見はもう終わりでつか?(・∀・)ニヤニヤ」
「っさい!」
「説明には極力中立性を保つつもりではいますが・・・私は神では無いので間違いもあります。その点はご了承下さい。
さて・・・第二次ソロモン海戦における戦闘らしい戦闘は以上です。」
「え、もう終わりなの?」
「これまでが長かったからそう思うのかもしれないけど・・・。」
「言えてるな。」
「厳密に言えば、日本軍は第二次攻撃隊を編成し出撃させていますし
アメリカ軍も索敵をかねて攻撃隊を出撃させています。」
「なんだ、ちゃんと話す事があるんじゃない。」
「しかし、両方とも機動部隊を発見できずに帰還しています。」
「両軍ともか。運が良いのか悪いのか・・・。」
「この時、日本軍の第一次攻撃隊は
第二次攻撃隊に敵の位置を無電で知らせていたのですが、情報が伝わっていなかったらしいのです。」
「何やってんだか・・・」
「ほらほらほら!だから言ったじゃないですか!情報伝達は重要だって!」
「鬼の首取った様に騒がない!」
「・・・一応両軍の損害を説明しておきます。」
日本軍
空母・龍驤(沈没)+艦載機全て
水上機母艦・千歳(大破)
零戦3機・九九艦爆17機(未帰還)
零戦3機・九九艦爆1機(不時着)
アメリカ軍
空母・エンタープライズ(中破)
航空機17機喪失(機種不明)
「あのさぁ・・・」
「何か?」
「どう見ても、日本軍のほうが損害多いように見えるんだけど・・・」
「そうですね。この海戦は日本側の負けと言っても良いでしょう。それに・・・」
「まだ何かあんのか?」
「この作戦の本来の目的、川口支隊のガ島への上陸支援・・・これも失敗しているのです。」
「川口支隊か・・・、そういえばそんな話もあったな。」
「マシュマー様、忘れてたの?」
「忘れていたのではない。思い出したのでもない・・・。その必要が無かっただけだ。」
「ふ〜ん・・・。」
「何だ、その疑いの目は?」
「べっつにぃ〜。」
「何故お前が返答する・・・。」
「それはどうでもいいんだけど・・・支援失敗ってどういう事よ?」
「言葉の通りです。ガ島に接近していた増援部隊ですが、哨戒中のアメリカ軍に発見されてしまったのです。
B17を始めとする爆撃機の攻撃を受け被害は増える一方・・・
数度にわたる攻撃により上陸作戦は中止となり、増援部隊はショートランドへと引き返して行きました。」
「で、結局逃げたって訳?」
「戦術的撤退です。
川口支隊はこの後、駆逐艦などを使った輸送方に切り替え9月7日までに約4500名をガ島に上陸させました。」
「ふ〜ん、ちゃんと上陸出来たんだ。」
「・・・駆逐艦等ではそれほど多くの人員や物資を運ぶ事は出来ません。
総合火力では、やはり米軍に比べればかなり劣ります。
しかし、一応の兵力と装備を整えた川口支隊は、9月13日にヘンダーソン飛行場に対し総攻撃を開始しました。」
「どーせまたボロ負けでしょ?」
「人聞きの悪い事を言わないで下さい。川口支隊は全戦力を第一線に投入、
大きな犠牲を払いながらも一時、ヘンダーソン飛行場の一部を占領するまでに至ったのです。」
「へぇ〜、やるじゃん。」
「・・・この時がヘンダーソン飛行場奪回の唯一の機会だったそうです。
アメリカ軍側の指揮官が貴様たちに無くて敵にあるのはガッツだけだと兵士達へ叱咤激励したと言われています。
後、一個連隊あれば飛行場は奪回出来ていた・・・これもあながち間違いでは無さそうですね。」
「ガッツって・・・大剣振り回す黒い剣士さんの事でつか?」
「んなワケ無いでしょ。」
「しかし、全ての戦力を投入した川口支隊は最期の一押しが出来ず・・・9月14日未明に作戦を中止しました。」
「結局負けてんじゃん。」
「アメリカ軍の戦力は日本軍の約2倍ですよ?装備でもアメリカ軍の方に分があるのです。
その辺りの事情も考慮していただきたいものですが・・・」
「何言ってんのよ。結局負けは負けなんだから、後からそんな事言ったって無駄よ。」
「無駄無駄無駄無駄ァァァァァ〜!!」
「ふははははぁ〜、勝てばよかろうなのだ〜!」
「お前達・・・、少しは黙ってろ。」
「オブイェークト!」
「・・・・・。」
「第二次ソロモン海戦では芳しい戦果は無かったものの、潜水艦部隊が後日、大きな戦果を挙げています。」
「大きな戦果とか言っちゃって・・・どーせまた大本営でしょ。」
「そうですか?この戦果が大きくないとは思えませんが・・・」
空母・ワスプ(沈没)+艦載機
空母・サラトガ(中破)
戦艦・ノースカロライナ(大破)
駆逐艦・オブライエン(沈没)
「なんだ、その戦果の多さは?さっきの戦いじゃ、やっとこエンタープライズ中破だったんだろ?」
「・・・敵さえ捕捉出来れば潜水艦でも一騎当千となりえるのです。お忘れですか?日本の秘密兵器を。」
「秘密兵器って何だっけ・・・?」
「・・・九三式酸素魚雷です。
通常の魚雷より遥かに速く航続距離も長く雷跡は見えず捕捉は困難。その上威力は高い・・・。
蒼き殺人者の名は伊達ではありません。」
「そんなに凄いんですか?」
「・・・空母は当然、戦艦や駆逐艦といった艦船に護衛されています。
特に潜水艦にとって駆逐艦は厄介以外の何者でもありません。
しかし、酸素魚雷の航続距離を持ってすれば駆逐艦の哨戒網の遥か外側から攻撃出来るのです。」
「敵の射程外からの攻撃・・・一応、戦術の基本ではあるな。」
「戦果の中で最も大きいワスプ沈没ですが、この艦の沈没には運も大きく作用していました。
ワスプに魚雷が命中した時、艦内では航空機燃料を使った作業中だったと言われています。魚雷が命中すれば当然爆発。
その後、航空機燃料の気化ガスに引火しさらに誘爆・・・もはや手の付けられない状況だったそうです。」
「へぇ〜、敵ながら酷い惨状だな。」
「そういえば、日本も同じ様な事ありましたよね?
ミッドウェーで蒼龍さんをはじめとする3隻の空母が炎上してエライ事に━━━」
「・・・・・。」
「あ・・・すみません、綾波さん。嫌な事を思い出させてしまって・・・そんなつもりはなかったんですよぉ。」
「・・・あんた、私には何も無しなワケ?」
「え?だって私は蒼龍さんと言っただけで惣流さんの事など言ってませんでつよ?」
「あんた、確信犯でしょ!魂胆が見え見えなのよ!」
「フッ、日本語は正しく使った方がいいでつよ?
確信犯とは道徳的・宗教的・政治的な信念に基づき、
自らの行為を正しいと信じてなされる犯罪の事でつ。
思想犯・政治犯・国事犯など私は一言も喋ってないじゃないですか。」
「るさいっ!」
「とりあえず、第二次ソロモン海戦については以上です。
海戦そのものの戦果は芳しくありませんでしたが、その後の潜水艦部隊の活躍で日本軍はどうにか五分に持ち込む事が出来ました。」
「で、次は何になるんだ?」
「サヴォ島沖夜戦を簡単に説明します。」