男たちの大和 鑑賞会
「今回はなんだ?」
「暇なんだし映画でも見ようかと思ってさ。ほら、これ。」
「ビデオテープだけみせられても何なのか分からないぞ。」
「今回の映画は男たちの大和という邦画です。結構な話題にはなったと思いますよ。」
「私は知らないな。」
「ま、とにかく始めようよ。再生再生っと♪」
「でもなんでまたビデオなんだ?DVDにすりゃいいのに。」
「買ってないんだもん、しょーがないよ。ほら、お金は節約しないとね。」
「まぁ、そうだな。」
「でも、いちいちCMとばすの面倒じゃない。なんで今時ビデオ・・・」
「大丈夫ですよ。CMとばすのはアスカさんのお仕事ですから。」
「大丈夫じゃないわよ!なんで私がそんな事しなくちゃならないのよ!」
「だって、アスカさんの存在理由、レゾンデートルですよ?」
「少女はCM飛ばしを望んだ。少女はその願いを叶えた。」
「望むか!牛柄!」
「う、牛柄なんて酷い・・・」
「だが、少女は苦悩する。」
「しないわい!」
「仕方ありませんねぇ。それじゃCMとばしは私がやりますよ。」
「それもなんかムカつく!」
「物語が始まった様だが・・・これは戦時中か?」
「違うよ。話は戦後から始まってるみたい。」
「なんで戦時中の話なのに戦後からなんだ?」
「ほら、そういうのってよくあるじゃん。タイタニックとかでもそーだったでしょ?」
「そういえばそうだったわよねぇ。」
「サルベージ船な何かでお宝探ししてたのよね、確か。」
「見た事無いから分からないんだが・・・」
「じゃ、後で見せてあげるよ。そっちも面白い映画だからさ。」
「そう?私はあんまり・・・」
「前半はアレですけどタイタニックが氷山に激突した後が神展開ですからね。」
「いや、実際に起きた話で神展開とか言うのはどうかと思うけど・・・」
「私は映画として感心してるんですよ。だって、本当に話に引き込まれちゃいましたもん。」
「最後まで演奏を続けてた楽団の人達も良かったよね〜♪」
「まぁな。実際にもいたんだろ?その連中。」
「実話にそってたりそうでもなかったりってところもありましたからね。
実在はしてるけど、フィクションになっちゃってる設定の航海士の人とか。その航海士の遺族の方から苦情もあったそうですし。」
「まぁ、映画だしね。」
「それにしてもあの手の映画見てて思うんですけど、あの状況ってどうすれば助かるんだろうって思いませんか?」
「思いませんか?と言われても何の事か分からんが。」
「ですから、ああいう遭難ものの映画だとよくあるじゃないですか。
どういうわけか必ず助かる主人公とその他の人達が。
もし、自分がそういった状況におかれたとしたら助かる側に回りたいと思うのが人情でしょ?」
「そうは言われてもな・・・。そういうのは話的に主人公だから助かるのだろう?」
「それはそうなんですけどね。」
「う〜ん、あたしは救命ボートに優先して乗れると思うから良いけどね。あ、プルツーも乗せたげるから安心しなよ?」
「何を言ってるんだ?お前は・・・」
「ああいう状況だと・・・俺は多分死ぬだろうな。
タイタニックで言うと、水に巻き込まれて船内に押し戻される役あたりか。」
「そこまで卑下する事は無いと思いますよ。サキエルさん、自信を持って下さい♪」
「いや、別に卑下してるわけじゃねーが。」
「地味男はこれだから。」
「どーせサキエルなんて、いつの間にか船の中に引きずり込まれて死んでる役よ。脇役だものね〜。」
「それ、俺がさっき自分で言った・・・。」
「でも、そんな事言い出したら私達みんな脇役ですよ。
それはさておき・・・私だったら、とりあえず甲板に出て水に浮きそうな物を探しますね。例えば・・・」
「例えば?」
「思い浮かびません。」
「おいおい。死亡確定じゃない。」
「まぁ、私はいざとなったら舞空術使いますから♪」
「またその類のネタかよ。」
「それは良いとして、こっちの映画はほったらかしでいいのか?」
「良いんです。物語の導入部は寸劇みたいなものですから。」
「寸劇扱いかよ・・・。」
「ところでお菓子食べます?」
「あ!食べる食べる!」
「やっぱりたけのこの里は定番ですよね。期間限定ものとかも美味しいですし。」
「プルツー、そのチロルチョコ取って。」
「自分で取れ。」
「・・・お前ら、映画見る気あんのか?」
「それはもちろん。でも今は見なくても良いかなって。ぶっちゃけ面白くありませんし。」
「不真面目にも程がある・・・。」
「しかし、この展開はどういう話だ?」
「え〜とですね。大和の乗組員に育てられた女の人が大和の沈没地点に行きたくてワガママを言うってお話です。
ワガママなあたりアスカさんに匹敵しますよね。」
「私を比較対照に持ってくんじゃないわよ!」
「それで、そのうち沈没地点に連れてってくれるっていうご老体が出てきますから・・・あ、ほら。」
「こいつもさしずめ大和の乗組員って設定か?」
「そうですね。」
「でもさ、このあたりって話が暇だよね。」
「どういう状況なのかよく分からないしな。」
「この女の人って映画だからそれほど違和感ありませんけど、普通にいたらドン引きですよね。」
「おいおい。」
「なんで引くんだ?」
「だって、いきなり見ず知らずの人が外海に船を出してくれ・・・なんて、ちょっと考えられませんもん。」
「そりゃ・・・そうかもしんないけど。」
「ところでこの漁船の名前、明日香丸って・・・」
「特別出演乙であります。」
「私じゃないわよ!」
「ん?いきなり回想に入ったな。」
「まだまだ寸劇が続きますからね。しばらくは気楽に眺めておきましょう。」
「でもさ、昭和18年の回想なのにこの人達ってお気楽な事言ってない?アメリカは個人主義の国だからすぐ降伏するとか・・・」
「当時の日本ではアメリカに対しそういう見方がありましたからね。仕方ないんでしょう。」
「馬鹿ばっか。」
「そんな萌え台詞を言ってもアスカさんの評価は上がりませんよ?」
「るさいわよ!そんなつもりで言ったんじゃないっての!」
「で、この映画って戦争中の割にはのんびりしてないか?」
「戦争中期なら内地はまだ平和でしたから。B-29の爆撃が始まってようやく・・・と言った感じですね。」
「戦争も所詮は遠い地域での出来事か・・・。」
「でもさ、このお爺さんってツンデレだよね?」
「は?」
「だって空気読めない女の人にさ、連れて行くのはアンタのためじゃないって言ってたじゃん♪」
「べ、べつにアンタのためにつれていくわけじゃないんだからね!」
「ツンデレのゼルエル様〜♪」
「いや〜ん、格好良いですわ〜!」
「マジかい・・・。」
「それはさておき、もうそろそろこの映画の主役さんが出てくるはずですよ?」
「主役?この女じゃなくてか?」
「違いますよ。」
「じゃ、この爺さん?」
「爺さんは用済み。」
「それはアンタの台詞じゃないでしょうが・・・。て、言うかここにいる誰の台詞でもないけどさ。」
「ほら、そろそろ来るよ〜♪」
「来たぞ来たぞ来たぞ〜!」
「大和キタ━━━(・∀・)━━━ッ!!」
「なんだ、こいつら・・・」
「これはCGか?」
「CGのトコはCGだし、実物大セットのトコは実物大セットだし。」
「この映画の売りでしたからね。実物大のセットで撮影したって。」
「でもよ、CGはなんか微妙だな。」
「そのあたりは気にしちゃいけませんよ。暖かい目で見守ってあげましょう。邦画ですから。」
「まぁ、いいけど。」
「戦争の概要が説明されてるな。まぁ、もう覚えた事だが。」
「このあたりのモノクロ映像は実際の映像が混じってますね。
零式艦上戦闘機とか九九式艦上爆撃機とか航空母艦の飛行甲板の風景とか・・・結構燃えますよね。」
「ミッドウェーで戦局逆転だって。」
「あれって言われてるほどの大損害でもないんですけどね。その後のソロモンキャンペーンに比べたら。」
「そりゃな。ソロモンは死人の数が半端ねぇし。」
「連合艦隊司令長官の話まで入ってるのだな。」
「当時の歴史を知らない人にとっては何がなんだか分からないでしょうからね。一応の予備知識なんでしょう。」
「ま、普通は知らないわよね。」
「場面が呉とやらに移って、男達が何人か出てきたが・・・誰が主役だ?」
「何を言っているんですかマシュマーさん。この映画の主役は大和さんですよ?
大和さんに燃え、大和さんに萌え、大和さんに感動するための映画なんです。」
「知らんわよ・・・。」
「他の人達は総じて脇役ですから。少なくとも私はそう見てます。」
「・・・同感です。」
「なんて見方だ・・・。」
「てか、ファースト。いたの?」
「・・・はい。」
「最初からいましたよ?気がつかなかったんですか?」
「だって、これまでひとっことも喋ってなかったじゃない。てっきりいないのかと思ってたわよ。
つか、ファーストなんかいなくて良いんだけど。」
「ツンデレ乙であります。」
「るさい!牛!」
「(´・ω・`)ショボーン」
「でも、さすが実物大のセットなだけあって説得力はありますよね。そこに存在してるっていう説得力。」
「ま、ちょっとしたセットとか安っぽいCGとかよりはよっぽど良いよな。」
「でも、こういう入り方ってトラトラトラを思い出しません?」
「虎?」
「真珠湾攻撃を描いた昔の映画です。その時は長門さんのセットが作られてたはずですよ。」
「長門さんですか・・・」
「お前が考えてる長門は多分違う。」
「・・・トラトラトラは名作ですね。」
「見た事無いか分からないが・・・。」
「んじゃ、それも後で見せてあげるよ。英語んとこは字幕だからプルツーには大変だと思うけど♪」
「なんで大変なんだ!て言うかお前が言うな!」
「で、今の話はどんな状況なのだ?」
「昭和19年に新兵の皆さんが大和に乗船する事になった・・・という話みたいです。
それで、その中の1人がさっきの漁船アスカ丸のご老人ってワケで。」
「アスカ丸じゃない!明日香丸!」
「はいはい。」
「くぬぅ〜!ひし形、覚えときなさいよ!」
「昭和19年の4月と言えばマリアナ沖海鮮の前・・・、まだ内地は穏やかだった頃ですね。」
「でも、いきなり人がたくさん出てきて誰が誰だかわからないな。」
「プルツー、それ自爆?」
「何がだ!」
「だって、あたしとプルツーってそっくりじゃん。多分、後から仲間になった人にはわからないと思うよ〜?ねぇ、ゼルエル?」
「私は大丈夫ですよ。プルさんもプルツーさんも特徴ありますから。」
「あ、そなの?」
「プルさんは天真爛漫でプルツーさんはツンデレ。間違えようがありません。」
「誰がツンデレだ。」
「きちんとキャラ分けされてますもんね♪」
「キャラ分け言うな!」
「それより分かりづらいのはやっぱりガルーダとハイネルとシャキーンじゃない?」
「大作と大次郎とヤマガタケとブンタもでしょ。」
「何をワケの分からん事を・・・」
「その点、アスカさんは安心ですよね。誰ともキャラかぶってませんし。」
「いや、そうでもありませんよ。宇宙怪獣の合体型と―――」
「誰が宇宙怪獣合体型よ!」
ゴッ(鈍い殴打音)
「あいたっ!」
「ウボァー!」
「フン!」
「酷いですよ、私ヘンな事言ってないのに・・・!」
「私だってまだ台詞の途中だったんですよ。それなのに暴力ですか!」
「ゼルエルは実行犯でひし形は余計なアシストしたでしょうが!それともフルボッコにされたいわけ?」
「((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル 」
「ところでさ、この映画の中心になりそうな人が出てきたけど・・・誰これ?」
「どう見ても主要メンバーだよな。」
「あ、気にしなくていいですよ。この映画のメインは大和さん ですから。」
「そうそう♪」
「あんたら、どんな見方してんのよ・・・。」
「そして、この映画のもう一つのメインは機銃座さんですからね。後半、どんどん出てきますよ?」
「知らんわよ・・・。」
「大和の炊事室みたいなのも出てきましたね。」
「これもこれで珍しいですよね。大和さんが出てくる映画自体少ないですけど、あまりこういう描写ってされないですから。」
「肉とか野菜とか・・・生ものあるのに昔の日本の船で大丈夫なワケ?」
「・・・冷蔵庫は普通にあったはずですが。」
「るさいわね!分かってるわよ!」
「それにしても、実物大セットの恩恵を惜しみなく使ってますね。
ミニチュアとか小規模なセットじゃこうはいきませんよ?」
「まぁ・・・、金かけてんだろうからな。」
「どうせだったら本物作って実際に大和ホテルにしちゃえば良いと思うんですよね。
すぐに元取れそうな気もするんですけど・・・駄目ですかね?」
「さぁ・・・どうなんでしょう?夢のある話 だとは思いますが。」
「無いわよ・・・。」
「大和とやらのブリッジも出てきたが・・・これもセットか?」
「実物大のセットでは艦橋までは作ってなかったはずですから・・・多分、別のセットでしょう。」
「そうか。さすがにそこまでは作ってられんか。」
「で、みんなして何やってんの?」
「戦闘配置に付く訓練みたいですよ。」
「総員第一種戦闘配置、地対空迎撃戦用意! 」
「碇司令乙であります♪」
「やられてる側のアンタらが言ってどうすんのよ・・・。」
「なんか、木箱とか抱えてるんだが・・・あれはなんだ?」
「あの中に25mm機銃の弾倉が入れてあるみたいです。一つの弾倉に15発装填されていたそうですよ。」
「弾倉って事はマガジンでしょ?なんでベルト給弾とかじゃないわけ?」
「・・・何か問題ですか?
この機銃は他の艦艇にも装備されているモノですし、弾倉なら再利用も出来ます。
ベルト給弾じゃないの?と言われても、だから何? としか答えようがありませんが。」
「う・・・」
「久しぶりに玉砕 ですか?」
「誰が何に玉砕してるってのよ!」
「あれ?ところでこれなに?」
「高射砲弾を運ぶ訓練ですね。艦の下部の砲弾庫から機械で甲板まで揚げて、そこから高射砲までは人力で運ぶみたいです。」
「人力かよ・・・」
「昔の船ですから。私達の世界みたいにトリガー引くだけで連射出来るようなビーム兵装があるわけじゃありませんし。」
「・・・こういった揚弾機も艦が極度に傾けば使用不能になりますからね。昔の兵装は大変なんです。」
「( ・∀・)つ〃∩
ヘェーヘェーヘェー 」
「今更、そのネタ かよ。」
「あと5分短縮できるまで訓練続行か、大変なんだな。」
「それはまぁ・・・そうですね。作戦中はともかく停泊中に襲撃されるなんて事も十分ありえますから。」
「あ、殴られた。」
「これは、さっき砲弾を落としてしまった新兵さんみたいですね。」
「すぐに手が出るという上官さんって・・・アスカさんそっくりです。ハイ。」
「るさい!」
ゴッ!(鈍い殴打音)
「殴ったね・・・!親父にもぶたれた事ないのに!」
「るさいっつってるでしょ!」
「つか、親父って誰だよ・・・。」
「ああ〜!何すんのよ、暴力女!ゼルエル様が傷物になっちゃうでしょ!」
「そーよ、そーよ!」
「るさい!誰が暴力女よ!」
「アスカさんですよね?」
「いちいち確認するんじゃない!」
「今度は甲板の上でみんなで体操してますね。」
「上半身裸かよ・・・」
「なんかむさ苦しいわねぇ。やっぱり殿方はゼルエル様みたいに線が細くないと駄目よねぇ。」
「そうそう。ねぇ、ゼルエル様♪」
「はぁ・・・」
「ゼルエルって線が細いの・・・?」
「アスカさんはこういう方々はどうです?」
「なんで私に聞くのよ。だいたい私が好きなのは加持さんだけ。他はどうでもいいわよ。」
「シンジさんが抜けてますよ?」
「うるっさいわね〜、アンタには関係無いでしょ。大体、そういうアンタはどうなのよ?」
「はい?」
「アンタだってそれなりの年なんだから好きな人くらい居るんでしょ?」
「え?さぁ・・・?」
「もったいぶってんじゃないわよ。さっさと答えなさいよ。」
「・・・・・。」
「そんな事を言われましても・・・よく分かりませんから。」
「は?」
「好きって・・・その人と一緒に居たいって感情ですよね?
それなら、ここにいる皆さんとずっと一緒にいたいですから・・・好きな人って事ですよね?」
「違うわよ。そこの蜘蛛と目玉がしょっちゅうゼルエルに言い寄ってるでしょ。私が聞きたいのはそういうヤツよ。」
「私は迷える子羊ちゃんです。ああ、ハマーン様ハマーン様ハマーン様 みたいなのだよ♪」
「黙れ!」
「う〜ん・・・」
「あ〜、もうじれったいわね〜!さっさと答えなさいよ!」
「いくら聞いても無駄なんじゃないか?多分、こいつ分かってねーぞ。」
「そう・・・だと思います。」
「お前らが雑談してる間に結構、話進んでるぞ。」
「あっという間に訓練成功しちゃってるしね。」
「で、またなんか怒られてるみたいだけど。」
「舷窓を閉め忘れたのでその事で注意されているみたいですね。」
「また殴られそうな感じなんですけど・・・」
「本当に閉め忘れた人を庇って別の誰か殴られちゃってます。これが漁船アスカ丸の人なんですけど。」
「アスカ丸言うの止めなさいよ!」
「でも、さっきから殴られるの多いよね。」
「そう?カツなんかいつもブライトさんに殴られてた じゃん。」
「・・・それもそうか。」
「納得するのかよ・・・。」
「このあたりは適当に眺めてるだけで良いと思いますよ。登場人物の人間性を描いているみたいなシーンですから。」
「いや、そういうところだからこそ真面目に見るんじゃないか?」
「だって、大和さんにはあまり関係ありませんもん。興味ある人が見ればいいかなって。」
「不真面目にも程がある・・・。」
「でもさ、上官に殴りかかっちゃって平気なわけ?軍隊でしょ?」
「ティターンズの場合は通常の階級が適用されないって話ですから。」
「ティターンズの話なんかしてないでしょうが。」
「また機銃が出てきたね。」
「このあたりの描写は良いと思いますよ。数ある機銃群の一つに焦点を当てて説明する・・・良いと思います。」
「何が良いのかよく分からんわよ・・・。」
「これってこんなに大勢で操作しなきゃなんないの?」
「仰角、旋回、給弾、射撃指揮も含めると・・・必然的にそうなりますね。」
「アンタが前に説明してた従動射撃とかはどーしたのよ。」
「そんな話、よく覚えてますね。」
「うるさいわね!ファーストが得意気に説明してたのが気に入らないだけよ!」
「ですから、いつも従動射撃をしていたわけでは無いと・・・」
「また、場面が戦後に戻ったな。」
「さっきの明日香丸さんですね。」
「・・・・・。」
「私としては要らないんですけどね。こういう寸劇は。」
「だから、寸劇扱いは止めなさいって。」
「そういえばお飲み物でもお持ちしましょうか。少々お待ちください。」
「はい・・・!」
「でもよ、こういう寸劇も必要って言えば必要なんだろ?」
「まぁ・・・そうかもしれませんけど。」
「アスカ丸さんの勇士をご堪能下さい。」
「るさい!」
「あ、また戦中に戻った。」
「昭和19年の初夏・・・話的にはいつくらいなんだ?」
「だから19年の夏なんでしょ?」
「そういう話じゃない。戦況がどれくらいの時なんだ?って話だ。」
「マリアナ沖海戦の前くらいなのではないかと・・・」
「漁船明日香丸の人が故郷に帰るみたいですね。」
「・・・・・。」
「お待たせしました。今回は華麗にティータイムといきましょう。」
「お、悪いな。」
「ちょっと!熱すぎるわよ!」
「それにこのカップだって気品が無いじゃない!もう少し気をつかいなさいよ!」
「す、すみません。ところで話はどのくらいまで進んだんです?」
「んーとねぇ、漁船の人が故郷に帰ってきたところだよ。」
「あ、そのあたりですか。確か親友の人も一緒なんですよね。」
「でも、この親友の人ってもう死亡フラグ立っちゃってますよね。」
「はい?」
「だって、こういう映画の主人公の親友ってまず間違いなく死んじゃうじゃん。」
「まぁ・・・そうかもね。」
「なんか、幼馴染っぽい女の人もさっきからよく出てますよね。」
「俺、この戦争が終わったら彼女に告白するんだ。」
「止めなさいよ。そういう死亡フラグ。」
「あれ?」
「どうした?」
「サイパン陥落だって。」
「・・・マリアナ沖海戦は省略されてしまったみたいですね。」
「確か、マリアナ沖海戦でも大和さんは出撃してましたよね?」
「はい。当初はビアク島の支援だったものの、急遽作戦変更。
そのまま機動部隊と合流してマリアナへ向かったのですが・・・省略はちょっと残念です。」
「でも、無くて良かったんじゃないの?アンタの好きな小沢中将閣下の負け戦でしょ?」
「一歩間違えば危なかったのはアメリカ軍なのですが・・・そのあたりはもう良いです。負けは負けですから。」
「挑発が華麗にスルーされてるアスカさん萌え〜♪」
「萌え〜♪」
「萌え〜♪」
「うるさい!三馬鹿!」
「(´・ω・`)ショボーン」
「かと思ったら、アメリカ軍がレイテに上陸だと。話が早いな。」
「数ヶ月があっという間ですね。あ、やっと大和さんの戦闘シーンが始まりますよ。」
「主砲三式弾からの対空戦闘ですよ。良いですねぇ、こういうの。」
「・・・同感です。」
「でも、この戦いだって負けまくってたじゃん。何が良いのかしら。」
「こういうのは過程が大事なんです。
結果ばかり見ていると勝てばよかろうなのだ〜! のカーズさんみたいになっちゃいますよ?」
「るさいわよ!」
「それにしてもスゴイね。この戦闘シーン。」
「爆弾食らって流血してるしな。人も吹きとんでるし。」
「アンタらは見ない方が良いんじゃない。トラウマとかになったらマズイでしょ。」
「そうですね。この映画にはグロテスクなシーンが含まれてます、みたいですから。」
「別にそこまで気を使う必要は無いと思うぞ。」
「そうそう♪」
「なら良いけど・・・」
「あれ?もう終わっちゃった。」
「意外とあっさりしてますよね。」
「サマール沖海戦は・・・省略されてしまってるんですね。残念です。」
「そういうところが惜しい気はしますよね。
もっとも、そういうシーンを入れると他の艦艇も作らなければなりませんから・・・仕方ないんでしょう。」
「サマール沖海戦は・・・一応、艦隊戦だったからな。」
「護衛空母を次々と破壊していく大和さんを出してもバチは当たらないと思うんですよね。」
「次々って・・・歴史を捏造してどうすんのよ。」
「戦闘が終わったかと思ったら、また寸劇か。」
「寸劇言うの止めなさいって。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「いきなり黙ってどうしたのよ。」
「だって、この辺は特にコメントは無いなって思いまして。」
「無いのかよ・・・。」
「伊藤なんとかって人が出てきたみたいだけど・・・誰だっけ?」
「伊藤中将は沖縄に行く直前に第二艦隊の司令長官になられた方ですね。
この任に就くまでは内地で勤務されていたとか・・・」
「もう沖縄の話になるのか。」
「ブルネイや内地で敵の空襲を受けたりとかはあるのですが・・・
サマール沖海戦が省略される映画ですからね。そのあたりは仕方ないのでしょう。」
「そこまで映像化してたら逆にマニアックでしょうが。映画なんだから適当で良いのよ、適当で。」
「でも、戦争の話の割にはあまり戦闘シーンが多くないんだな。」
「この映画だと人間ドラマが7分で戦闘シーンが3分ですから。あまり期待しすぎても・・・ね?」
「誰に同意を求めてんだ?お前・・・」
「なんか船を降りられるって話が出てきたんだけど・・・」
「史実でも沖縄に行く直前に何名かの新兵と仕官候補生は降りられたという話があったはずですよ。」
「よかったじゃない、降りられて。あたしだったら当然降りるもの。」
「そうよね〜。」
「まぁ、そっちの方が生き残れるからな。」
「でも、この小僧は降りないみたいよ?」
「ダメよねぇ〜。せっかくの生存フラグを無駄にするなんて。そういうところが日本人的なのよ。」
「ダメかどうかは分かりませんけどね。一長一短だと思いますよ、そういうの。」
「沖縄出撃を前に兵達に最後の上陸をさせている様だな。」
「それにしても、正直人の見分けがつかないから誰が誰だか分からないな。」
「それじゃ早送りしよっか?」
「いや・・・、いい。とりあえず見ておく。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「お前ら、なんで静かなんだ?」
「だから、特に話す事はありませんから・・・ね?」
「さっきから誰に同意を求めてんだよ・・・?」
「あれ?」
「どうしました?」
「あの、漁船の人のお母さんって死んじゃったの?遺影になっちゃってるし。」
「3月の空襲で亡くなられたとか・・・
アメリカ軍は爆撃だけでは飽き足らず民間人も平気で銃撃しましたから。」
「うるっさいわね〜!降伏しない日本が悪いんでしょうが!」
「・・・・・。」
「まぁまぁ、映画ですから。そこまで本気にならなくても。」
「でも、どさくさに紛れて、この幼馴染の女の人ちゃっかり告白しちゃってますよ?」
「意外と積極的なんですね。」
「私はいつでも積極的ですわよ〜、ねぇゼルエル様♪」
「そうそう♪」
「・・・お前らは節操が無いだけだ。」
「でもさ、この漁船の人って生き残るんだから別にかわいそうって感じはしないよね。」
「まぁ・・・映画が始まってすぐに生存確定してたからな。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「また、コメント無いのかよ・・・。」
「だって、人間ドラマ的な所は特に話す事ありませんから。」
「なぁ、こういうのって感動するための布石みたいなモンじゃないのか?」
「そんな事を言われましても・・・ね?」
「誰に同意を求めてんだか分からねぇよ・・・。」
「だが、この眼帯をしている下士官は生存するのだろう?戦後の女の育ての親なのだからな。」
「そうですね。」
「思うのだが、この手の映画であらかじめ生存確定を知らせておくのは間違いなのではないか?」
「マシュマー様は話の途中でいつの間にか死んじゃうもんね。羨ましいんだ。」
「黙れ!」
「・・・・・。」
「アンタ、なんで赤くなってんのよ。」
「眼帯の下士官と芸者の絡みのシーンみたいね。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「こ、このシーンはプルさんとプルツーさんは見ちゃ駄目ですよ!
お二人にはこういうのは早いですから!」
「なにうろたえてんのよ、アンタは・・・」
「別にかまわないだろ。普通の洋画ならお約束の様に散々出てくるじゃないか。」
「そうだよね。」
「それでもなんか駄目なんです!あっち向いてて下さい!」
「アンタは小うるさいPTAかい。」
「まぁ、良いが・・・」
「皆、最後の上陸で多種多様な時間を過ごしているのだな。」
「家族がいるのって良いよね・・・。」
「まぁな・・・。」
「なんか羨ましいですよね、そういうの・・・」
「プルとプルツーはともかくひし形までなんで感傷的になってんのよ・・・」
「まぁ、私はゼルエル様が家族みたいなものだし〜」
「そうそう。あたしとゼルエル様は家族同然だものね。」
「はぁ・・・」
「不本意ならそう言った方が良いぜ。ほっとくと話がややこしくなるぞ。」
「はい、そうですけど・・・なかなか難しくて。」
「あ、また漁船の人出てきた。」
「どうやらちゃっかりした女の人を待っていたみたいですね。」
「でも、こいつら生き残るんだろ?今更なんの緊迫感も無いな。」
「あ・・・そうでもないみたいだよ。」
「・・・何がだ?」
「だって、この女の人広島の軍需工場に行くって言ってますからね。
この時代を扱った物語で広島って言ったら・・・ね?」
「・・・まぁな。」
「そういえばさっきの芸者さんも広島の実家で待つとかなんとか・・・」
「私、死にますって言ってる様なモンよね〜。」
「そうそう。死亡フラグ確定って感じ?」
「フラグとか言うの止めなさいよ。不謹慎にも程があるわよ。」
「でも、そういう意図が見え見えなのは正直引きますよ?なんか感動を押し付けようとしてるみたいで。
大体人の死で感動させようとするなんて下策中の下策ですよ。ねぇ、綾波さん?」
「・・・私に話を振られても困ります。」
「さっきから、何の話かいまいち分からないんだが。」
「話が後半になれば分かると思いますよ。」
「・・・そういえば、燃料事情が逼迫してるはずなのに内火艇を贅沢に使ってるんですね。」
「映画ですから。手漕ぎのカッターでは見栄えもよくないかもしれませんし。」
「あ、やっとこの映画の主役さんの登場ですね。」
「眼帯の下士官、船に潜り込んでいるのだな。」
「結局、生き残っちゃうんだけどね♪」
「そういう事言うなよ。台詞に重みが無くなるだろ・・・。」
「あ、アメリカ軍が沖縄に襲来ですね。」
「このあたりは実際の映像を使っているみたいですね。この時期にすでにカラーで記録を撮っておけるなんて・・・」
「さすがアメリカよね〜。」
「別にアスカさんが誇らしげに話す事では無いと思いますよ?」
「るさい!」
「ところで、今なんか会議してるみたいなんですけど・・・」
「沖縄に行くかどうかでもめてるみたいだな。」
「史実でも草鹿参謀長が大和を訪れ説得に当たったとか、それでも伊藤中将は中々承諾しなかったそうです。」
「それはまぁ・・・作戦の成功率を考えれば承服は出来んだろう。」
「それでも、どっかの誰かさんは賛美してたじゃない。ねぇ、ファースト?」
「・・・賛美してません。ただ、方法は他に無かったと言っただけです。」
「行くだけ無駄でしょ。実際そうだったんだし可能性だってなかったんだし。」
「ですが、あの状況で水上部隊を沖縄の援護に向かわせる方法は他にありません。
それともなんですか、沖縄は捨石だから援護は要らないとでも?」
「だからって勝てる見込みの無い作戦立てて実行してどうすんのよ。」
「他に方法は無いんです。出撃しなければ内地で大破着底ですからどちらが良かったのかは分かりません。
ですが時期を逃せば出撃するという選択肢すら失われてしまうのです。
もちろん、出撃しなければ沖縄特攻で無くなられた方々のうち何割かは多く生き残れたとは思います。
しかしそれは結果論であって8月15日の玉音放送があるという事実を知っているからこそ出てくる話です。」
「その話は止めとけ。永久に議論するつもりか?」
「まぁ・・・、そうなのですが。」
「よかったですね、アスカさん。」
「何がよ。」
「玉砕が未遂で済んで♪」
「るさいわよ、ひし形!」
「連合艦隊の司令長官が陣頭指揮を取らないのは何故か・・・か。部下が憤るのも無理は無いか。」
「そりゃ、上が安全なトコにいて部下に死ねって言ってるようなモンだしな。」
「でも・・・、上の方が亡くなられたら大混乱になってしまうのは山本大将や古賀大将の件から考えても明確ですからね。
やっぱり総大将が前線に赴くというのは危険ですよ。ねぇ、マシュマーさん?」
「なぜ私に同意を求める?」
「ハマーン様だってしょっちゅう陣頭指揮とってましたよね。」
「それはハマーン様だからこそだ。ハマーン様なら下々の者が余計な心配をする必要など無い。」
「でも、最終的にはやられちゃうんだけどね♪」
「ええ〜い!黙れ!」
「これは何をしているんだ?」
「出撃前の訓示の様なものでしょうね。実際にも行われたとは思うのですが・・・よく覚えていません。」
「いい加減ねぇ。」
「自覚してるんですか?」
「私の事じゃないわよ!」
「それにしても、後ろの風景を見てると戦争中とは思えないな。」
「当たり前じゃん。敵が来てたらこんな事やってる場合じゃないもん。」
「そういう意味で言ったわけじゃない。」
「まぁ、映画ですからね。」
「死ニ方用意って、中々粋なジョークじゃない。」
「いや、そういう問題じゃないだろ。」
「皆さん、故郷に向かって叫んでますね・・・」
「ゼルエルさんがもしこの状況だったら、どなたか叫ぶ相手はいたりするんですか?」
「わ、私ですか?そう・・・ですね・・・それは・・・え〜と・・・」
「あたしの事にに決まってるじゃない。」
「そうよ。わ・た・し。」
「さすがゼルエルさん、人気ありますね♪」
「はぁ・・・」
「・・・・・。」
「う〜ん、あたしだったら・・・プルツーの事呼んであげるね。」
「さすがプルさん、妹さん想いなんですね♪」
「エヘへ〜♪」
「勝手にしろ・・・。」
「そしたらプルツーはあたしの事呼ばなきゃ駄目だよ?」
「どういう場面だ!二人並んでお互いを呼び合ってたらただの馬鹿じゃないか!」
「良いじゃん、仲良し姉妹って感じで。」
「良くない!」
「・・・確か、出撃した第二艦隊からは内地の桜もよく見えたとか聞きますね。」
「桜か・・・、そういえばさっきの上陸の時にも桜の話が出ていたな。」
「いつか皆でお花見でもしてみたいですね。」
「その皆の中に私を含めんじゃないわよ。」
「なんでです?」
「決まってるじゃない。あんたと一緒にいたくないだけよ。」
「ツンデレですね。」
「ちがうわよ!」
「可燃物も船から降ろしてるみたいだし、後は出撃するだけか。」
「それにしても、この下士官・・・か?良い人みたいだな。」
「炊飯長みたいな人ですか?それはまぁ・・・そういう役どころですからね。」
「ミもフタも無い言い方だな。」
「でも、総員退去命令が出た時は・・・って、危なくなったら逃げちゃえば良いんじゃないの?」
「残念ながら・・・それは駄目なんです。
戦闘配置に就いた時点で、命令が無い限り独断で艦から離れる事は出来ない決まりになっているのです。」
「なんで?」
「各員が個々の判断で勝手に持ち場を離れては軍艦として機能不全に陥ってしまい、さらなる危険を招く可能性があります。
1人の不注意が艦全体の乗組員を危険にさらす事もありますので・・・
戦闘配置に就いた以上は命令無しに艦を離れる事は出来ません。」
「大変なんだね・・・。」
「あ、ここから有名なシーンが始まりますよ。」
「なにそれ。」
「ほら、日本は進歩を軽んじたとかなんとか・・・有名ですよね?」
「そうですね。」
「でもさ、これって捏造みたいな話も聞いた事あるんだけど。」
「さぁ?今となっては真偽の確かめようもありませんし・・・私にそんな事を言われても困ります。」
「いい加減すぎるわよ。」
「自己嫌悪はよくありませんよ?」
「私の事じゃないって言ってるでしょ!」
「それにしても、これから沖縄に行くのに穏やかな情景なんですね。」
「嵐の前の静けさってヤツだろ。実際にもこの日は攻撃されてねーんだし。なぁ?」
「・・・そうですね。」
「でも、潜水艦にはつけられてるんだろ?平文がどうとか言ってるし。」
「アメリカ軍って空気読めないんですね♪」
「なんで私を見て言うのよ!」
「あっという間に翌日になったな。」
「マーチン二機だって。なにそれ?」
「偵察機の様ですね。史実でも、偵察機に発見されたのち航路の偽装を諦め沖縄に向かっています。それにしても・・・」
「どうしたんです?」
「第五航空艦隊の宇垣中将が送った零戦の直援は描写無しなんですね・・・残念です。」
「それはまぁ・・・映画ですから。
さっきの有名なシーンのところで、援護の飛行機も無い!燃料も片道!なんて台詞がありましたよね?」
「ああ、進歩がどうとか言うところの前だよな。」
「それが、実際は援護の飛行機がちゃんとあって燃料も余裕で沖縄ー内地を往復できた
なんて描写を入れたら物語的に破綻しちゃいますよ?」
「・・・でも、やっぱり残念です。」
「そうですね。人間ドラマを少し削ってそういう描写を入れてもバチは当たらないと思うんですけど。」
「ああ、逆にそういう話を入れるってのは物語的にありかもな。」
「そんなマニアックなネタ入れて喜ぶのはアンタらだけよ。」
「おい、俺までその中に含めるなよ・・・。」
「戦闘開始か。」
「やっぱり主砲での砲撃から始まるんですね。
沖縄特攻の大和さんを描いた物語では、ほぼ100%の確率で主砲の攻撃から対空戦闘の描写になりますから。」
「ふ〜ん、なんで?」
「史実でもその様な感じですからね。大和がいつ主砲を撃ったかは諸説ある様ですが・・・」
「んなの、どーでも良いでしょ。主砲なんて結局役立たずなんだし。」
「・・・・・。」
「反論しないのか?」
「対空戦闘において主砲はあまり役に立ちません。それも、天候不順で視界が悪いのならなおさらです。」
「結構、迫力ありますね、戦闘シーン。」
「・・・そうですね。」
「戦闘シーンっつったって飛行機相手に撃ってるだけじゃない。面白くもなんともないわよ。」
「・・・・・」
「な、なによ。」
「そういう台詞は空気を読まないアメリカに言っていただきたいものですが。」
「そうですよね。戦艦同士の戦いもあったかもしれないのに、機動部隊をゾロゾロ繰り出してくるから。」
「だからって私に文句言うんじゃないわよ!筋違いでしょうが!」
「なら、せっかくの見せ場に水を差さないで下さい。私達は楽しんで見てるんですから。ねぇ、綾波さん?」
「・・・はい。」
「くぬぅ〜、ひし形と人形女の分際で!なんかムカつく!」
「それにしても・・・爆弾や魚雷で攻撃するのは分かるんだが、敵の飛行機って機銃でも攻撃してるよな。意味あるのか?」
「飛行機に対しての艦の防御力とは直接的な装甲だけではなく、対空火器の存在もあります。
その対空火器を黙らせるのには機銃掃射も有効と言えば有効です。
もっとも、護衛の戦闘機がいればそんな展開にはならないはずなのですが・・・」
「あ、撃ち落したりとかしてんじゃん♪」
「たまにはね。でも、実際に落としたのって10機かそこらでしょ?」
「それがいけませんか?艦隊の規模と敵の数、天候も考えれば、大和以下第二艦隊の戦いは奮戦もいいところですよ。
被弾だけなら50機程には損害を与えていたはずですし。」
「当てたって落とさなきゃ意味ないじゃない。」
「・・・対空火器の役目は敵攻撃の妨害です。
魚雷や爆弾が当たらないようにすれば良いのであって撃ち落さなければ駄目という事はありません。ゲームでは無いのですから。」
「む・・・」
「玉砕ですね♪」
「うるさい!」
「さっきから人が吹き飛びまくってるな。」
「え〜せ〜へ〜!え〜せ〜へ〜!」
「ハリウッド映画だとメーディーック!です♪」
「良いようにやられちゃってるじゃない。反撃しなさいよ反撃。」
「そーよそーよ。映画的に面白くないでしょ。」
「いえ、最初から反撃はしてますよ?徐々に弾幕は少なくなってますけど・・・」
「ホントに弾幕が減ってきてるんだな。」
「でも、大和しか写ってないよな。他にも船はいるんだろ?」
「はい。でも、護衛の零戦の描写が無いくらいですから・・・ね?」
「そんなもんか。」
「甲板の上も火の海になってますし、もう駄目ですよね?」
「そうですね。まぁ、中心メンバーの人達はまだ戦ってますけど。」
「それはまぁ・・・中心メンバーならそうなるのだろうな。」
「いつの間にか死んじゃってたら面白かったのにね〜。」
「そうねぇ。予想の更に上を行く展開って感じで。」
「それは上じゃなくて斜め上って言うんだ。」
「それ以前に、漁船の人と眼帯の人は生存確定ですからね。そのあたりはどうかと思いますけど。」
「・・・・・。」
「どうかしました?」
「いえ・・・、分かっている事とは言え・・・やっぱり悲しいですね。こういう光景は・・・。」
「もう傾斜の復元も出来ないみたいですからね。ここまでなんでしょう・・・。」
「対空砲とかも全然撃ってないみたいだしね。」
「この様に傾斜が増大してしまえば先ほどの揚弾機も使えなくなってしまいますから・・・。」
「でも、あの三人組はまだ戦ってるみたいだぜ。」
「そのうちの二人は生存確定だけどな。」
「でも・・・、大和の場合は総員退去命令が出てからすぐに退艦しないとまず助からないはずなのですが・・・」
「つまり、お前はもう助からない!」
「いや、生存確定だろ?」
「丁寧にツッコミするプルツーさん萌え〜♪」
「萌え〜♪」
「萌え〜♪」
「黙れ三馬鹿!」
「なんか、一悶着あるのね。さっさと脱出すればいいのに。」
「でも、いいじゃない。助かるのよね、この新兵。」
「それはそうだが。」
「・・・・・。」
「意外とあっさり沈んだわね。」
「総員退去命令が出てすぐですからね。転覆して爆発するまでも時間はありませんでしたし。」
「そうなんだ。」
「転覆し逆さまになった大和によじ登ろうとしていた生存者の方々が爆発で吹き飛ばされたとか・・・
艦から脱出するのも大変ですがその後も大変なんです。」
「じゃあ、さっさと船から離れた方が良いじゃない。」
「ですが、服を着たまま泳ぐというのは体力を使いますし・・・サメに襲われるというケースもあります。
海上で生き残るというのは大変みたいですから・・・」
「でもさ、味方が助けてくれるんじゃないの?」
「この坊の岬沖海戦においては駆逐艦による救助も大和沈没直後には行われていません。
敵の空襲を避け、駆逐艦が再び戻ってきたのは4時間程経過していたとか・・・それにしても、気になりますね。」
「どした?」
「大和の乗組員に対するアメリカ軍機の機銃掃射の描写が無いもので・・・」
「それがどうしたのよ。」
「いえ、パールハーバーではやってもいない日本軍機の民間人への銃撃が入れられていたのに
この映画では実際にあったアメリカ軍による大和乗組員への銃撃が入っていないというのは・・・おかしいですよね。」
「まぁ、お国柄なんだと思いますよ。
それに、自分達がそうだから相手もそうだろう・・・みたいな感覚もあるんじゃないですか?
ほら、この映画は邦画なわけですから、日本人の考えるアメリカ軍像って感じなんじゃないでしょうかね。」
「知らんわよ。」
「それじゃ、この映画はここで終わりにしましょうか。」
「は?」
「だって大和さんが沈没したら終わりじゃないですか。終了終了♪」
「いや、待て。まだ続きがあるみたいだぞ。」
「そういう寸劇は見なくてもいいじゃないですか。
戦死した親友さんの故郷に謝りにいったりとか、幼馴染のちゃっかりした女の人が原爆で死んでしまったりとか
戦後の女の人が大和の沈没地点についたりとか・・・私としてはどうでもいいので。」
「どうでも良いのかよ・・・。」
「ちなみにアスカ丸さんの名前の由来もあるんですけどね。とりあえず省略で良いかなって♪」
「アスカ丸じゃないっつってるでしょ!」
「・・・ちょっと待て。あの幼馴染の女は死ぬのか?」
「そうですね。一応、死に目には会えたという展開にはなってますけど・・・」
「そうなのか・・・」
「素でショックを受けてるプルツー萌え〜♪」
「萌え〜♪」
「萌え〜♪」
「黙れ!」
「それじゃ、今回の映画鑑賞はこれにて終了という事で。お疲れ様でした〜♪」
「お疲れ様〜♪」
「・・・いい加減過ぎる。」
・
・
・
「ラミエル、ちょっと面白い映画があるんだけど見てみない?」
「え?そうなんですか?見ます見ます。」
「じゃ、早速始めましょうか。」
「これって・・・どんな映画なんですか?」
「バイオハザードみたいなものかしらね。先を話すと面白くないでしょ。」
「それはそうですけど・・・でも、珍しいですね。マトリエルさんが映画を勧めてくるなんて。」
「私だって映画の一つや二つくらい見るもの。ほら、始まるわよ。」
・
・
・
「ちょっと!これ・・・なんですか!」
「映画よ。」
「そうじゃないですよ!なんで画面全部に蜘蛛が出てくるんですか!おかしいじゃないですか!」
「だってスパイダーパニックって映画だもの。蜘蛛が出てくるのは当たり前じゃない。
蜘蛛が町中飛び跳ねたり、逃げようとした人間を地面に引きずり込んだり♪」
「多すぎですよ・・・。気持ち悪い・・・!」
「ほら、ラミエル。貴方の後ろにも・・・」
「や、やだ・・・!もう見たくありません!私、帰ります!」
「フフフ、逃がさないわよ。ちゃんと終わりまで見ていきなさい。」
「う、嘘ですよね?私はこういうの苦手で・・・」
「リハビリよ、リハビリ。ねぇ、ゼルエル様ぁ♪」
「え?あ・・・」
「ゼルエルさん!止めてください!私、本当にダメなんです!」
「いつまでも弱点をほったらかしにしておくなんて駄目よ、ラディッツじゃあるまいし。
ゼルエル様も協力してくれますわよねぇ?」
「あ・・・そうですね。う〜ん・・・」
「ほら、ちゃんと画面見なさい。治療にならないでしょ。」
「止めて、放してください!本当に・・・本当にダメなんですから!」
「お前ら、止めてやれよ。俺は平気だけどこいつにはキツいだろうし。」
「あの、私は別にこの映画を見せたいわけでは・・・」
「私はひし形のためを思ってやってるの。この先、蜘蛛型機動兵器なんて出てきたら失神どころじゃ済まないわよ?」
「だからって逆にトラウマになったらどーすんだ。もういい、止めるぞ。」
「あ・・・!」
「あ、ありがとうございます・・・」
「何すんのよタマネギ頭!これじゃ計画が台無しじゃない!」
「誰がタマネギ頭だ。
で、一応聞いておくがよ、計画ってのはなんだ?」
「ひし形が醜態を晒す→ゼルエル様ひし形に幻滅→マトリエルトゥルーエンド♪」
「お前は・・・」
「まぁ、いいわ。他にも映画はたっくさんあるんだから♪」
「・・・行くか。」
「はい・・・。」
「ほら、次の映画はねぇ―――」
「お二人とも、行っちゃいましたよ。」
「あら、つまんないわねぇ。でも・・・二人っきりですわね♪」
「はぁ、まぁ・・・そうですね。」
「・・・・・。」