「アスカさ〜ん。ちょっとお願いがあるんですけど・・・聞いてもらえますか?」
「アンタの頼みなんてロクなもんじゃないでしょうけど、ま・・・いいわ。聞くだけきいてあげるわよ。」
「あのですね。今度出撃の時にアスカさんの弐号機に同乗させてもらいたいんですよ。」
「はぁ?藪から棒に何を言い出すのよ。」
「藪から棒なんか出してませんよ?」
「るさい!素で返すんじゃないわよ!つーか、なんで弐号機にアンタを乗せなきゃなんないのよ!」
「え〜と・・・、ほら、私、人間の姿になっちゃってるじゃないですか。
前の姿だったら問題なかったんですけど、このカッコで出撃ってのは少々問題あると思うんですよね。」
「だったら着替えりゃ良いでしょうが。」
「いえ、服装の問題じゃなくて・・・ここ、宇宙空間じゃないですか。
生身で出撃したら、いくら私でも死んじゃうんじゃないかな〜・・・って思って。」
「ちょっと待て。それじゃ俺も出撃出来ねーじゃねぇか。」
「それは大丈夫ですよ。サキエルさんも他のエヴァの人のところにお邪魔すれば良いんですから。」
「あ、それもそうだな。んじゃ、ちょいと頼みに行ってくるぜ。」
「いってらっしゃ〜い♪」
「それはともかく、アンタ自慢のATフィールドでどうにかしなさいよ。」
「そんなのムリですよ。いくらATフィールドと言っても万能じゃありません。
マンガとか小説じゃないんですから、そうそう物事都合良くはいきませんよ。」
「アンタが言える台詞かよ・・・。」
「で、今度お呼びがかかったら搭乗割りから漏れてしまうのは確実ですし・・・ここは1つアスカさんの弐号機に乗りたいかな〜なんて♪」
「母艦で大人しく待ってりゃ良いでしょうが。」
「嫌です!それじゃ私の存在理由が否定されちゃうじゃないですか!」
「んな大げさな・・・」
「それに、2人で乗れば精神コマンドも2人分、これならブライト中佐やミサトさんも放っておかないですよ。
ほら、哀しい二軍生活からはこれでさようならです♪」
「・・・精神コマンドが多く使えるってのは確かに魅力的ね。」
「それじゃ、良いんですか?」
「イヤッつってもどーせ乗り込むつもりでしょ?ま、一回くらいなら好きにしなさいよ。」
「ありがとうございます!」
「ほら、プラグスーツも貸してあげるわよ。言っとくけど、ちゃんとクリーニングして返しなさいよ?」
「はい。え〜と・・・これってどうやって着るんですか?」
「強引に着てみろ。
そいつはやわらかくて引っ張ればドンドン伸びる。
地球でこの俺が大猿になったときにも破れはしなかっただろ。だが、衝撃には相当に強いぞ。」
「ちょ・・・、アンタいつの間に居たのよ。」
「先程から一部始終見させていただきました。」
「どこでよ・・・。」
「あ、すごい!ホントだ!」
「おいおい、ムリヤリ引っ張るんじゃないわよ。それ伸びる素材とかじゃないから。」
「さて、とりあえず着てみますね。それじゃさっそく・・・」
「え?あの・・・」
「ちょっとちょっと!こんなトコで着替えるんじゃないわよ!ゼルエルも居るんだから少しは考えなさいっての!」
「はい?ゼルエルさんが居たらなんで駄目なんですか?」
「・・・アンタ、自分が女だって自覚ある?仮にも人前なんだから少しは恥らいなさいっての。」
「え〜と・・・、よく分かりませんが分かった事にします。では、隣の部屋で着替えてきますね。」
「ったく。ファースト以上に女らしさの欠片も無いわね。」
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「お待たせしました。」
「・・・・・。」
「やっぱりアスカさん用ですから、私の身体にはちょっと合わないみたいですね。」
「フフン、そりゃそーでしょ。アンタみたいにお腹の突き出たビヤ樽体型じゃ無理も無いわよ。」
「いえ、あの・・・、胸がきつくて腰がぶかぶかなんですけど・・・。」
「え・・・」
「どうしたんですか?アスカさん、すごい形相ですよ?」
「ブッ殺す!」
「おい、オメーさっきからうるせえぞ。
「ブッ殺す!」「ブッ殺す!」ってよォ〜〜〜〜どういうつもりだ、てめー
そういう言葉はオレたちの世界にはねーんだぜ・・・そんな弱虫の使う言葉はな・・・・・・・・・
「ブッ殺す!」・・・そんな言葉は使う必要がねーんだ。
なぜならオレやオレたちの仲間はその言葉を頭の中に思い浮かべた時には!
実際に相手を殺っちまって、もうすでに終わってるからだッ!だから使った事がねェ───ッ
ペッシ
オマエもそうなるよなァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜オレたちの仲間なら・・・わかるか?オレの言ってる事・・・え?」
「分かるか!大体、誰がペッシよ!」
ドスッ!(殴打音)
「ぐほぁー!」
「アスカさん、なんで怒ってるんですか?」
「るさい!アンタには関係ないわよ!
ほら、さっさと脱ぎなさいよ!アンタなんかに貸すんじゃなかったわ!」
「え?でもここじゃ・・・」
「だったらさっさと着替えてきなさいよ!」
「はい・・・。」
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・
「アスカさん、私の服知りませんか?なんか無くなっちゃってるんですけど・・・」
「アンタが知らん事を私が知るわけないでしょ!適当な服にすれば良いでしょ!」
「はい。適当適当と・・・」
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「ふぅ・・・、それじゃプラグスーツお返しします。」
「で・・・、なんでアンタがうちらの中学校の制服着てるわけ?」
「手近なところにあったので・・・サイズもピッタリでしたし・・・」
「・・・・・。」
「でも、なんであんなトコに・・・え?わっ!」
「・・・アンタ、なにしてんの?」
「あの・・・、急に風が来たから。」
「フン。風にスカートめくられるなんて古いネタに身体を張ってどーすんだか。」
「でも、アスカさんも何かの空母の上で同じことしてたんですよね?シンジさんや鈴原さんから聞きましたよ?」
「あんのバカシンジに熱血バカ・・・!ブッ殺す!」
「おい、オメーさっきから(中略)わかるか?オレの言ってる事・・・え?」
「るさい!同じネタを繰り返すんじゃないわよ!」
ドスッ!(殴打音)
「ぐほぁー!」
「でも、どうしていきなり風が吹いたんでしょうか?ここ、マクロスの中ですよね。」
「ああ・・・、そういえばそんな話だったわね。」
「空調からの風では無いでしょうか?あまり深く考えても仕方ありませんよ。」
「そうですね。」
・
・
・
「フフフ、まぁまぁの収穫かな。」
「何をするつもりなのかと思ったら・・・あんな人外の画像なんか撮ってどうするんですか?」
「ま、世の中は広いからね。需要があるから供給もあるのさ。ウフフ・・・」
「人畜無害な外見をしてるわりには腹黒い人ですね。服は隠すし風は起こすし。」